クルマは機械ですから、走行を重ねるたびに各パーツに痛みが生じます。
どんなに品質の良い車であっても、機械である以上やがて各パーツが劣化して寿命をむかえるときが必ずきます。
クルマが問題なく使用できるかどうかの目安が10万kmであり、それを超えた車は売却できないので廃車にするしかない、などという話をときどき耳にすることがあります。
はたして、それは本当でしょうか?
実は、10万kmを超えたクルマが廃車になる運命をたどったのは、はるか昔のことです。
最近のクルマは非常に品質が良くなっていますので、10万km程度の走行距離で使い物にならなくなるということは絶対にありません。
また、クルマの下取りや買取り店への売却においても、走行距離が10万kmを超えているということで多少は査定に影響しますが、売却できないということはありません。
12万kmでも13万kmでも15万kmでも、問題なく売却をすることが可能です。
ここでは、実際に買取り専門店に売却した事例をとりあげながら、10万kmオーバーのクルマがどれくらいで売れるのかについて考えてみたいと思います。
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走行距離が10万km越えているクルマの買取り価格はどれくらい?
クルマの買取り価格は、単純に走行距離だけで決まるものでなく、人気の度合いや年式などによっても大きく左右されます。
実際に10万kmを超えたクルマがどれくらいで売れているのかについては、実際の買取り事例をみてみるのが確実です。
ここでは、10万kmオーバーのクルマの売却事例をいくつか紹介してみたいと思います。
業者の買取り価格をみて、思った以上の高額査定に驚くに違いありません。
12万km弱のトヨタヴィッツの買取り価格
まずは、比較的人気の高いトヨタのヴィッツを見てみたいと思います。
走行距離が12万km弱の2005年式ヴィッツRSを8年落ちとなる2013年に売却した事例です。
8年落ちにもかかわらず12万kmの走行ですから、かなりの過走行であるといえます。
このヴィッツを買取り専門店3社に査定依頼した結果、30万円、30万円、提示なし、という結果になっています。
1社が提示なしなのは、12万kmという走行距離にリスクを感じたのか、他の業者の金額を見てから後出しを狙ったのかはよく分かりませんが、2社が30万円という金額を提示していますので、それがこのヴィッツの買取り相場なのだと思います。
RSという上位グレードであったことも影響しているのでしょうが、12万kmのヴィッツが30万円で売れるのであれば十分ではないでしょうか。
走行距離14万kmのトヨタアルファードが83万円で売れた事例
人気ミニバンであるトヨタのアルファード240Sリミテッドの2009年式を2019年に10年落ちで売却したときの事例になります。
走行距離は約14万kmということで、かなり走り込んでいます。
年式も10年落ちということであれば、まともな査定額が提示されるかどうか不安になるところですが、なんとこのアルファードに83万円の買取り価格が提示されています。
査定を受けたのは3社で、それぞれ83万円、80万円、65万円の提示額になっています。
最高額と最低額に18万円の開きがありますが、3社とも14万kmも走っているクルマに対して本気の提示をしてくれています。
10年落ちでなおかつ14万km走行していても、アルファードのような人気車種であれば、想像以上に高額な査定額が提示されるということがお分かりいただけるかと思います。
10万kmを超えているから廃車を考えるなどというのは、本当にもったいない話です。
走行距離10万kmで10年落ちの軽自動車を25万円で買取り
普通車以上に、走行距離が査定に影響するといわれているのが軽自動車です。
10万kmどころか、軽自動車は5万kmを超えると査定が厳しくなるという噂もあります。
参考:軽自動車は5万kmを超えると査定が一気に安くなるというのは本当か?
