最高速度が200km/hオーバーというと、かつては一部のスポーツカーだけに限られましたが、最近の国産車だと普通のセダンが余裕で200km/h以上のスピードをたたき出してしまいます。
もちろん、日本国内で販売されている国産車にはリミッターが取り付けられているため、普通車だと180km/h、軽自動車だと130km/hまでしか出ませんが、多くの国産車はそれ以上のポテンシャルを持っていることになります。
日本の高速道路は基本的に100km/h制限となっていますので、クルマの最高速度にあまり意味はないのかも知れませんが、ここではあえてクルマのポテンシャルを知る意味で、国産車の最高速度について書いてみたいと思います。
スポンサーリンク
スポーツカーでも180km/h以下しか出なかった1980年代前半の国産車
1980年代前半までは、クルマの性能的には非常に厳しかった時代といえます。
1970年代後半から厳しくなった排ガス規制をクリアしつつエンジンをハイパワー化することが、当時の技術では困難でした。
そのため、スポーツカーであっても最高速度は180km/hを超えることはありませんでした。
1982年にベストカー誌が行った実測データによると、S130フェアレディZターボの最高速度は163km/hでした。
これは、現在の2000ccクラスのミニバンや、マーチやヴィッツといったファミリーカーの最高速度と同じくらいです。
同じフェアレディZでも、2800ccのエンジンを積んだ280Zだともう少しスピードがでましたが、それでも当時のデータで178km/hでした。
当時は、スポーツカーといえども、その程度のポテンシャルしかなかったということです。
1980年代後半になると250km/hオーバーの国産車が登場
排ガス規制がどんどん厳しくなった影響で、1980年代前半までの国産車のパフォーマンスは非常に低いものでした。
しかし、1980年代後半に入ってくると、国産車の性能は一気に向上します。
ベストカー誌のテストで、2代目ソアラ3.0GTリミテッドが、241km/hをたたき出して話題になったのがこの頃です。
その後、A70型スープラ3.0GTターボが、255.2kmをたたき出し、とうとう国産車も250km/hオーバーの時代に突入したわけです。
ちなみに、このときのスープラ3.0GTターボのスペックは、最高出力が240PS、最大トルクが35.0kgf.mとなっていました。
普通のセダンが余裕で200km/h以上の最高速度になる現在の国産車
1970年代以前の国産車のカタログには、最高速度が記載されていました。
しかし、日本の高速道路には100km/hという制限があることや、現在のクルマにはリミッターが装着されていることなどから、現在ではどのメーカーのカタログにも最高速度は記載されていません。
ところが、同じ国産車であっても、輸出仕様のクルマであれば最高速度を公表しています。
輸出仕様のクルマにはリミッターが取り付けられていないのと、アウトバーンなどの速度制限のない高速道路も海外にはあるため、最高速度を公表する意味があるのだと思います。
そういった輸出仕様国産車の公表データをみてみますと、マツダアクセラディーゼルが210km、スバルレガシィが210km、日産ティアナが200km/h、スカイライン200tが245km/h、日産フーガ(3.7L)が250km/hとなっています。
ご覧のように、ごく普通のセダンが余裕で200km/hオーバーとなっています。
マツダのアクセラにいたっては、高回転が苦手なはずのディーゼルエンジン仕様にもかかわらず、210km/hとなっています。
日産フーガの250km/hなどは、一昔前のスポーツカー以上といっていいでしょう。
もちろん、国内仕様だとリミッターが取り付けられていますので180km/hまでしかでませんが、ポテンシャルとしてはかなり高いものがあるということがお分かりになるかと思います。
遅いイメージのあるミニバンやクロカンの最高速度もバカにできません
ミニバンやクロカン車は、どうしても遅いイメージがあると思います。
特に、四角いフォルムで空気抵抗の高いミニバンの最高速度は、かなり厳しいと誰もが思うに違いありません。
ところが、日産エルグランド(3.5L)の輸出仕様車の公表データをみてみますと、最高速度は220km/hとなっています。
