雪国で使われた中古車を買うときはボディの痛みに注意せよ

雪道を走る複数のクルマ中古車の価値は単純に年式や走行距離だけで決まるものではありません。

同じ年式で同じ走行距離のクルマであっても、使われてきた状況によってコンディションが大きく変わってきます。

なかでも注意をしなければならないのは、海の近くで使われていたクルマと雪国で使われていたクルマです。

海の近くで使われていたクルマがなぜ要注意なのかは、以下の記事を読んでみて下さい。

参考記事:塩害や雹(ひょう)の被害も事故車扱いになるって本当?

ここでは、雪国で使われていたクルマを購入するときに、なぜ注意が必要なのかについて解説をしてみたいと思います。

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車のボディに大きなダメージを与える凍結防止剤

雪に慣れている雪国の人たちにとって、雪の積もった道路を走ること自体はそれほど難しいことではないはずです。

しかし、それは道路が凍結をしていなければ、という条件付きになります。

いかに雪道に慣れている雪国の人であっても、凍結してしまった道路の上を走るというのは大きな危険を感じるはずです。

そのため、雪国では道路が凍結しないように、凍結防止剤を撒くのが一般的です。

道路が凍結することはクルマを走らせるうえでとても危険なことですから、凍結剤を撒くことそのものは仕方のないことです。

しかし、その凍結剤がクルマのボディにとっては、かなり厄介な代物なのです。

凍結防止剤に使われているのは、塩化カルシウムと呼ばれるもので、文字通り「塩」の仲間ということになります。

食塩として使われる塩化ナトリウムとは異なりますが、「塩」の仲間であることに変わりはなく、それが付着することで鉄は非常にサビやすい状態となります。

凍結防止剤が散布されている道路を走ることで、クルマの下回りには大量の塩化カルシウムが付着することになるわけですから、車体にかなりのダメージを受けるということは容易に想像ができると思います。

影響を受けるのは雪国の人ばかりではなく、年に何度かスキーに行く程度の人のクルマであっても、少なからず影響を受けることになります。

もちろん、凍結防止剤による塩害を受けるのは、道路を走るクルマばかりではありません。

道路わきに設置されているガードレールなどにも、塩害によるサビや腐食の問題がでてきます。

より深刻なのは、鉄でできた橋梁などのサビや腐食の問題で、コンクリートの割れ目などから浸透した塩化ナトリウムによる影響で、強度の減少により安全性が保てなく可能性もあるようです。

凍結防止剤に塩化カルシウムを使う理由

雪道を走る車と文字入りイラストそもそも、なぜ塩化カルシウムを凍結防止剤として使っているのでしょうか?

それは、凝固点を下げるためです。

雪というのは水で出来ていますから凝固点は0度となり、それ以下の温度になると凍結することになるわけです。

しかし、塩化カルシウムと水がまざることで、凝固点は最大でマイナス51度にまで下がり、かなり低い温度にならないと凍結しなくなるのです。

しかも塩化カルシウムは吸湿性があるために、道路に散布することで雪と混じりやすくなります。

こうして、雪に塩化カルシウムが混ざることによって、気温がマイナスになっても道路が凍結しにくくなるという効果があるわけです。

鉄をサビさせることのない酢酸カルシウム・マグネシウムや酢酸カリウム、尿素などいった物質も、凍結防止には効果があります。

しかし、費用的に塩化カルシウムを使った場合の4倍~5倍かかってしまうことや臭いの問題、さらに塩にくらべて効果が少ないなどの理由から、あまり利用されていないというのが現状です。

凍結防止剤による塩害を受けないための対策

凍結防止剤によってクルマを塩害から守るには、どうすればいいのでしょうか?

一番簡単で効果的なのが、凍結防止剤を撒いた道路を走ったあとには、必ず下回りを中心に洗車をすることです。

塩は水で簡単に洗い流すことができますから、高圧洗浄機などがあればそれを使ってクルマの下回りを中心に洗い流せばいいわけです。

しかし、ときどきスキーに行く程度の人であればそういった方法でクルマを塩害から防ぐことができますが、クルマを日常の足として使っている雪国の人にとっては簡単なことではありません。

クルマに乗るたびに、毎回洗車をするなどというのは実際には不可能でしょう。

かといって、休日などの時間のあるときに、1週間分をまとめて洗い流すといったことでは効果は期待できません。

なぜなら、たとえ1日や2日の付着であっても、塩というのは確実にクルマのボディを痛めることになるからです。

仮に休日にまとめて洗い流したとしても、翌日にその車を運転することになれば、またすぐに凍結防止剤が車に付着してしまいます。

つまり、クルマに凍結防止剤が付着していない状態が、週に1日程度しかないということでは、洗車の意味がまったくないということになります。

そのため、雪国の人ができるクルマの防錆対策としては、塩害防止剤のスプレーなどをボディの下回りを中心に噴霧したり、本格的なコーティングを施したりする必要があるわけです。

また、ボディに微弱な電流を流すことで、ボディをサビにくくさせるような装置なども売られているようです。

雪国の人は、そういった部分でどうしてもクルマの維持コストがかかってしまいますが、そういった対策をしておかないと、ボディを腐らせてしまって車そのものの価値がなくなってしまうことになります。

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塩害を受けたクルマは事故車扱いになります

男性と車の文字入りイラスト凍結防止剤によるクルマのボディの痛みを防止することは、将来的にクルマを売るときの査定額に大きな影響を及ぼします。

なぜなら、塩害を受けた車というのは「事故車扱い」になってしまうことがあるからです。

特に、クルマの下回りというのは、走行する上において構造的に非常に大切な部分です。

そういった大切な部分がサビによって強度的に落ちているということになれば、事故車扱いとなっても仕方がないことになります。

事故車の扱いを受けたクルマが、中古車市場において相当に低い評価を受けるということをご存知の方も多いと思います。

事故車扱いになると、ダメージにもよりますが、本来のクルマの価値の半分近くまで下がってしまうこともあります。

つまり、本来であれば100万円の価値のある中古車が、事故車扱いになると50万円になってしまうこともあるわけです。

たかが塩害などと甘く考えていると、クルマの価値を大きく下げてしまうことになるわけです。

また、車を売る予定はなく、乗り潰すつもりの人であっても、塩害に対するケアをしっかりと行っていないとクルマの寿命を大幅に短くしてしまうことになります。

雪国以外の地域で購入する中古車は大丈夫?

クルマを売るときに大きく価値を下げてしまいかねない凍結防止剤による塩害ですが、同様に中古車を購入するときにも塩害を受けているクルマに注意をしなければなりません。

自分の地域は雪国ではないから、凍結防止剤による塩害を受けている中古車は売られていないとお思いの方も多いことでしょう。

しかし、雪国で乗られていた中古車が、それ以外の地域で売られる可能性というのは十分にあるのです。

実は、車というのは必ずしも買取りをされた地域でそのまま販売されるとは限らず、需要のある地域まで運ばれて販売されることも少なくないのです。

参考記事:車は売却する地域によって査定額が変わることがある?
      
雪国で乗られていた車が、需要の高い関東地方まで運ばれて売られたりすることは普通にあるはずです。

そのため、中古車を購入するときには、車検証などを確認して前のオーナーがどこに住んでいる人だったのかという点を、しっかりとチェックするようにするといいでしょう。

もちろん、雪国で乗られていたクルマだから必ずしもダメということではありません。

そのクルマがどうしても魅力的で購入したいと思ったなら、まずその旨を店の人に言って、下回りなどのサビの状況をよく確認させてもらったうえで、購入を検討するといいでしょう。

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