クルマを購入するときにローンを組む人の割合は、6割ほどだといわれています。
だだ、ディーラーでローン扱いとなるのは、あくまでも自社で提携している自動車ローンを利用するときだけであり、銀行のマイカーローンなどを利用する場合は現金払い扱いとなります。
そのため、実際にはどれくらいの割合の人がローンでクルマを購入するのか、正確な割合は分かりません。
いずれにしましても、ローンでクルマを購入した以上は、毎月決められた額を返済していかなければなりません。
クルマをローンで購入すると車両の名義が信販会社となるのが一般的ですので、ローンの返済が滞るとクルマを没収されることになります。
クルマの名義人が信販会社である以上、没収されても文句は言えません。
自動車ローンの滞納に関しては、そういった対応されるというのがこれまでの常識でした。
ところが最近、クルマのローンに関する驚くべきサービスが登場しました。
それは、クルマのローンを滞納すると、エンジンがかからなくなるというファイナンシャルサービスです。
MCCSという機器を設置することで、そういったことが可能になるのです。
西京銀行とGMSによって開発された新たな車向けのファイナンスサービス
クルマのローンを滞納していると、最終的にはクルマを没収されることになりますが、ローンを提供する側にすれば、それはそれで手間のかかる作業になるわけです。
ところが、西京銀行とGMS(グローバルモビリティサービス株式会社)によって提供される新しいファイナンスサービスは、これまでのそういったローンの滞納に対する対応方法を根本的に変えてしまいました。
この新しいファイナンシャルサービスは、MCCSという装置を車本体に設置することで、ローンを滞納している人のクルマのエンジンを、遠隔操作でかからなくすることが可能になります。
エンジンのかからないクルマを所有していても意味がありませんから、クルマに乗るためには滞納している分をどうしても支払わざるを得なくなります。
勝手にクルマのエンジンがかからなくなると危険なのでは?
お金を貸す方にしてみればとても便利なシステムではありますが、お金を借りる側にしてみれば、いつエンジンが止められるか分からない状況というのは、とても不安に感じると思います。
特に、走行中にエンジンがストップしてしまったりすると、危険な状況を引き起こしかねません。
しかし、そういった部分に関してもこのシステムではしっかりと考えられており、センサーからの情報により走行中はエンジンが止まることがないような仕組みになっています。
また、GPSモジュールを装備しているため、出かけた先でエンジンがかからなくなるということもないようです。
つまり、自宅や自分が契約している駐車場にクルマがあるときにのみ、エンジンがかからなくなるように設計されているわけです。
買い物に出かけた先でエンジンがかからなくなって帰宅できなくなってしまっては困りますので、そういった部分にも配慮しているシステムになっているわけです。
自動車ローンの審査に通らない人が全国で200万人います
冒頭にも書きました通り、クルマは高額商品ですので、現金で買う人よりもローンで買う人の方が多い傾向にあります。
しかし、ローンでクルマを購入したいにもかかわらず、審査に通らないという人も少なくありません。
実際、自動車ローンの審査に通らない人は全国で200万人ほどもいるといわれています。
過去に金融トラブルを起こしたり債務整理などをしたりしたことのある人は、信用情報機関のブラックリスト(異動情報)に掲載されてしまっていますので、クルマのローンに限らず基本的にどこからもお金を借りることはできません。
信用情報機関に掲載された異動情報が消えるまで5年ほどかかりますので、それまでは一切のローンが組めなくなります。
また、信用情報機関のブラックリストに掲載されていなくても、収入の低い人や65歳以上の人は審査に通りにくいといわれています。
地方に住んでいる人にとっては、クルマはある意味では生活必需品といえますので、自動車ローンの審査が通らないということになると、生活に支障が出てしまう可能性があります。
そういった自動車ローンの審査に通らない人にとって、今回のMCCSは救世主となる可能性があります。
なぜなら、独自の与信審査によって、これまで自動車ローンの審査に通らなかった人でも、クルマにMCCSを装着することによって、審査に通る可能性があるからです。
つまり、MCCS装着によって、これまでの自動車ローンにくらべて、審査が通りやすくなるということです。
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ローンの審査には通りやすくなりますが金利は高めです
MCCSを装着したクルマは、ローンの返済が滞るとエンジンをかからなくすることができますので、お金を貸す側にすれば審査のハードルを下げることが可能になります。
ローンを滞納すると遠隔操作でエンジンがかからなくなってしまうわけですから、基本的には滞納はできなくなりますので、審査の基準をさげることが可能になるわけです。
そのため、これまで自動車ローンの審査に通らなかった人でも、MCCSを装着したクルマであればローンでクルマを購入できる可能性がでてきます。
ただし、このMCCSを使ったファイナンシャルサービスは、金利が高めであるというデメリットがあります。
自動車ローンの金利は、ディーラーが提携している信販会社系のローンで、5%前後となるのが一般的です。
銀行が提供するマイカーローンだと、2.5%~4%程度の金利となるところが多いです。
ところが、このMCCSのファイナンシャルサービスを利用するときの中京銀行の貸出金利は12%とかなり高めです。
12%というと、まさに銀行カードローンの金利と同じくらいです。
融資期間は6ヵ月以上7年以下となっていますが、あまり長期間のローンを組むと、金利が高いだけに利息の負担が大変になってしまいそうです。
ローンの支払いが苦しくなって、途中でクルマを手放さざるを得ないような状況になってしまう可能性もありますので、返済期間に関しては慎重に検討をする必要がありそうです。
参考記事:ローンが残っている車を売ることは可能か?~買取専門店への売却がベストです
このようにMCCSを使ったファイナンシャルサービスは、滞納時にエンジンをかからなくすることと、高めの金利に設定することよって、これまでの自動車ローンにくらべて審査に通りやすくしているわけです。
ちなみに、このMCCSを利用したファイナンシャルサービスですが、いまのところ利用できるのは、タントとスペーシアの新車を買うユーザのみとなっています。
フィリピンではすでに1000台以上のクルマにMCCSが導入されています
GMSによるMCCSを使ったファイナンシャルサービスは、日本に先立ってフィリピンで導入されています。
日本のように与信審査のための情報を提供する機関がないフィリピンなどのASEAN諸国では、ローンやリースなどの審査はどうしても慎重にならざるを得ませんでした。
しかし、MCCSによるファイナンシャルサービスを利用することによって、そういった問題を解決することができるわけです。
フィリピンでは、すでに1000台以上のクルマにこのMCCSが導入されているそうですが、いまのところトラブルはまったく発生していないそうです。
また、クルマだけではなく、農機具や工作機械、医療機器などといった機器にもMCCSは導入可能になっています。
そういった高額な機器を導入したくても、与信の問題で金融機関からの融資を受けることができなかった人たちであっても、これからはMCCSによるファイナンシャルサービスによって、導入が可能になっていくかも知れません。
文・山沢 達也
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