自分がいま乗っているクルマを下取りにだしたり買取り専門店に売却をしたりするときに、雑誌などの中古車販売価格を参考にする人がいるようです。
そして、雑誌などに掲載されていた自分のクルマと同じ車種の中古車販売価格にくらべて、ディーラーや買取専門店での査定額が低いことに不満を持つ人もいたりします。
しかし、少し考えてみれば分かることですが、販売価格と買取価格がまったく同じだったら、中古車販売店はタダのボランティアということになってしまいます。
どんな商売でもそうですが、仕入れ価格と販売価格はあきらかに差があります。
仕入れ価格に、お店を維持するための諸経費や、自分たちが食べて行くための利益を上乗せするのは当然のことだからです。
そういった当然のことを、自分がクルマを売却するときにはつい忘れてしまって、買取り価格に不満を持ってしまったりする人が少なからずいるわけです。
それでは、実際にクルマの買取価格というのは、販売価格とくらべてどれくらいの差が生じるものなのでしょうか?
実際の事例などをもとに見て行くことにしましょう。
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中古車の販売価格から割り出す買取価格のおおまかな目安
中古車雑誌に出ている販売価格をみて、それと同じ金額で買取りや下取りをしてくれると思うこと自体が、あきらかな間違いであることは先に述べた通りです。
しかし、実際に雑誌に掲載されている中古車の販売価格を参考にして、自分のクルマの買取価格を予想することは可能です。
予想といっても、特に難しいことをする必要はありません。
ざっくりとですが、中古車販売価格の7割前後が、ディーラーや買取専門店に持ち込みをしたときの買取価格になると考えてもらえばOKです。
「中古車販売店は3割も儲けているのか?ボロ儲けじゃないか!」などと早とちりしないでください。
中古車というのは、買取りをした店がそのまま自分の展示場でそのクルマを売ることもありますが、多くの場合はオートオークションを経由して取引されることになります。
つまり、「元オーナー→買取り店→オートオークション→販売店→新しいオーナー」という流れになるわけです。
買取り店もオートオークション会場も販売店もボランティアではありませんから、それぞれが経費や利益を計上しなければなりません。
その結果、元オーナーがクルマを売るときに手にするお金は、新しいオーナーが購入する金額の7割程度ということになるのです。
もし、中古車の売買において中間マージンを搾取されるのがどうしても嫌だということであれば、ヤフオクなどで個人売買をするという選択肢もあります。
しかし、個人売買は非常にリスクが高く、なかには詐欺的な業者がヤフオクの個人売買に参入していることも少なくありませんので注意が必要です。
参考記事:ヤフオクで中古車の個人売買をすることの危険性を知るべし
オートオークション相場よりも高い買取り価格はウソなのか?
クルマの買取り専門店による査定額は、ディーラーなどの下取り価格にくらべて高くなることが多いといわれています。
ときには驚くような値段で買取りされることもあるようです。
そういったクルマ買取り専門店のホームページなどに記載されている高額な買取り実績を見て、ウソの誇大広告だと指摘する人もいるようです。
彼らの言い分は、「オートオークションの相場よりも高く買取りできるはずがない」というものです。
確かに、オートオークションで落札される価格よりも高い値段で買取りしてしまったら、お店は赤字になってしまいますから、そんな値段で買取りできるはずがないという主張はもっともらしく聞こえます。
しかし、買取り専門店のなかには、自社で中古車を販売するための大きな展示場を持っているところも少なくないのです。
つまり、一般の中古車売買における流れは「元オーナー→買取り店→オートオークション→販売店→新しいオーナー」となりますが、自社の展示場で販売することのできる買取り店であれば「元オーナー→買取り店(販売店)→新しいオーナー」と、非常にシンプルな流れになります。
流通過程にかかわる業者の数が減れば、それだけ中間マージンを節約することができますから、高く買取りすることも十分に可能になるのです。
また、そのお店のお客様のなかにたまたまその車種を探している人がいたりすることがあります。
そういったときにも、買取店は相場よりも高く買取りをしてくれることがあります。
こういったケースの場合は、お店としても買取りをしたクルマが在庫として売れ残ってしまうリスクがないために、高い査定額を提示することが可能になるのです。
このような理由から、一部の買取り専門店がオートオークションの相場よりも高く買取りをすることは十分にあり得ますし、決してウソの実績をホームページなどに掲載しているわけではないのです。
一般のルートだと、中古車販売価格の7割程度になってしまう買取り価格ですが、自社の展示場で直販をしている買取り店であれば、販売価格の80%~85%程度の査定額を提示してくることは十分にあり得るわけです。