しかし、実際には軽自動車の査定額が5万km程度で一気に下がるということはありませんし、10万kmオーバーでも問題なく売却をすることが可能です。
軽自動車の中でも人気の高い、ダイハツタントの売却事例を紹介してみたいと思います。
2005年式で走行距離がちょうど10万kmのタントを、10年落ちとなる2015年に査定を受けた時のものです。
5社に査定を依頼した結果、25万円、20万円、13万円、13万円、8万円という提示額になりました。
最高額が25万円で最低額が8万円とかなりの開きがありますが、結果的に25万円で売却をすることができています。
10年落ちで走行距離が10万kmの軽自動車が25万円で売却できれば十分ではないでしょうか。
一番低い査定額は8万円ですが、もしこの業者1社しか査定を依頼しなかったとしたら、10年落ちで10万kmなので仕方がないと勝手に納得して、その金額で売却してしまったかも知れません。
たとえ走行距離が10万kmを超えた車であっても、複数の買取り店に査定をしてもらって比較することで、十分に高く売れる可能性があるということを認識すべきです。
参考記事:ダイハツタントの買取り価格や査定相場の詳細はこちら
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16万kmを走ったランクルの買取り価格が360万円
国産車のなかでも、特にリセールバリューが高いといわれているのがランクルです。
ランクルの場合は10万kmどころか、15万kmを超えていても驚くような高値で売却が可能だったりします。
2016年4月に2007年式のランクルAX(Gセレクション)を売却したときの事例を紹介してみたいと思います。
2007年式を2016年に売却していますから、9年落ちということになります。
走行距離は16万kmとなっており、10万kmを軽くオーバーしています。
このランクルを2社の買取専門店が査定をしたところ、提示額は360万円と300万円になりました。
9年落ちで、なおかつ走行距離が16万kmであるにもかかわらず、300万円以上で売れるわけですから、ランクルのリセールバリューの高さには驚かされます。
もともとランクルのAX(Gセレクション)は高価なクルマで、2007年当時の新車価格は540万円でしたが、それにしても16万kmの走行距離で300万円オーバーは高すぎです。
こういった数字を見てしまいますと、10万kmオーバーのクルマを廃車にすべきかどうか悩むなどということは、まったくナンセンスであるということがお分かりになるかと思います。
走行距離10万km限界説とタイミングベルト交換の時期との関係
かつての車に10万km限界説のようなものがあったのは、実はタイミングベルトの交換時期の問題もあったと思います。
タイミングベルトというのは、エンジンの吸気と排気のバルブを動かすためのカムシャフトを回転させるベルトです。
かつてのクルマはおよそ10万kmごとにこのタイミングベルトを交換する必要がありました。
タイミングベルトを交換せずにそのまま乗り続けていると、突然ベルトが切れてエンジンがまったく動かなくなってしまいます。
ベルトが切れることで、吸気と排気のバルブが動かなくなってしまうからです。
エンジンが動かなくなるだけならまだいいのですが、走行中にタイミングベルトが切れると、バルブが曲がってしまったり、バルブがピストンに当たってしまったりしてエンジンを破損してしまうこともあります。
そういったリスクを回避するために、10万kmを超えたらタイミングベルトを交換するというのが当時のクルマのメンテナンスにおける常識でした。
このタイミングベルトを交換するための費用が、メーカーや車種によって異なりますが、3万円~5万円程度かかります。
それほど高額というわけではありませんが、すでに10万kmを走行したクルマに3万円~5万円の費用をかけてまで乗り続けるべきかどうかということが、当時は問題になったのでしょう。
そのため「10万kmを超えたら廃車を考える」という風潮があったのだと思います。
ところが、最近のクルマのほとんどはチェーン駆動になっており、タイミングベルトは使われていません。
もちろんチェーンであってもいずれ寿命はきますが、およそ30万km程度までは大丈夫だといわれており、実質メンテナンスフリーといってもいいでしょう。
かつてのように、中古車市場で10万kmオーバーという走行距離をそれほど気にしなくなった背景には、タイミングベルトがタイミングチェーンにかわったことも理由の1つになっていると思われます。
参考:10万kmでタイミングベルトの交換は過去の話です~今はタイミングチェーンが主流
