同じような道を同じ車で走っていても、人によって燃費が大きく変わったりします。
燃費がいいと評判のクルマに乗っているにもかかわらず「思ったよりもぜんぜん燃費悪いしぃ~」などと不満に思っているあなたは、ひょっとしたら運転の仕方が悪いのかも知れません。
ちょっとした運転のコツを覚えただけで、クルマの実燃費は劇的に変わったりします。
また、使用するタイヤなどによっても、燃費は大きく変わります。
ここでは、どうしたらクルマの燃費を伸ばすことができるのかについて紹介してみたいと思います。
参考記事:燃費にまつわる噂は真実なのか?~タイヤの空気圧・巡航速度・車の重さで燃費は変わる?
前方の信号が赤になったときの走り方
前方の信号機が赤になっているときに、前を走っているダンプカーなどがノロノロと走っていたりすることがあると思います。
ダンプカーの後ろを走っているクルマにしてみればイライラするとは思いますが、実はあのダンプカーの走り方は燃費をよくする走り方なわけです。
かつてのように、キャブレターによってエンジンに燃料を供給していた時代には、アクセルをオフにしてもシリンダー内にガソリンが流れて込んでしまいます。
しかし、電子制御式の燃料噴射装置があたり前になった現代のクルマは、走行中にアクセルをオフにすることで、ガソリンが完全にカットされる仕組みになっています。
つまり、アクセルを閉じている時間を少しでも長くすることで、無駄なガソリンを使う必要がなくなるわけです。
前方に赤色の信号が見えたとき、アクセルを完全に閉じても惰性でその信号の位置まで走ることができるのであれば、そこまでは完全に燃料をカットした状態でクルマを移動できることになります。
逆に、前方の信号が赤であるにもかかわらず、そのままのスピードで信号のある交差点まで走り続け、交差点のすぐ手前でブレーキングをして止まるという走り方は、燃費を悪くするということになります。
アクセルから足を離して完全に燃料をカットしたままで目的の場所まで移動できるにもかかわらず、アクセルを開けた状態で移動をするわけですから、無駄にガソリンを消費していることになります。
ただし、いくら前方の信号が赤だといっても、後続車がいるときには注意をしなければなりません。
前方を走るクルマがノロノロと走っていると、後続車のドライバーはイライラすることが多いからです。
そういった走りをしているダンプカーの後ろでイライラした経験のある人も少なくないでしょう。
前方の信号が赤なのですから、ノロノロ走っても速く走っても結局は同じはずなのですが、なぜかイライラしてしまう人が多いようです。
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高速道路は80km/h~90km/h程度で走るのがベスト?
高速道路を走ると燃費が良くなると聞いていたのに、思ったほど燃費がのびないという人はいませんか?
そういった方の場合、その原因はおそらくスピードの出し過ぎです。
クルマというのは、発進のときに一番ガソリンを消費しますから、信号のない高速道路は一定の速度で走ることが可能になるので、信号のある一般道にくらべて燃費が良くなるのは当然です。
しかし、そんな高速道路であっても、ある一定の速度を超えて走ると燃費が思ったほど伸びなくなります。
なぜなら、スピードをあげればあげるほど、空気の抵抗が大きくなるからです。
一般にクルマの空気抵抗による損失は、速度の2乗に比例するといわれています。
たとえば、30km/hのときの空気抵抗損失を1とした場合、60km/hのときには4倍、120km/hのときには16倍の空気抵抗損失が発生することになります。
特にミニバンなどの背の高いクルマの場合には、その空気抵抗による損失は想像以上に大きなものとなります。
スピードを出せば出すほど前に進みにくくなるわけですから、高速道路を走るときには80km/h~90km/h程度のスピードでのんびりと巡航するのが、燃費を考えたときにはベストといえそうです。
もちろん、それ以上に低いスピードで走ればさらに空気抵抗による損失は減ることになります。
しかし、高速道路をあまりにも遅いスピードで走ると他のクルマに迷惑をかけることになりかねませんし、場合によっては危険を伴うことがあるということも多くのドライバーは経験済みのはずです。
クルーズコントロールを活用
一定の速度でクルマを走らせることができれば燃費が良くなるということは、ほとんどのドライバーが知っていることでしょう。
しかし、実際に高速道路を走行してみると分かりますが、一定の速度をキープするというのは意外に難しいものです。
