WordPressを運用中の現在のサーバーを、何らかの理由で移転しなければならないことがあります。
たとえば、現在のサーバーがWordPressをサクサク動かすだけの性能がなくて、高速なサーバーに移転をしたいというケースです。
あるいは、ホームページ制作会社に管理をお願いしていたWordPressを、自社で管理するためにサーバーの移転が必要になった場合です。
しかし、WordPressというのは構造的な問題により、HTMLサイトのように単純にサーバーの引越しができません。
そのため、WordPressの引越し専門会社やホームページ制作会社に依頼をして、サーバーの移転をすることが多いです。
そこで問題になるのは、その料金です。
大手のホームページ制作会社にWordPressのサーバー移転を依頼したら、数十万円の見積もりが出てきたという話が実際にあります。
通常ではありえない金額なのですが、なぜそのような高額な見積もりが出てきたのでしょうか?
WordPressの引越しに関する知識がないと足元を見られる
WordPressのサーバー移転というのは、日常的に行うものではありませんので、多くの人は業者に依頼をした場合の料金相場がまったく分かりません。
業者からの見積もり額が3万円であっても30万円であっても、相場を知らなければ、それが高いのか安いのかの判断がつきません。
実際に、大手のホームページ制作会社にWordPressのサーバー移転を依頼した場合、10万円以上の見積もりが出て来ることは珍しくありません。
大手の会社にとって、エンジニアの人件費や会社の経費を考慮すれば、それが適正価格なのかも知れません。
その一方で、WordPressのサーバー移転作業を、3万円前後で請け負っている業者が多いこともまた事実なのです。
実際に、弊社でもWordPressの引越し代行サービスを29,800円の料金で請け負っていますが、それで赤字になったことはありません。
少なくとも弊社では、WordPressのサーバー移転作業においては、3万円前後が相場であるとの認識があります。
それにもかかわらず、WordPressのサーバー移転作業に数十万円の見積もりを出してくる業者がいるということは、そこに業界独自の裏事情があるわけです。
実はこの業界においては、相場を知らない人に対して「足元を見る」ということが、日常的に行われているのです。
「相場を知らない人からは取れるだけ取る」という非倫理的なことが、常に行われているのがこの業界だということを知っておく必要があります。
●相場を知らなければ、それが高いのか安いのかのわからない
●サーバー移転作業を、3万円前後で請け負っている業者が多い
●数十万円の見積もりを出してくる業者がいる
単純なWordPressのサーバー移転だけで数十万円の見積もり?
先日、弊社にある1件の相談がありました。
大手のホームページ制作会社に、WordPressのサーバー移転をお願いしようと思ったら、数十万円の見積もりが出てきたのだという。
この大手のホームページ制作会社というのは、現在運用中のホームページを制作した会社とのことです。
自社のサイトを制作してくれた大手のホームページ制作会社なら安心だろうと、サーバーの移転をお願いしようと思ったわけです。
ところが出てきた見積り金額をみて、びっくりして弊社に相談してきたわけです。
サーバーを移転する予定のWordPressはページ数が2000ページ以上あって、確かにボリューム的には多めです。
しかし、ドメインを変更するわけでもなく、現在の状態のまま「さくらインターネット」から「エックスサーバー」へのサーバー移転をするだけですから、高額になる理由がまったく分かりません。
ボリュームが多いことを考慮しても、弊社であれば5万円以内でできる仕事内容です。
それが大手のホームページ制作会社から数十万円の見積もりが出てきたというのですから、相談されてきた方はもちろんのこと、弊社もびっくりしました。
いったい、どうやったらそんな見積もり金額になるのでしょうか?
