車を少しでも高く売るためのテクニックとして、あまり根拠のない都市伝説的なことがけっこう信じられていたりします。
ひょっとしたら、あなたもその都市伝説を信じている一人かも知れません。
ここでは、やってもほとんど効果のない、間違いだらけの車の査定アップのテクニックについて解説してみたいと思います。
1.車検を取ってから売った方がお得になるって本当?
「車検切れの車は高く売れないから、事前に車検をとってから査定してもらったほうがいい」
そんなことを聞いたことがある人も多いと思います。本当でしょうか?
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1-1 車検を取る前と取った後の査定額の差に注目
確かに、完全に車検の切れてしまった車よりも、車検が残っている車の方が高く売れます。
車検が残っている期間に応じて、その残価がプラス査定されるのですから当然です。
そういった意味では、都市伝説は間違いではないのかもしれません。
しかし、問題なのは完全に車検が切れてしまった車に対して、新たに車検を取るための費用とその結果査定額がアップする金額を比較した場合にどうかなのです。
多くの場合、新たに車検を取得した費用以上に査定額がアップすることはありません。
新たに車検を取る費用は、車のサイズや古さにもよりますが、10万円~16万円程度になると思います。
それに対して、車検がまるまる2年ある車の買取り額は、車検なしの場合に比べて5万円~7万円程度のプラスにしかならないようです。
なぜでしょうか?その理由はいくつかあります。
1-2 車検の残価はどんどん減っていく
車の販売店にしてみれば、車検を取得済みの車の場合、すぐに売れなくて在庫となってしまった場合、買い手がつくまでの期間どんどん車検の価値が目減りしていってしまいます。
ところが、車検切れの車であれば、買い手が見つかってから新たに車検を取得して販売をすればいいので、そういったリスクがありません。
車を買い取る側にしてみれば、当然そういったリスクを考慮していますので、新規に車検を取得する以上の価値を査定額にプラスすることはあり得ないのです。
1-3 自社で整備工場を持っていることが多い
また、中古車販売店の多くは、自社で車検を取得できる整備工場を持っていたりします。
当然のことですが、自社の工場で処理をすれば、よそに持ち込んで車検を受けるのに比べてその経費分が安くなります。
このように、車を売る際には新たに車検を取得するメリットはまったくありません。
車検切れの車は、そっくりそのまま車検が切れた状態で査定を受けるようにしましょう。
2.車に傷やへこみがあったら事前に修理すべき?
「車に傷やへこみがあると査定額が下がってしまうので、修理してから買取り店に持って行ったほうがいい」
これも、よく言われる都市伝説の一つですね。
しかし、これも実は大きな間違いなのです。
2-1 修理代以上に査定額がアップすることはない!
たしかに車に傷やへこみがあれば、それはマイナス査定となってしまい、評価を下げられてしまいます。それは仕方のないことです。
しかし、だからと言って査定を受ける前にそれを修理すべきかどうかということとは別問題です。
なぜなら、傷やへこみの修理にかけた費用以上に査定額がアップすることは考えにくいからです。
車の買取り業者や中古車販売会社では、自社で修理工場を持っていたり、系列の修理工場と提携をしていたりするところが多いです。
つまり、あなたが町の修理屋さんで直してもらう費用にくらべて、安い費用で修理をすることが出来るのです。
町の修理屋さんの場合ですと、部品代や人件費のほかに利益を出さなくてはなりません。
それに対して、自社の工場で済ませた場合には、部品代と人件費などの実費しかかかりません。
2-2 修理に10万円かけて5万円も損する!?
その結果、あなたが修理代に10万円かけたとしても、査定額が10万円以上アップすることはないと考えるのが自然です。
おそらく、5万円から6万円程度のアップにしかならないでしょう。
結果的に4万円から5万円も損をすることになってしまうのです。
うっかり都市伝説を信じると、大変なことになってしまいますね。
このように、車を売る際には、基本的に修理をしないでそのまま査定をしてもらうというのが正解だということを覚えておいてください。
参考記事:車の査定でボディに「へこみ」があるときのマイナス評価は?
3.粘り強く交渉すれば本当に高く売れる?