道路はずっと平坦ではなく、登りもあれば下りもありますので、同じアクセルの開度を維持した場合、スピードが出過ぎたり遅くなったりしてしまうわけです。
しかも、体感的にその速度の変化を感じ取るというのは難しく、ふとメーターを見たときに、思ったよりもスピードが出ていたり、逆に減速してしまっていてビックリしたりすることがあります。
また、仮に平坦な状態が続いたとしても、人間がアクセルの開度をずっと一定の状態に保つというのは困難で、実際には微妙にオンオフを繰り返してしまっています。
クルマの速度を一定に保つことができるクルーズコントロールを利用することで燃費が良くなるといわれるのは、そういった理由があるからです。
もちろん、クルーズコントロールを利用したからといっても、アクセル開度は一定ではありません。
クルマの速度を一定に保つために、道路の状況に応じて微妙にアクセルのオンオフをコンピュータ制御により繰り返します。
そのため、クルーズコントロールを使わない方が、燃費が良くなると主張する人もいるようです。
しかし、それはコンピュータ制御を上回るアクセルコントロールのできる一部の運転のうまい人の話であって、一般のドライバーの場合には、素直にクルーズコントロールを利用したほうが燃費が良くなると考えた方がいいでしょう。
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タイヤを交換することで燃費がよくなります
クルマに取り付けられているタイヤによっても、燃費が変わってくることをご存知でしょうか?
車というのは、常にタイヤが路面と接触をしていることになりますので、タイヤの転がり抵抗の大小によって燃費に違いが出てくるということは容易に想像がつくと思います。
・ラベリング制度により転がり抵抗を等級分け
平成22年よりタイヤのラベリング制度というものが開始され、タイヤの転がり抵抗が5つの等級に区分けされることになりました。
一番転がり抵抗が少ないタイヤの表記が「AAA」で、そこから転がり抵抗が増えるにしたがって「AA」「A」「B」「C」と表記が変わっていきます。
ちなみに「AAA」の転がり抵抗は「RRC≦6.5」となっており、「C」が「10.6≦RRC≦12.0」となっています。
「B」レベルのスポーティーなハイグリップタイヤから「A」レベルに交換をしただけで、実際の燃費が5%~8%程度アップするといわれています。
たとえば、実燃費がこれまで15km/Lだったクルマの場合、15.75km/L~16.2 km/Lにアップするということになるわけです。
この数字は、決して軽視できないほどの数字であるといえます。
・低燃費タイヤはグリップ性能が劣る傾向にあります
転がり抵抗が少なく燃費改善に期待が持てる低燃費タイヤですが、グリップ性能が劣るというデメリットもあります。
グリップ性能が劣るということは、すなわちコーナーリング性能やブレーキング性能にマイナスの影響を及ぼすことになります。
ラベリング制度では、グリップ性能に関していい方から順番に「a」「b」「c」「d」の4つの等級に分けられています。
実際に各メーカーから販売されている「AAA」のタイヤを見てみますと、グリップ性能に関しては「c」となっているものが多いようです。
自分自身の普段の走り方などを考慮して、燃費優先で選ぶのかグリップ力優先で選ぶのかを判断しなければいけないことになります。
・スタッドレスタイヤは燃費が悪くなります
スタッドレスタイヤをどのタイミングでサマータイヤに履き替えるかという点も、燃費を考えた場合には重要になります。
スタッドレスタイヤはサマータイヤにくらべて転がり抵抗が大きいために、燃費が悪くなるからです。
また、スタッドレスタイヤというのは、50%以上摩耗するとプラットフォームが露出して冬用タイヤとしては使用できなくなりますが、仮にプラットフォームが露出してしまっても残りの溝が1.6mm以下となるまではサマータイヤとしてずっと使用することが可能です。
そのため、そういったプラットフォームが露出したスタッドレスタイヤを履きつぶすまで装着しておく人も少なくないようですが、燃費に関してはかなり悪影響があるということを知っておくといいでしょう。
実燃費で見た場合、スタッドレスタイヤはサマータイヤにくらべて約1割ほど悪くなるようです。
1割ということは、ガソリンスタンドで40L給油した場合、4Lほど違ってくることになります。
1Lあたり130円として考えた場合4Lで520円となりますので、給油のたびに500円ほど損をしているということになるわけです。
文・山沢 達也
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