そのため、クルマを売るときにはなるべくたくさんのお店に査定をしてもらって、実際の買取価格を比較するようにしたほうがいいでしょう。
ただし、査定を受けるために何件もお店をまわるのは大変です。
最近では、ネットから複数のお店に一度に査定をしてもらうことのできる一括査定サイトが人気になっているようですので、利用をしてみるといいでしょう。
年式が古く販売価格の低いクルマは5割以下の買取価格になることも
中古車の販売価格に対して買取価格は7割前後が目安になるというお話をさせていただきましたが、これはクルマにある程度の残価が残っていて、それなりの値段で販売できるときに限られます。
年式が古くて、中古車市場における車両本体の価格が安くなってしまうクルマの場合は、この割合は大きく下がってしまいます。
たとえば、中古車として100万円で販売できるクルマであれば、この金額の7割にあたる70万円で買取りをしても、30万円の差額が生じますので、流通過程における経費や利益を十分に出すことができます。
ところが、年式が古いために10万円程度でしか販売できない中古車を、この金額の7割にあたる7万円で買取りをしてしまったら、残りは3万円です。
買取店のマージン+オートオークションのマージン+販売店のマージンの合計が、たった3万円ということであれば、業者は確実に赤字になってしまうことでしょう。
そのため、中古車としての販売価格が低いクルマの場合は、どうしても買取価格と販売価格との差額が大きく開いてしまうのです。
業者にしてみれば、中古車を買取りしたり販売したりする手間というのは、高額なクルマであっても安いクルマであってもそれほど変わりません。
販売価格の低い中古車を取り扱って利益を出すためには、どうしても買取価格を低くおさえざるを得ないということになります。
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実際の中古車販売価格と買取り価格を事例でみてみましょう
ここまで、中古車販売価格から大まかな買取査定額を知る方法を紹介してきました。
ある程度の価値のある中古車であれば、販売価格の7割程度が買取り価格になり、一部の自社販売をしている買取り店であれば8割以上になる可能性もあるということがお分かりになったかと思います。
ただし、これらの数字はあくまでも目安あり、実際には車種やクルマの状態によっても査定額は大きく変わったりします。
買取りしてすぐに売れてしまうような人気車種であれば、薄利でも買取りをすることがありますし、あまり人気がなく在庫リスクがある車種であれば、販売価格に対してある程度は幅を持たせた買取り価格になってしまう可能性があります。
それでは、実際にどれくらいの価格で中古車の売買が行われているのかを、グーネットやみんカラ買取相場といったサイトを参考にして、プリウスとアクアの事例を紹介してみたいと思います。
プリウスの場合にはどれくらいの価格差になるのか?
ハイブリッドカーを代表するプリウスですが、中古車市場でも非常に人気の高いクルマです。
中古車販売店にしてみれば、売れなくて在庫になってしまうという心配が少ないため、安心して仕入れをすることのできる車種の1つといっていいでしょう。
7年落ちで走行距離が5万5千km~6万kmのプリウスを一括査定サイト経由で4社に査定をしてもらった結果、一番高い業者の買取り価格が70万円になったという事例があります。
同じく7年落ちで、走行距離が10万km~11万kmのプリウスを5社に査定依頼して最高提示額が56万円になった事例があります。
それでは、同じ年式と走行距離のプリウスが、実際に中古車販売店でどのくらいの価格で売られているのか見てみましょう。
7年落ちで走行距離が5万km~6万kmのプリウスをグーネットで見てみると、事故車やカスタムカーを除いた場合80万円~120万円ほどが相場となっています。
平均すると、100万円前後がこの条件でのプリウスの中古車販売価格といえそうです。
先ほどの事例で、7年落ちで走行距離が5万5千km~6万kmのプリウスの売却価格は70万円でしたので、販売価格のおよそ70%が買取り価格になっているということがお分かりになるかと思います。
こんどは、同じく7年落ちで走行距離が10万km~11万kmのプリウスでみてみましょう。
この条件でグーネットをみてみると、事故車や一部のカスタムカーを除くと、50万円~105万円程度の価格で売られているクルマが多いようです。
平均すると、80万円前後がこの条件のプリウスの中古車販売価格ということがいえそうです。
先ほどの、7年落ちで走行距離が10万km~11万kmのプリウスの買取り事例が56万円でしたから、やはり中古車販売価格のおよそ70%が買取価格ということになります。
参考記事:プリウスの買取り相場と査定価格~5年落ちと10年落ちの事例でみる下取りとの比較
アクアの売り値と買い値の差はどれくらいか?
