高速道路では、一番右側の車線は追い越し車線ということになっています。
本来であれば、追い越すとき以外には走行してはいけない車線なのですが、渋滞が発生すると右側車線もクルマでいっぱいになってしまいます。
少しでも早く目的地につきたいという思いから、追い越し車線にたくさんのクルマが流れ込むことになってしまうわけです。
しかし、渋滞の高速道路を走るときには、あえて追い越し車線を走らないで、ずっと左側の走行車線にとどまったままの方が、目的地に早く着くといわれています。
もしそれが本当ならば、まさに「あわてる乞食はもらいが少ない」ということになりそうです。
はたして、渋滞中の高速道路はずっと左側車線を走った方が早く目的地に着くという噂は真実なのでしょうか?
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首都高速の場合は合流があるので単純にはいえない
首都高速が渋滞をするのは、合流する地点の手前であることが多いものです。
そして、首都高速の場合、一般の高速道路と違い、右側の車線が追い越し車線というわけではありません。
実際に右側車線での合流が頻繁に行われるため、追い越し車線にはできないのです。
一般の高速道路の場合は、追い越し車線である右側車線を走った方が早く目的地に着くに違いないという先入観から、渋滞のときに右側車線に流れ込むクルマが増えてしまうのは理解できます。
それに対して、どちらも走行車線という位置づけである首都高速の場合は、車線によって目的に着く時間に差が生じるという心理的な影響がないため、どちらを走ってもあまり変わらないような気がします。
ただし、合流地点をピンポイントで見た場合、合流して入ってくる車の数よりもそこから出て行くクルマの数が多い車線であればスムーズに進みやすいはずですし、その逆の場合には流れが悪くなることになります。
どちらの車線を走っていた方がスムーズに進むかということが事前に分かっている人の場合、合流地点ごとに巧みに車線変更をすることで、目的地に早く着けるかも知れません。
このようなことから、右車線側でも左車線側でも合流が行われる首都高速の場合「渋滞中の高速道路は左側車線を走った方が早く目的地に着く」というウワサの通りにはいかないということがいえそうです。
もっとも首都高速道路は、「高速道路」という名前はついていますが、厳密には高速道路ではありませんので、念のため。
参考記事:首都高速の制限速度は一般道と同じだということをご存知ですか?
渋滞中の高速道路はやはり左側車線の方が早く目的に到着できる?
首都高速ではない一般の高速道路の場合は、どうでしょうか?
渋滞中は左側車線を走り続けた方が、本当に目的地に早く着くのでしょうか?
実際に、週末の行楽地に向かう高速道路の渋滞に意図的にはまって、検証をした人がいます。
4回実験を行った結果、左側車線の3勝1敗だったそうです。
やはり、一般の高速道路の場合には、渋滞中は左側車線を走った方が早いという噂は本当のようです。
やはり、人間の心理として「追い越し車線」はクルマが早く移動できるはずだという思い込みがあるのでしょう。
少しでも前に進みたいと思う人が右側車線に次々と車線変更をするために、ちょうど首都高速に置ける「合流される側の車線」のような現象が起こるのかも知れません。
左側車線がよりスムーズなのは上りの渋滞のとき?
高速道路が渋滞中のときは、左側車線を走っていた方が、早く目的地に着く可能性が高いということがお分かりになったかと思いますが、実はこういった傾向は下りの渋滞よりも上りの渋滞の方がより顕著に表れるようです。
なぜなら、行楽シーズンに下り車線を走っているクルマの目的地は、基本的に同じ場所です。
多くのクルマが、目的の行楽地に向けて走っているわけです。
そして、途中のインターから同じ目的地に行くクルマが左車線側よりどんどん合流してくることになります。
基本的に目的地が同じですから、途中のインターで降りるクルマはほとんどありません。
そのため、渋滞中は早く目的地に着く可能性が高いといわれている左側車線ですが、同じ目的地に向かう下り車線の場合にはそれほどアドバンテージがない可能性があるわけです。
それに対して上り車線の場合には、行楽地からの帰りに高速に乗ったクルマが、自宅近くの途中のインターで次々におりて行くことになります。
その結果、もともと渋滞のときには有利だといわれていた左側車線のクルマの動きが、よりスムーズになる可能性が高くなるわけです。
行楽地で散々遊んだ帰りには、左側車線を淡々と走り続けるのが賢いといえるかも知れませんね。
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渋滞した高速道路を賢く走るためのテクニック
渋滞した高速道路を走るときには、首都高速以外は左側車線を走っていた方が無難であるということがお分かりいただけたかと思いますが、実はそれ以外にも渋滞中の高速道路を少しでも早く走るための方法はいくつかあるようです。
・大型トラックの後ろについて走る?
大型のトラックの後ろについて走っていると、目的に早く着く可能性が高いと主張する人もいます。
大型トラックなど大きなクルマの後ろだとどうしても前方の視界が悪くなるために、なるべくなら走りたくないと考える人が多いと思います。
しかし、そういった大型のクルマの後ろを走ることで、渋滞を少しでも早く切り抜けることができるというのです。
理由の1番目として、大型トラックというのは運転席の位置が高いために、渋滞の先でどのようなことが起こっているかを把握しやすいため、大型トラックのあとについて車線変更をすれば効率よく進めるというものです。
2番目の理由として、大型トラックは全長が長いために、前方を走っているトラックがインターでおりたり車線変更をしたりしたときに、前方に乗用車2台分以上のスペースができるので、その分だけ前に進めるというものです。
しかし、実際には大型トラックがいなくなったスペースに他の車線のクルマが割り込んで来ることも多いため、効果としては疑問符がつきます。
・頑張って早起きをして出発をする
行楽地に向かう高速道路が最も混む時間帯は、朝の6時から9時だといわれています。
そのため、この時間帯を避けて高速道路を走るようにすれば、渋滞はだいぶ緩和される可能性が高いといえます。
しかし、9時を過ぎてから出発となると、行楽地に着いてから遊ぶ時間があまりなくなってしまいます。
そのため、ドライバーの方は大変な思いをすることになりますが、6時までに目的地に到着するスケジュールで出発をすれば、渋滞に巻き込まれる可能性も少なく、行楽地でもたっぷりと遊べることになります。
ただし、到着してから行楽地がオープンするまでの間、どうやって時間をつぶすかを前もって考えておかないと、暇を持て余すことになります。
・ETCレーンを使わずにあえて一般のレーンを使う
ETCの登場によって、以前にくらべると料金所での渋滞はだいぶ緩和されました。
しかし、ETCが普及しすぎたことにより、ほとんどのクルマがETCレーンを通過するために、逆にETCレーンで渋滞が発生することも増えてきているようです。
そんなときに、意外に知られていないワザがあります。
ETCレーンが混雑していて一般レーンがガラガラの状態のときには、あえて一般レーンに進むという方法です。
わざわざ財布を取りだして現金を支払うのが面倒だと思うかも知れませんが、実は一般レーンであっても、ETCカードで清算ができるのです。
ただし、この方法を使う場合には、ETC割引が適用になりませんので注意が必要です。
ETC割引が適用になるのは、あくまでもETC専用レーンを通過したときのみになります。
文・山沢 達也
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