●サーバー移転に数十万円の高額見積もり
●大手のホームページ制作会社なら安心だろうという思い込み
●5万円以内でできる仕事内容
なぜか見積もりにサーバーの移転とは関係ない項目が
単純なWordPressのサーバー移転であるにもかかわらず、なぜ数十万円もの見積もりが出てきたのか不思議に思い、いろいろとヒヤリングをしているうちに、理由があきらかになってきました。
その方は、WordPressのサーバー移転をするにあたって、次のような作業項目が必要であると、大手ホームページ制作会社の担当から説明を受けていたとのことです。
●DBの移行
●移行後のリンク貼り直し
●CSS、PHPリンクの修正
●お問合せフォームの修正
●CSSなどのズレの確認
これらの項目のうち「htaccessの再作成」と「DBの移行」は理解できます。
さくらインターネットの場合「htaccess」に独自の記述がありますので、エックスサーバーに移転させるにあたっては、その部分を修正する必要があります。
「DBの移行」の移行も当然のことで、これを実施しないとWordPressは動作しません。
しかし、そのあとの「移行後のリンク貼り直し」「CSS、PHPリンクの修正」「お問合せフォームの修正」「CSSなどのズレの確認」の項目は、まったく理解できません。
「移行後のリンク貼り直し」は、ドメインを変えずにサーバーを移転するだけだったら必要ないはずです。
「CSS、PHPリンクの修正」に関してもまったく意味不明です。
同様に「「お問合せフォームの修正」に関しても理解不能です。
なぜ、サーバーを移転するだけなのに、お問合せフォームの修正が必要になるのでしょうか?
「CSSなどのズレの確認」も大いに疑問で、なぜサーバー移転でCSSがずれるのでしょうか?
ここまででもうお気づきだと思いますが、単純にWordPressのサーバー移転であれば、本来これらの作業は必要のないものばかりです。
それでは、大手ホームページ制作会社の担当者は、なぜそんな説明をしたのでしょうか?
理由は明確で、見積もり金額を水増しするためです。
不必要な項目を内訳にどんどん入れ込んで、見積もり金額が高額になっても不自然じゃないように見せるためです。
多少なりともWeb制作やプログラミングの知識のある方であれば、WordPressのサーバー移転でこれらの項目が必要ないことはすぐに気がつきます。
しかし、そういった知識のない一般の方であれば、大手のホームページ制作会社に必要だと追われれば、素直に信用してしまうに違いありません。
「大手だから安心」という思いがある人も多いようですが、そうした盲点をついてこのような悪質な見積もりを出してくる業者もいるということを知っておく必要あります。
そうしないと、数万円で済む作業に、数十万円もの大金を支払うことになってしまいます。
●本来の作業に必要のないものばかり
●見積もり金額を水増しするための説明
●数万円で済む作業に、大金を支払うことになってしまう
サーバー移転の料金が安いと信用できないのか?
大手のホームページ制作会社による数十万円のWordPress移転費に驚いて、弊社に相談したわけですから、安い料金であれば大歓迎のはずです。
ところが、実際にはそうではありませんでした。
大手のホームページ制作会社の料金にくらべて、弊社の料金があまりにも安すぎたことで、逆に不信感を抱いてしまったようです。
実際には、弊社の見積もり金額が安すぎるということはまったくなく、あくまでも相場ですし、十分に利益がでます。
しかし、大手ホームページ制作会社の担当者に洗脳されてしまっている方には、弊社の見積もり金額は不当に安いと感じてしまったようです。
「2000ページ以上もあるのに、5万円以下で出来るはずがない」という反応です。
ホームページのリニューアルであれば、ページ数に応じて料金が割高になるのは当然ですが、WordPressのサーバー移転の場合は、ページ数が多くても料金的にはそれほど変わりません。
ページ数が多いとダウンロードやアップロードに多少時間がかかるので、数千ページのWordPressであれば数万円の割増料金をいただくことになりますが、数十万円の見積もり金額には絶対になりません。
また、大手のホームページ制作会社が主張していた、WordPressのサーバー移転に直接関係のない項目についても、必要ないというこちらの話を、素直に聞いてくれなかったりします。
逆に「なぜこれらの項目が必要ないのか納得いくように説明してください」とこちらに食って掛かる始末でした。
このように不信感を抱かれた状態では、仮に仕事を受注したとしても、お互いに信頼関係は築けないと判断して、この案件はお断りをさせていただきました。
これからWordPressのサーバー移転を予定されている方には、たとえ大手のホームページ制作会社であっても、単純なWordPressの引越しで数十万円の費用は絶対にありえないということを、知っておいてほしいと思います。
●ページ数が多くても料金的にはそれほど変わらない
●割増料金をいただいても数十万円の見積もり金額にはならない
●単純なWordPressの引越しで数十万円の費用はありえない