プリウスの事例で、中古車価格のおよそ70%が買取価格ということがお分かりいただけたかと思いますが、こんどは同じく人気車種であるアクアの事例でみてみることにしましょう。
2013年式アクアのグレードSを、2017年6月に査定をしてもらったところ、提示額が65万円になったという事例があります。
走行距離は6万km~6万5千kmですので、4年落ちにしてはやや走っている印象です。
こんどは、同じ条件のアクアの中古車販売価格をみていくことにしましょう。
グーネットで検索をしてみると、2013年式で走行距離が6万km~7万kmのアクアの中古車販売価格は、事故車やカスタムカーを除くと2017年6月の時点で70万円~140万円ほどとなっています。
平均すると、100万円前後の販売価格になっているようです。
先ほど紹介した同条件での買取り事例が65万円でしたので、販売価格の平均に対して65%ということになります。
この事例だと、ちょっと買取り価格が渋い感じがします。
実際この事例のオーナーは、最終的にはディーラーの提示した下取り価格の方が高かったということで、そのままディーラーに下取りにだしたようです。
買取り専門店だからといって、必ずしもディーラーの下取り価格よりも高い査定額が提示されるというわけではないようです。
そういった意味では、なるべくたくさんの買取り業者に査定をしてもらって比較をすることが、クルマを高く売るための秘訣であるといえそうです。
参考:アクアの買取価格の詳細はこちら
10年落ちで12万km走行のフィットだとどれくらいの差額になるか
中古車の販売価格に対して、買取価格が7割程度になるのは、あくまでもある程度の価格で店頭に展示できるクルマに限られるというお話を先にさせていただきました。
年式が古くて店頭での価格が低い中古車の買取価格は、販売価格にくらべてどうしても低いものになってしまいます。
例として、走行距離が12万kmで10年落ちのフィットの販売価格と買取り価格を比較してみましょう。
ナビクルのデータでみてみますと、12万kmで10年落ちフィットの買取価格は3万円~7万円ほどです。
これに対して、gooネットで同条件のフィットの販売価格を見てみますと15万円~30万円の価格帯になっています。
これらのデータから、10年落ち12万km走行したフィットの販売価格に対する買取り価格の割合は、20%~25%程度になってしまうということが分かります。
金額差でいうと12万円~23万円ほどということになります。
つまり、年式が古いクルマの販売価格というのは、ほとんどが流通過程で生じるマージンの分であるということになるのです。
クルマに限らず、販売価格が低い商品の場合は、どうしてもそうならざるを得ないのです。
ちなみに、リサイクルショップなどに日用品を持ち込んでみると分かりますが、お店で販売されている商品の価格に対して、買取り価格は驚くほど安いです。
値段の安い商品を売ってお店の維持費や人件費を捻出するためには、どうしても販売価格と買取り価格の差を大きくするしかないわけです。
年式の古いクルマを買取り専門店に持ち込んだときに、店頭で売られている価格にくらべて買取り価格がものすごく低いと感じることがあるかも知れませんが、けっして業者がボロ儲けをしているというわけではないのです。
クルマの買取価格を少しでもアップしたいのであれば、以下のような一括査定サイトで複数の業者の査定額を比較してみるといいでしょう。
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