クルマの寿命はかつてにくらべて大幅に伸びています
10万kmを超えても廃車にするどころか、驚くような金額で売れることもある昨今のクルマですが、その背景にはクルマそのものの寿命が大幅に伸びているということも理由の1つにあげられます。
新車登録された車が廃車となるまでの期間が、いまから40年ほど前は約7年でした。
たった7年しか乗らずに廃車にされていたわけですから、多くのクルマは10万kmに達するまでに寿命が来て、スクラップにされてしまっていたのです。
参考:車の平均使用年数
当時であっても7年程度でエンジンが壊れることは滅多にありませんでしたが、現在とくらべて塗装の技術が低く、5~6年も乗るとボディがさびてしまったり穴が開いてしまったりするクルマが少なくなかったのです。
そういった事情もあり、当時は10万kmを超えて査定を受けるクルマはめったになく、傷んだボディを補修しつつ乗りつぶすか、廃車にするという選択肢しかなかったわけです。
当時はメーカーも10万km以上乗るということをあまり想定していなかったようで、当時のクルマの距離計は万の単位までしかありませんでした。
つまり、10万km走ると、メーターがひと回りしてゼロに戻ってしまったのです。
それに対して、いまのクルマは長持ちです。
平成27年のデータですと、乗用車の平均寿命は12.38年になっています。
つまり、10年落ちで走行距離10万kmを走った車であっても、平均寿命まで残りあと2年~3年もあるわけですから、査定額が提示されるのは当たり前なのです。
ただし、クルマの買取り価格は業者によって大きく異なります。
あたなの10万kmオーバーのクルマを売却する前に、以下のリンク先から最高値で買取りをしてくれる業者を事前に確認しておくといいでしょう。
20万kmオーバーでもニーズがある発展途上国の中古車市場
走行距離が10万kmを超えたクルマであっても問題なく買取りをしてもらえる背景には、クルマの寿命が延びて長持ちになったということもありますが、それとは別のもう一つの理由があります。
それは、日本の中古車が発展途上国で大人気になっているということです。
発展途上国では、10万kmどころか20万kmや30万kmを走行したクルマが普通に走っています。
そのため、品質の高い日本車であれば、10万kmオーバーであっても喜んで買ってくれるのです。
日本のクルマは、しっかりとメンテナンスさえすれば、30万kmどころか、50万kmだって十分に走るということを彼らは知っているのです。
皮肉なことに、クルマを作っている国の人たちが、自分の国のクルマの耐久性を過小評価してしまっているわけです。
最近では、そういった発展途上国に対する中古車の輸出ルートが確立されてきたために、いままで日本国内で廃車にされていたクルマが異国の国でセカンドライフを送ることができるようになりました。
10万kmオーバーのクルマであっても高く買取りしてくれる業者が多い背景には、そういった事情もあるのです。
日本国内でも50万kmオーバーのクルマが普通に走っています
「クルマが50万kmも走るなんてまさか?」と思うかも知れませんが、実は日本国内でも走行距離が50万kmオーバーのクルマはいくらでも走っています。
それがタクシーです。
タクシーは、50万km以上の走行距離の車両が普通に道路を走っています。
関連記事:タクシー専門の買取り店では走行距離50万kmでも買取りが可能!?
逆に、最低でも50万kmくらいは走ってくれないと、タクシー会社は車両費を償却できないに違いありません。
なぜなら、タクシーというのは1年で10万kmも走行するからです。
20万kmや30万kmで廃車を考えていたら、商売が成り立ちません。
タクシーが50万km以上走るのに、個人の乗っている乗用車が10万kmで寿命をむかえるなどということは絶対にないわけです。
一般のクルマにくらべて、タクシーだけが特別に丈夫に作られているということはないわけですから、あなたのクルマもしっかりとメンテナンスをすれば、50万km以上は走らせることは可能ということになります。
今度タクシーに乗る機会があったら、運転手さんに「このクルマは何キロくらい走っているんですか?」と聞いてみてください。
おそらく、びっくりするような答えが返ってくると思います。
こういった事実からも、かつてよく言われた「走行距離が10万kmを超えた車は売れない」などという言葉は、現在では真っ赤なウソであるということがお分かりいただけたかと思います。
文:山沢 達也
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