エルグランドは3代目となって車高が低くなっていますので、空気抵抗は以前のモデルにくらべて少なくなっていると思われますが、それにしても車重が2tもあるミニバンの最高速度が220km/hというのは驚きです。
大きくて重いクロカンの代表的な車種といえばランドクルーザーですが、このクルマも決して遅くはありません。
ランドクルーザー輸出仕様車の公表データによると、最高速度は210km/hとなっています。
車重が2.5tもある超ヘビー級のクロカン車であるランドクルーザーですが、5.7Lのエンジンパワーによって強引に200km/hオーバーを実現しているわけです。
スポンサーリンク
コンパクトカーであっても最高速度170km/h程度は普通にでます
普通に考えるとあまりスピードがでないと思えるコンパクトカーですが、これがなかなか侮れません。
トヨタヴィッツ(1.3L)やスズキスイフト(1.2L)の輸出仕様の公表データは、165km/hとなっています。
同じヴィッツであっても、1.5Lになると最高速度は170km/hとなります。
意外に速いのが日産マーチで、1.2Lにもかかわらず公表データでは175km/hとなっています。
1980年代前半のスポーツカーなみの俊足ぶりです。
輸出仕様コンパクトカーで最速なのは、日産ノート(1.6L)で、最高速度は180km/hとなっています。
軽自動車であっても130km/hのリミッター作動までキッチリ出ます
軽自動車というのは国内のみでの販売となりますので、輸出仕様の公表データはありませんが、ベストカー誌が行ったN-BOXの実測データですと、132.16km/hという記録があります。
つまり、軽自動車のリミッターが作動する130km/hにしっかりと達しているということになります。
このN-BOXはノンターボ仕様のためパワーはわずか58PSしかありませんが、900kgもあるボディを130km/hまで引っ張ってしまうわけですからたいしたものです。
しかも、N-BOXは空気抵抗の大きい真四角なボディ形状です。
いまの軽自動車は、本当に速くなっていると思います。
ちなみに、この132.16km/hというのは実測データですので、メーター読みだと140km/h以上の表示になっていると思われます。
輸出仕様国産車で最速なのはGT-Rの315km/hとなります
輸出仕様国産車で最速データをたたき出しているのは、日産のGT-Rで315km/hとなっています。
スーパーカー世代の人が憧れた300km/hオーバーを、国産車が実現する時代になってしまっているわけですね。
参考記事:スーパーカーブームの立役者カウンタックは本当に300km/hもスピードが出たのか?
GT-Rに関しては、ベストカーで実測をしていますが、そのときのデータは311.17km/hとなっていますので、ほぼメーカーの公表データ通りのスピードが実際にでることがお分かりになるかと思います。
スーパーカーブーム当時のクルマはキャブレター仕様でしたので、同じクルマであってもエンジンの状態によって性能にバラつきが生じてしまい、実際に300km/h以上のスピードで走ることは困難でした。
しかし、キャブレターから電子制御式のインジェクションに代わった現代のクルマは、コンスタントに最高のパフォーマンスを発揮できるようになっています。
国産車のなかでGT-Rのライバルと呼べるほど高性能なクルマは、ホンダのNSXくらいしか見当たりませんが、NSXの最高速度は、ベストカーの実測データで296.13km/hとわずかに300km/hにとどいていません。
GT-R以外で最高速度を公表している国産の輸出仕様車で上位にランクインしているのは、レクサスのLC500とRCFで、ともに270km/hとなっています。
中央高速道を、ダッジ・チャレンジャーというクルマを使って235km/hの猛スピードで走っているところをオービスに捕捉された男が話題になりました。
参考記事:警察を本気にさせてしまった中央高速235km/h暴走男の誤算~警察なめんなよ!
国産車であってもリミッターのない輸出専用車であれば、同じようなことができてしまうわけですね。
ちなみに、世界に目を向けてみますと、400km/hオーバーの最高速度をほこるクルマがゴロゴロしています。
文・山沢 達也
スポンサーリンク