スピード違反で捕まって懲役刑になることもある?~意外に知らないスピード違反の罰則

パトカーと取り調べを受ける車道路交通法違反のなかで、摘発件数が一番多いのがスピード違反です。

内閣府の資料によりますと、平成27年にはスピード違反によって1,745,259件も摘発を受けています。

スピード違反というのは、ある意味では一番身近な交通違反ということが言えそうですが、実際に交通違反の摘発を受けるとどういった罰則があるのかを詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

実際にスピード違反で摘発された経験をお持ちの方も少なくないと思いますが、その多くは反則金か罰金を支払うことになったと思います。

しかし、悪質なスピード違反になると、罰金ではなく懲役刑となることもありますので、スピード違反を甘く考えてはいけません。

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スピード違反による罰金刑の最高額は10万円です

スピード違反に対する罰則は、悪質性が高くなればなるほど厳しくなります。

15km/h未満のスピード違反であれば、反則金が9,000円で違反点数は1点で済みます。

※15km/h未満のスピード違反で捕まる人は、実際にはほとんどいません。
参考記事:高速道路は制限速度を超えた110km/h台で走っても捕まらない?
     
それに対して、一般道で30km/h~50km/hのスピード違反をすると、6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金となり、違反点数も6点となります。

違反点数が6点となりますと、前歴がない場合でも30日間の免停ということになります。

さらに、50km/h以上となりますと、「6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金」の部分は同じですが、違反点数が12点となり、前歴なしでも90日間の免停ということになります。

よく、スピード違反で捕まって「罰金を20万円払った」などと噂話をときどき耳にしますが、それはあきらかにウソか勘違いです。

スピード違反で摘発されたときの罰金の最高額は、10万円だからです。

反則金にくらべて分かりにくい罰金刑

スピード違反で摘発されたとき、それが反則金の対象になる違反であれば、支払うべき金額は明確になっています。

一般道の場合
「15km/h未満9,000円」
「15km/h~20km/h未満12,000円」
「20km/h~25km/h未満15,000円」
「25km/h~30km未満18,000円」
となっています。

これが高速道路になると、
「15km/h未満9,000円」
「15km/h~20km/h未満12,000円」
「20km/h~25km/h未満15,000円」
「25km/h~30km未満18,000円」
「30km/h~35km/h未満25,000円」
「35km/h~40km/h未満35,000円」
となります。

スピードを出す車とお金このように、反則金で済む範囲のスピード違反であれば、自分が支払うべき反則金は何キロオーバーかではっきりと分かります。

ところが、一般道で30km/h以上、高速道路で40km/h以上のスピード違反をした場合、いずれも「6ヵ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金」となっています。

これだと漠然としていて、実際に自分がどれくらいの罰則を受けるのかが分かりません。

最終的には簡易裁判所の判断で罰則が決まることになるわけですが、ある程度の目安的なものはあるようです。

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70km/hオーバーだと懲役刑になる可能性があります

一般道で30km/h以上、高速道路で40km/h以上のスピード違反をしたときの罰則は、簡易裁判所からの判断がでるまで分からないのですが、おおよそ次のような金額になると思っていいでしょう。

一般道を普通車がスピード違反をした場合
「30km/h~40km/h未満7万円」
「40km/h~50km/h未満8万円」
「50km/h~60km/h未満9万円」
「60km/h~70km/h未満10万円」
「70km/h以上懲役刑」
というのがおおよその目安となります。

これが高速道路の場合、
「40km/h~50km/h未満7万円」
「50km/h~60km/h未満8万円」
「60km/h~70km/h未満9万円」
「70km/h以上10万円」
「80km/h以上懲役刑」
というのが目安です。

一般道の場合70km/hオーバー、高速道路の場合で80km/hオーバーとなると「懲役刑」が課される可能性が高いということがお分かりになるかと思います。

スピード違反で懲役刑になることもあると聞くと驚く人もいるかも知れませんが、一般道で70km/hオーバーということは130km/h以上、高速道路で80km/hオーバーということは、180km/h以上のスピードを出しているということになります。

ここまで悪質性の高いスピード違反であれば、さすがに懲役刑となっても仕方がないと思われます。

また、これだけのスピードを出すというのは「どう考えてもまともではない人」と判断される可能性もあり、精神鑑定などに回されることもあるといわれています。

オービスに捕捉されて身代わり出頭すると重罪になります

オービスと鎖につながれた手最近は、あちこちの道路で見かけるオービスと呼ばれる自動速度取り締まり装置ですが、このオービスに捕捉されたときに、身代わりの出頭をたくらむ人もいるようです。

確かに、トラックドライバーなど、運転をすることで生活を成り立たせている人にとって、免停や免許取り消しになることは死活問題です。

そのため、知人などを身代わりで出頭させたくなる気持ちは分かります。

しかし、この身代わりでの出頭は、想像以上に重罪になるので注意が必要です。

オービスの場合、ドライバーの顔がはっきりと写真に写るために、なかなか身代わりは難しいのではないかと思われがちです。

しかし、似たような顔の人が出頭することで、意外にも身代わりの人の出頭が認められてしまうこともあるようです。

ところが、あとになって身代わりになった人が他人に言いふらしたり、違反をした本人に対して身代わりの報酬を要求したりして、バレてしまうことも少なくないようです。

身代わりでの出頭が発覚した場合、身代わり出頭をした本人は刑法の犯人隠避(はんにんいんぴ)に該当し、「2年以下の懲役または20万円以下の罰金」が課されることになっています。

また、身代わりを頼んだ方も「犯人隠避教唆(はんにんいんぴきょうさ)」で処罰されることになります。

つまり、身代わり出頭は、実際に出頭した人も依頼をした人も、両方が処罰を受けることになるのです。

2007年に栃木県の市会議員が、40km/hのスピード違反でオービスに捕捉され、知人を身代わり出頭させたとして「懲役1年、執行猶予4年」の有罪判決を言い渡されたことがありました。

すなおに本人が出頭していれば、スピード違反として罰金を支払うだけで済んだのに、それを隠蔽しようとして身代わりを依頼したばかりに、市会議員の立場から「前科者」になってしまったわけです。

オービスに捕捉されたとしても、くれぐれも身代わり出頭だけはしないようにしたいものです。

スピード違反で逮捕されることもあります

スピード違反は、懲役刑にもなることもある立派な犯罪ですが、どれほどスピードを出してたとしても、逮捕にまでいたるというケースはほとんどありません。

しかし、それが極めて悪質だと判断された場合には、逮捕される可能性もなきにしもあらずということになります。

実際に、2015年6月に、短期間に悪質なスピード違反を3回繰り返したアルバイト店員が逮捕されています。

このアルバイト店員は、制限速度60km/hの群馬県伊勢崎市の国道を、172km/h、125km/h、130km/hで走行してオービスに捕捉されたとのことです。

3回続けてスピード違反をするというのもかなり悪質ですが、一般国道を172km/hで走行するなどというのは狂気の沙汰といえます。

オービスに記録された実測が172km/hということは、メーター読みでは180km/hを振り切っていたと思われます。

クルマ以外走っていない高速道ならまだしも、歩行者や自転車のいる一般国道をそんなスピードで走るというのは、いわゆる「まともな人」ではないと思われます。

このような方には、しっかりと精神鑑定をしてもらったうえで、しばらくの間は留置所で頭を冷やしてほしいと思います。

文・山沢 達也

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