HTML形式のホームページをWordPress化してリニューアルする予定の方で、これまで長い間使ってきたドメインやメールアドレスはそのまま使いたいと考えている人もいることでしょう。
WordPressでホームページを作成するにあたっては、HTML形式のサイトとは異なり事前にサーバーにWordPressをインストールしておく必要があります。
そのため、どうすればこれまでのドメインやメールアドレスを変えずにホームページをWordPress化したらいいのか悩んでいる人もいるかも知れません。
ここでは、これまでのドメインやメールアドレスはそのままで、ホームページをWordPressでリニューアルする方法について解説してみたいと思います。
WordPressにリニューアルしてもドメインはそのままが大切
最近はホームページを自社で管理したいと考えている会社も多く、HTMLの知識がなくても更新が可能なWordPressへのリニューアルが増えています。
しかし、WordPressに関する知識の乏しいホームページ制作会社にリニューアルを依頼すると、これまでの使っていたドメインを別のドメインに変更されてしまったりします。
ドメインを変更してしまうと、これまでのドメインに対するGoogle評価が完全にリセットされてしまうので気をつけなければなりません。
つまり、新規に制作したサイトとまったく同じ評価になってしまうのです。
また、これまで利用していた独自ドメインのメールアドレスなども使えなくなってしまいますし、会社案内やパンフレットなどに掲載していたURLもすべて修正しなくてはならなくなります。
ホームページのリニューアルにあたっては、ドメインは絶対に変えるべきではありません。
新規ドメインでのサイトリニューアルは、ホームページ制作会社にとっては楽ですが、サイトオーナーにとっては何のメリットがないばかりか、デメリットだらけということになります。
必ず、ドメインはそのままでリニューアルしてもらえるように依頼をしましょう。
●ドメインを変更してしまうと、これまでのドメインに対するGoogle評価が完全にリセットされてしまう
●独自ドメインのメールアドレスなども使えなくなる
●ホームページのリニューアルにあたっては、ドメインは絶対に変えるべきではない
ドメインそのままでなくても301リダイレクトで大丈夫?
少しばかりSEO的な知識のある方だと「そのままのドメインでなくても301リダイレクトをかければ大丈夫でしょう?」などと主張したりします。
独自ドメインメールを使用しておらず、会社案内やパンフレットなどにURLの記載がなければ、旧ドメインから新規ドメインに301リダイレクトをかければ、何も問題ないような気がするに違いありません。
しかし、それでもあえてそのままのドメインでリニューアルすることをお勧めいたします。
確かに301リダイレクトをかけることで、旧ドメインへのアクセスやGoogleのクローラを新ドメインへ転送させることは可能です。
しかし、残念ながら301リダイレクトではこれまでのドメインの評価を完全に引き継ぐことはできないのです。
Googleによるアナウンスでも、301リダイレクトで引き継ぐことのできる旧ドメインの評価は8割程度だと言われています。
実際に弊社でも過去に何度か経験がありますが、ドメインを変更した直後というのは、301リダイレクトかけたとしても自然検索からのアクセス数が大幅に減ってしまいます。
また、ドメインの変更直後だけはなく、長期的にみても元のアクセス数にはなかなか戻りません。
特に最近は、301リダイレクトを悪用したスパムサイトなどが増えていることもあり、リダイレクトをしているサイトに対するGoogleの評価はかつて以上に厳しくなっている印象があります。
ですから、ホームページをWordPress化するにあたっては、新規ドメインに301リダイレクトするのではなく、これまでのドメインをそのまま引き継ぐようにすることがとても大切になります。
●そのままのドメインでリニューアルすることをお勧め
●301リダイレクトではこれまでのドメインの評価を完全に引き継ぐことはできない
●リダイレクトをしているサイトに対するGoogleの評価はかつて以上に厳しい
ドメインそのままでリニューアルするためのWordPress設置方法
HTML形式のホームページと違い、WordPressでサイトを構築するためには、事前にサーバーにWordPressをインストールしなくてはなりません。
しかし、現在使っているドメインがあるときには、そのドメインに新規でWordPressをインストールすることはできません。
インストールをしたとたん、現在のサイトが表示されなくなってしまうからです。
WordPressによる新しいサイトが完成するまでの数ヶ月間、ホームページが使えなくなるというのはさすがに問題です。
そうならないためには、新しく制作するホームページを別ドメインで構築して、完成後にこれまで使っていた本来のドメインに変更をする必要があります。
別ドメインで構築するといって、リニューアルのためにわざわざ新たにドメインを取得する必要はありません。
これまで使っていたドメインの、サブドメインかサブディレクトリにWordPressをインストールすればいいのです。
たとえば、これまでの使っていたURLが「https://ABCD.com」だった場合、「https://XYZ.ABCD.com」あるいはhttps://ABCD.com/XYZ/」にWordPressをインストールして新しいホームページを構築します。
そして、新しいホームページが完成したら、本来の「https://ABCD.com」にWordPressをそのまま移設すればいいのです。
ただし、WordPressのドメイン変更は、慣れないと難しく感じると思います。
失敗してWordPressが表示されなくなってしまったり、内部リンクの書き換えがうまく行かなかったりすることもあり得ます。
不安があれば専門の業者に依頼をすることをおすすめします。
