10年以上も前に制作した古いWordPressのサーバー移転をするケースもあると思います。
そういったときに気をつけなければならないのが、現在稼働しているWordPress本体やラグインなどのバージョンです。
これまで小まめに更新をしてきてバージョンを最新に保っている場合には、古いWordPressサイトであっても問題なくサーバー移転が可能です。
ところが、これまでほぼノーメンテナンスで放置してしまった古いWordPressの場合には、サーバーの移転は容易ではありません。
また、これまでホームページ制作会社に管理を任せていたWordPressであっても安心できません。
悪質なホームページ制作業者の中には、管理費だけを徴収しておいて、まったくメンテナンスをせずに古いWordPressを放置していることもあります。
ここでは、メンテナンスされていない古いWordPressのサーバー移転をするときに、注意すべき点について詳しく解説をしています。
古いWordPressは簡単移行ツールで移転できるか?
最近のレンタルサーバーは、専門知識がなくてもWordPressの移転ができるように、簡単移行ツールを提供していたりします。
しかし、メンテナンスされていない古いWordPressの引越しをするのは、ぜんぜん簡単ではなかったりします。
レンタルサーバー会社の提供する簡単移行ツールを利用するためには、移転先のサーバーに事前にWordPressをインストールしておく必要があります。
事前にインストールしておくWordPressというのは、当然ながら最新バージョンになります。
これまでメンテナンスをしてこなかった古いバージョンのままのWordPressデータを、最新のWordPressに移行してもまともに動くという保証はありません。
これは、Windows7のPCデータを、いきなりWindows11のPCに放り込むようなものです。
レンタルサーバー会社は、少しでも多くのWordPressユーザーを取り込もうとして簡単移行ツールを提供しているわけですが、メンテナンスをしていない古いWordPressを運用しているユーザーにとっては、必ずしも簡単に使えるツールではないのです。
●移転先のサーバーに事前にWordPressをインストールしておく必要
●最新のWordPressに移行してもまともに動くという保証はない
●古いWordPressを運用しているユーザーにとっては、必ずしも簡単に使えるツールではない
関連記事:簡単移行ツールでWordPressの移転に失敗する理由
古いWordPressをプラグインでサーバー移転できるか?
WordPressのサーバー移転が誰でも手軽にできるプラグインがあります。
特に、All-in-One WP Migrationはバックアップやサーバーの移転によく利用されています。
しかし、このAll-in-One WP Migrationを使ったとしても、メンテナンスをしていない古いWordPressのデータ移設をするのは難しいといえます。
こうしたサーバー移転のためのプラグインも、先ほどの簡単移行ツールと同様に、移転先のサーバー内に事前にWordPressをインストールしておく必要があるからです。
インストールするのは最新のWordPressということになりますから、古いWordPressとの互換の問題でデータ移設ができない可能性があります。
メンテナンスをしていない古いWordPressの場合、サーバーのPHPバージョンも古いままで放置されていることが多く、その場合はプラグインそのものが動作しない可能性があります。
また、古くから運用されているWordPressの場合は、ページ数も膨大になっていたりします。
All-in-One WP Migrationの無料版はデータ容量の制限がありますので、ボリュームのあるWordPressの移転をするためには、有料版を使わなくてはなりません。
しかし、有料版を購入したからといっても、古いWordPressの場合は別の問題で移転に失敗する可能性がありますので、購入費用をドブに捨てることにもなりかねません。
●All-in-One WP Migrationはバックアップやサーバーの移転によく利用される
●移転先のサーバー内に事前にWordPressをインストールしておく必要
●ボリュームのあるWordPressの移転をするためには有料版を使う
関連記事:All-in-One WP Migrationでサーバー移転に失敗するケース
移転元サーバーのPHPバージョンが古いとき
古いWordPressのメンテナンスを放置したままのケースでは、移行元サーバーのPHPバージョンが非常に古いままだったりすることがあります。
このケースですと、簡単移行ツールやプラグインでのサーバー移転ができないのはもちろんのこと、WordPressのバージョンアップそのものが不可能になっている可能性があります。
現在(2023年2月)のWordPressは6.1.1が最新バージョンですが、PHPバージョンが最低でも5.6以上でないと動作はしません。
