車というのは定期的にフルモデルチェンジを繰り返します。
モデルが古くなるとどうしても売れ行きが悪くなるので、新型を投入してテコ入れをはかるわけです。
そういったフルモデルチェンジに伴って、旧型の中古車市場での相場は大きく変化しやすいといわれています。
普通に考えれば、新型への買い替えが進むことによって、旧型の中古車が市場に大量に出回るようになりますから、中古車の価格は下がるということになります。
しかし、実際には必ずしもそうならないことも多いようです。
たとえば、新型の人気がイマイチだったような場合です。
新型への買い替えがあまり進まないばかりか、もう新車では手に入れることができなくなってしまった旧型の中古を求める人が多くなるため、中古車の価格が上がることもあるのです。
それでは、実際に車種別に、フルモデルチェンジ前後の中古車価格についてみていくことにしましょう。
スズキのスイフトスポーツのモデルチェンジ前後の中古車価格
スズキのスイフトスポーツは、2017年の9月にフルモデルチェンジが行われました。
旧型のエンジンが1.6Lの自然吸気エンジンだったのに対して、新型のエンジンは1.4Lの直噴ターボとなっています。
スイフトスポーツがフルモデルチェンジされる直前の2017年8月における中古車の平均価格は、126万円となっていました。
それが、モデルチェンジ当月となる9月には130万円となり、さらにその翌月の10月も同様に130万円となっています。
つまり、スイフトスポーツはモデルチェンジのタイミングで、前の月にくらべて平均で4万円ほど中古車相場があがり、翌月もそのまま推移をしているということになります。
自然吸気エンジンからターボエンジンに変わったことで、自然吸気派に旧型が支持されているのかも知れません。
なぜか中古車価格が高騰している日産リーフ
電気自動車である日産リーフは、2017年10月にフルモデルチェンジが行われて2代目となりました。
先代ではあまり評判がよくなかったスタイリングも一新し、バッテリーなどの性能も飛躍的に伸びています。
参考記事:新型日産リーフのグレード別の特徴を比較してみました~どのグレードがお買い得?
そのため、旧型から新型への買い替えが進み、その結果として中古車価格は暴落するかと思われましたが、予想に反してリーフの中古車相場は暴騰しているのです。
モデルチェンジ前の8月の中古車相場の平均が126万円、翌9月には130万円、そして新型が発売された10月には144万円まではね上がってしまいました。
実は、一時期リーフの中古車価格が暴落していたことがありました。
参考記事:日産リーフの中古車価格が暴落している理由~近所の買い物にしか使えない?
リーフの中古車は、バッテリーの容量低下による航続距離の問題が指摘されていたからです。
あまりにも暴落しすぎたことによる反動で値上がりをしているのでしょうか?
あるいは、新型リーフの発売直後に日産が無資格検査の問題で出荷停止を表明したことによって、新車が手に入りにくくなったことから中古車が注目されるようになったのかも知れません。
いずれにしても、真相は謎です。
モデルチェンジでも中古車相場に変化のないダイハツのミライース
ダイハツのミライースは、2017年5月にフルモデルチェンジされました。
旧型にくらべてちょっと角ばったエクステリアになりましたが、それほど大きな変化はないためか、中古車市場の相場はほとんど変化がないようです。
フルモデルチェンジ前後の、4月~6月までのミライースの中古車平均価格は、72万円でまったく変わりません。
同じような傾向は、ホンダのN-BOXなどにもあり、新型が発売された2017年9月をはさんだ前後の8月~10月の中古車の平均価格は、121万円とまったく変わりません。
もともと軽自動車の中古車相場は高めですので、フルモデルチェンジの影響をそれほど受けないのかも知れません。
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トヨタのフラッグモデルであるレクサスLSの場合
トヨタのフラッグシップモデルであるレクサスLSが、いよいよ2017年10月にフルモデルチェンジされました。
旧型がセルシオの後を引き継いで登場したのが2006年でしたから、実に11年ぶりのフルモデルチェンジということになります。
11年間も市場に出回っていたモデルですから、新型の登場とともに旧型の中古車相場は暴落しそうなものですが、意外にそうでもないようです。
ガソリン車は緩やかながら平均中古車相場が下がっていますが、ハイブリッドにいたっては、むしろ大幅に中古車価格が上昇しています。
2017年8月時点の相場にくらべて、新型が登場した10月の時点でハイブリッドの中古車平均価格が30万円もアップしています。
新車の納車までに時間がかかるために、年式の新しい中古車に人気が集中しているのかも知れません。
2月にフルモデルチェンジをしたマツダCX-5の中古車相場
マツダの人気SUVであるCX-5は、2017年2月にフルモデルチェンジをしています。
モデルチェンジの1ヶ月前である1月の平均中古車価格は221万円でしたが、モデルチェンジが行われた2月は218万円まで若干落ちています。
しかし、翌月の3月には231万円と平均中古車価格が13万円も上がっています。
これは、おそらく3月は中古車の需要期であるということが影響していると思われます。
その証拠に、CX-5の中古車価格はその後に下落に転じて、半年以上過ぎた現在では、180万円台となっています。
3月は新社会人となる人が中古車を買い求めることが多いために、1年で一番中古車が売れる時期となります。
モノの値段というのは需要と供給で決まりますので、需要が高くなる3月に値段が高くなるのは、ある意味では当然のことといえます。
フルモデルチェンジ前後の中古車価格がそれほど下落しない理由
冒頭にも書きましたが、フルモデルチェンジによって新型が登場すると、中古車の相場は下落するのが普通です。
新型に買い替えをする人の下取り車として中古車が市場に多く出回るのと、新型が出たことで旧型となる中古車は売れなくなるからです。
在庫がたくさんあって売れにくいということになれば、相場が下落するのは当然です。
しかし、今回のフルモデルチェンジをした車種のいくつかの事例をみていただいてお分かりのとおり、新型が出た直後に中古車相場があがるケースも少なくありません。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
実は、その原因の1つとし、未使用車が中古車市場に出回るということがあげられます。
フルモデルチェンジが行われると、メーカーが抱えていた旧型の在庫車が、未使用車として中古車市場に流れてくることになります。
未使用車というのは、基本的には新車と同じなのですが、登録を済ませてしまっていますので、あくまでも扱いは中古車ということになります。
参考記事:未使用車(新古車)を買うメリットはどこにあるのでしょうか?
未使用車は中古車市場で売られてはいますが、実質的には新車ですから、中古車としは高額で売られることになります。
高額な中古車である未使用車が一時的にたくさん売れることによって、中古車の平均価格が押し上げられるということになるわけです。
そのため、未使用車の在庫がある程度さばけてくると、徐々に中古車の平均価格は下がって行くことになります。
文・山沢 達也
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