参考:WordPressのドメイン変更の方法と手順を分かりやすく解説
弊社でもWordPressのドメイン変更作業の代行サービスを提供していますので、自分でやるのは難しいと感じる方は以下のページをご覧になってみてください。
WordPressにリニューアルと同時に新規サーバーを契約するケース
ホームページをWordPress化してリニューアルする際に、これまで使っていたサーバーとは別のサーバーを契約するケースですと、サブドメインやサブディレクトリを使うやり方はできません。
別のサーバーを使って、これまでのドメインでWordPressを構築するやり方としては、2つの方法が考えられます。
1つ目は、これまで使っていたドメインをそのまま新しいサーバーに設置して、そこにWordPressをインストールしてしまう方法です。
もちろん、ネームサーバーが古いサーバーに割り当てられている状態だと、このままでは新しくインストールしたWordPressを見ることができません。
そこで、自分のパソコンだけで新しいサーバーで作成中のサイトを見ることができるように、「hosts」ファイルを編集します。
「hosts」ファイルはWindowsパソコンだと「C:\Windows\System32\drivers\etc」のフォルダーの中にあります。
Macだと「/etc/hosts/」の場所になります。
この「hosts」ファイルの一番下に、ドメインと新サーバーのIPアドレスを記述してあげればOKです。
たとえば、ドメインが「ABCD.com」でIPアドレスが「123.456.789.321」だとしたら、「ABCD.com 123.456.789.321」と記述すればいいのです。
こうすることで、そのパソコンだけは新しいサイトを表示することができます。
この状態のパソコンを使って新しいホームページを構築し、サイトが完成したらネームサーバーを新しいサーバーに切り替えればいいわけです。
この方法だと、ドメインはそのままでOKであとから変更する必要がないので楽ですが、「hosts」を編集したパソコンでは逆に古いサイトを見ることが出来なくなってしまいます。
そのため、作業をするにあたっては2つのパソコンを使い分ける必要がでてきます。
もう一つの方法は、新サーバーの初期ドメインにWordPressをインストールして、新しいサイトを構築していくやり方です。
この方法であれば、1つのパソコンで新旧両方のサイトにアクセスできますので、サイトを構築する際のわずらわしさがありません。
ただし、サイトが完成したあとに、初期ドメインから本来のドメインにWordPressを引越しする作業が必要になります。
先ほども書きましたように、WordPressのドメイン変更というのはけっこう面倒な作業なので、自分でやる自信のない方は専門業者に依頼をする方がいいでしょう。
●これまで使っていたドメインをそのまま新しいサーバーに設置して、そこにWordPressをインストール
●作業をするにあたっては2つのパソコンを使い分ける必要
●初期ドメインから本来のドメインにWordPressを引越しする作業が必要
WordPressにリニューアル後のURLとSEOに関する問題
HTML形式のホームページを、ドメインを変えずにWordPressにリニューアルする方法を解説させていただきましたが、リニューアル後のURLに関して少し注意しなければならない点があります。
HTML形式のサイトの場合、「https://○×○×.com/xyz.html」のようにURLの末尾に「.html」がついているのが一般的です。
これを普通にWordPress化すると、末尾に「.html」のない「https://○×○×.com/xyz/」という表示になります。
Googleは「.html」のあるなしで、それぞれ別のURLと判断しますので、そのままではSEO的にはあまり良くありません。
その対策としていくつか方法がありますが、一番簡単なのはWordPressのパーマリンクの設定を、カスタム設定で「/%postname%.html」とするやり方です。
カテゴリーを表示させている場合であれば「/%category%/%postname%.html」となります。
これで、WordPress化したあとのリニューアルサイトのURLは、HTMLサイトのときと同じ表示になります。
ただし、これが可能なのはあくまでも「投稿」のページだけであり、固定ページでは反映されません。
固定ページを「.html」付きのURLで表示させるためには「function.php」を編集する方法やプラグインを使う方法などがあります。
「function.php」を編集する方法だと、これから新規に投稿するページも含めて、すべて「.html」付きになってしまうというデメリットがあります。
「Custom Permalinks」というプラグインを利用すれば、特定ページだけを「.html」付きにすることができるのでとても便利ですが、このプラグインが将来的にずっと使えるかどうかという不安はあります。
もう一つの方法としまして、「.html」付きのURLから「.html」なしのURLに301リダイレクトをかける方法があります。
WordPress内の「.htaccess」に以下のような記述を追加すればOKです。
RewriteBase /
RewriteRule ^(.*)\.html$ $1/ [L,R=301]
この方法が一番分かりやすいと思いますが、下層ページにたくさんの被リンクがついているようなサイトだと、SEO的にマイナスになる可能性があります。
先ほども解説しましたが、リダイレクトをかけた場合Googleはリダイレクト元の評価を8割程度しか引き継がないからです。
いずれにしましても、HTML形式のホームページをWordPress化してリニューアルする際には、このURLの問題に関してどの方法がベストなのかを慎重に考慮して対策をする必要があります。