そのため、事前にWordPressのバージョンアップを済ませておいて、簡単移行ツールやプラグインを使って移行をするやり方ができないことになります。
サーバーのPHPバージョンを5.6以上にあげることが出来るのであれば、WordPressを最新版にすることも不可能ではありませんが、古いレンタルサーバー会社の中には、すでにPHPのバージョンアップをやめてしまっているところもあります。
こういったケースでは、簡単移行ツールやプラグインではなく、手動でWordPressのデータ移管をする必要がありますが、そのときに移転先のサーバーで古いPHPバージョンに設定が可能かどうかを確認しておく必要があります。
たとえば、エックスサーバーでは2023年2月現在で、PHP 5.1.6~PHP8.1までを自由に設定することができるようになっていますので、サーバー移転にあたってPHPバージョンの問題で困ることはまずありません。
エックスサーバーの公式ページ
また、レンタルサーバーによっては、一度新しいPHPバージョンを設定してしまうと、古いバージョンに戻せなくなってしまうところもありますので注意が必要です。
●移行元サーバーのPHPバージョンが非常に古いままだったりする
●WordPressのバージョンアップそのものが不可能になっている可能性もある
●古いレンタルサーバー会社の中には、すでにPHPのバージョンアップをやめてしまっているところもある
古いオリジナルテーマのWordPressはサーバー移転できる?
ホームページ制作会社に制作してもらったWordPressは、オリジナルのテーマが使われていることが少なくありません。
オリジナルテーマだとデザインの差別化ができますので、それを売りにしているホームページ制作会社も多いです。
しかし、WordPressを長く運用するという点においては、オリジナルテーマはデメリットしかありません。
有料のテーマや、無料であっても人気の高いテーマであれば、WordPressのバージョンアップに合わせてアップデートをしてくれます。
そのため、将来的にWordPressが動作しなくなる可能性は低いといえます。
ところが、オリジナルテーマで制作されたWordPressは、その後のアップデートをしてくれないことが多いです。
そのため、古いWordPressを更新することができず、古いままでずっと使い続けることにもなってしまいます。
WordPressを長く運用しようと思ったら、多少デザイン的なオリジナリティに欠けるとしても、人気のある汎用のテーマを利用したほうがいいということになります。
また、オリジナルテーマで制作されたWordPressのサーバー移転を検討する際には、人気の汎用テーマに切り替えるなどのリニューアルを同時に行うようにした方がいいでしょう。
●WordPressを長く運用するという点においては、オリジナルテーマはデメリット
●オリジナルテーマで制作されたWordPressは、その後のアップデートをしてくれないことが多い
●人気の汎用テーマに切り替えるなどのリニューアルを同時に行うようにした方がいい
関連記事:オリジナルテーマのWordPressはなぜダメなのか?
古いWordPressを手動で安全に引越しさせる
これまでの説明で、メンテナンスをせずに放置された古いWordPressのサーバー移転には、互換性のさまざまな問題があることがお分かりなったかと思います。
それでも、何らかの理由でサーバーを移転しなければならないこともあるでしょう。
たとえば、これまで管理を任せていたホームページ制作会社が廃業してしまうとか、レンタルサーバー会社がサービスの提供をやめてしまうといったようなケースです。
そういったケースでは、たとえどんなに古いWordPressであっても、なんとかサーバー移転をする必要があります。
とりあえず、現状のままで古いWordPressが動作すればいいというのであれば、サーバーにFTP接続をしてWordPressのデータをまるごと新サーバーに移転させればいいことになります。
WordPress本体やプラグインのバージョンなどもすべて現状のまま移転させるわけですから、基本的には動作しなくなるということはありません。
ただし、FTP接続をして手動でWordPressのサーバー移転をするためには、ある程度の専門知識が必要になります。
自分でやる自信のない方は、専門の業者にお任せしてしまう方がいいでしょう。
また、WordPressを手動でそのままサーバー移転したとしても、古いWordPressをそのまま運用することによるセキュリティ的な問題などはそのまま残ることになります。
これからも長く運用を続けるのであれば、いずれかのタイミングで最新版のWordPressにバージョンアップすることを考えた方がいいでしょう。
●サーバーにFTP接続をしてWordPressのデータをまるごと新サーバーに移転
●手動でWordPressのサーバー移転をするためには、ある程度の専門知識が必要