複数の業者を競わせることで、1社だけと交渉するよりも確かに車の買取り価格は高くなるでしょう。
それは当然のテクニックですし、だからこそ最近はネットの一括査定が人気になっているわけです。
車種によっては、買い取り額に数十万円もの差がでることがありますので、1社だけの査定額で売却してしまうのは、本当にもったいないことです。
しかし、複数の買取り業者を競わせることで査定額がアップするとはいっても限度というものがあります。
3-1 粘っても青天井には査定額はアップしない
たとえどんな人気車種であったとしても、赤字で仕入れをする会社はありません。
中古車の販売価格の目安というものが決まっている以上、そこから逆算した仕入れ価格の限界というものが当然存在します。
つまり、マニア向けのオークションのように青天井には値段は吊り上がらないということです。
しかも、マニアックな商品であれば、その商品価値が時間とともに目減りしていくということは考えにくいですが、車の場合はそうはいきません。
そうやって、交渉を長引かせている間にも、どんどん車の価値は目減りしていってしまうのです。
3-2 やり過ぎると逆効果になることも
買い取り価格をあと1万円とか2万円上げようとして、一か月以上も粘っている間に、当初の評価よりも逆に下がってしまうケースもあるでしょう。
その間に運悪く、新型の発表などがあったりすると、買い取り価格が暴落してしまうことだってあり得ます。
あわてて以前に高値をつけてくれた業者に連絡をとっても、
「それは一カ月以上前の査定額ですからね。さすがにその値段ではいまは無理ですよ」
などといわれてしまうのがオチでしょう。
複数の業者を比較して少しでも高いところに売るという考えは決して間違いではありませんが、やりすぎは禁物ですので注意してくださいね。
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4.一括査定で一番高い業者だけと交渉すればOK?
最近は、中古車の一括査定サイトが増えてきました。
ネットからいくつかの簡単な項目を入力するだけで、あなたの車のおおよその買い取り価格を複数の業者から提示してもらうことが出来ます。
最大で10社近くの買取り業者から査定を受けることのできるサイトもあるようです。
車にもよりますが、実際にこういったサイトを利用して、ディーラーの下取り価格よりも30万円とか40万円も高く売れたという事例もたくさんあります。
ただ、こうした車の一括査定サイトもうまく活用しないと、あまり意味のないものになってしまうこともありますので、注意が必要です。
4-1 一括査定はあくまでも概算での金額です
本来、車の査定というものは、実際に目で見てみないことには正確な数字をだすことは出来ません。
サイトから入力された年式や走行距離だけでは、大まかな数字しかだすことが出来ません。
つまり、サイトから申し込んだ時点で各社から出てくる査定額というのは、あくまでも概算だということです。
最終的には、実際に車を見てもらって買い取り価格を提示してもらわなければなりません。
4-2 概算の段階で業者を1社にしぼってはいけない理由
多くの人がやりがちな間違いは、実際に車を見てもらう業者を、概算の段階で1社に絞ってしまうことです。
たとえば、5社から概算の査定額の提示を受けたときに、その中で一番高い買い取り額を提示してきた1社だけを残して、残りの4社は車を見てもらう前に断わってしまうやり方です。
これがなぜいけないのかというと、結局は現地まで車を見に来た1社の業者のいいなりになってしまう可能性が高いからです。
概算の段階ではあえて高い買い取り額を提示しておいて、実際に車をみてもらうと、細かなマイナスポイントを指摘して、どんどん買い取り額を下げてくる業者もいます。
ネットで算出してもらった査定額は、実車を見ないでの概算ですから、想定外のマイナスポイントがあったと主張されても文句はいえないのです。
参考記事:車の一括査定の落とし穴~一番高い業者に即決してはいけない理由
4-3 現地で複数の業者に見てもらうのが基本
ですから、ネットでの一括査定を利用した場合であっても、実際に現地まで来てもらう業者は複数残しておかなければなりません。
5社から概算の査定額を出してもらったら、そのうちの明らかに高く買い取る気のない業者をお断りして、残りの3社で実車を見てもらうのが正解です。
そうすれば、たとえ実際に傷などのマイナスポイントがあったとしても、その判断は3社まちまちですので、1社と交渉するのとくらべて圧倒的に売る側が有利になるのです。
一括査定で提示された一番高い買い取り額は、あくまでも概算であるということを肝に銘じておきましょう。
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