スピード違反で捕まるといつも24km/hと29km/hオーバーでキップを切られるのはなぜか?

スピード違反で検挙される人は、一般道だけで年間に200万人以上もいるといわれています。

白バイや覆面パトカーにいきなりサイレンを鳴らされて、口から心臓が飛び出すくらいビックリした経験をお持ちの方も少なくないでしょう。

また、明らかに30km/h近くのスピードオーバーをしていて捕まったにもかかわらず、なぜか24km/hオーバーで切符を切られ、ラッキーと思った人も多いのではないでしょうか?

あるいは、どう考えても30km/hオーバー以上のスピードを出していて、一発免停を覚悟したのに、なぜか29km/hオーバーということで青キップにオマケしてくれたという人もいるでしょう。

なぜ、スピード違反で捕まると24km/hオーバーや29km/hオーバーになることが多いのでしょうか?

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25km/h未満の取り締まり件数が不自然に多い

平成24年度の警察庁の資料によりますと、一般道における速度違反の取り締まり件数は以下のようになっています。

50km/h以上   24,236件
50km/h未満  284,051件
30km/h未満  395,015件
25km/h未満  802,358件
20km/h未満  715,420件
15km/h未満     40件
合計      2,221,120件

参考:速度違反の取締り~警察庁交通局

15km/h未満の取り締まり件数が異常に少ないということに気がつくかと思いますが、その理由については以下の記事を参照してください。

関連記事:高速道路は制限速度を超えた110km/h台で走っても捕まらない?
    
取り締まり件数が一番多いのが25km/h未満で802,358件となっており、その次が20km/h未満で715,420件となっています。

つまり、スピード違反で検挙される人の7割弱は25km/h未満ということになります。

この数字だけをみると、スピード違反といってもそれほど悪質なものは少なく、多くの人はせいぜい25km/h未満程度の違反しかしていないのだな、と思いがちです。

しかし、注目すべきポイントは、25km/h未満よりも、20km/h未満や15km/h未満の方が少ないという点です。

30km/h未満から上に関しては、徐々に取り締まり件数が減っているのに、25km/h未満のところだけが不自然に数字が伸びています。

制限速度が60km/hの一般道で考えてみましょう。

クルマにはメーター誤差というものがあり、ノーマルのタイヤを履いていた場合、実際の速度よりも8%~9%程度高い数字がメーターに表示されます。

メーター誤差を8%として考えた場合、制限速度60km/hの一般道を走っていて、20km/hオーバーで捕まった場合のメーター表示は87km程度になっているはずです。

そうなると、20km/h未満で取り締まりを受けた人たちは、メーター誤差を考慮するとおそらく80km/h~86km/h程度のスピード(メーター表示)で走っていたことになります。

これが、20km/h以上で24km/h未満となると、87km/h~91km/hのメーター表示となります。

確かに、幹線道路などでは制限速度60km/hのところをメーター読み80km/h程度のスピードで走っているクルマは多くみかけます、

しかし、メーター読みで90km/h前後で走っているクルマとなると、それほど多くは見かけないはずです。

一般道をメーター読みで90km/h前後で走っていれば「かなり飛ばしている車」という印象を誰もが持つと思います。

そういったことを考えると「道路の見通しがよかったのでつい80km/h程度までスピードをあげてしまった」という人が、一番多く検挙されそうです。

しかし、データ的にはメーター読みで80km/h~86km/h で走行していて摘発された人よりも、87km/h~91km/hで走っていて摘発をされた人の方が多いわけです。

このデータの不自然さを考えたときに、なんらかの意図が働いて25km/h未満の取り締まり件数が増えてしまっていると考えられます。

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24km/hオーバーで切符を切ると効率がいい?

25km/h未満での取り締まり件数が多くなってしまっている背景には、おそらくそれ以上のスピードオーバーをした人たちの分がその中に含まれてしまっているものと思われます。

つまり、実際には27km/hオーバーとか28km/hオーバー程度のスピード違反を犯した人の中の、かなりの人数が25km/h未満に含まれてしまっている可能性があるのです。

なぜそういったことが起こるのでしょうか?

スピード違反による罰則を考えてみますと、30km未満が違反点数3で普通車の場合の反則金が18,000円なのに対して、25km/h未満だと違反点数が2点で反則金が15,000円になります。

24km/hと25km/hのたった1km/hの違いで、違反点数や反則金にこれだけの差が出てしまうわけです。

しかし、先ほども書きましたように、メーターの表示と実際の速度には誤差がありますし、スピード違反の取り締まり方によっても多少の誤差が出てしまいます。

特にパトカーや白バイによる追尾の場合、取り締まりをする警察官の測定の仕方によって2km/h~3km/hの誤差は出てしまうはずです。

そういった誤差を考慮した場合、たった1km/hの違いで違反点数や反則金が上がってしまうというのは問題があるわけです。

そういった理由から、実際には30km未満で切符を切るべき27km/h~28km/h程度のスピード違反が、25km/m未満ということで処理されている可能性は非常に高いと思います。

もちろん、24km/hオーバーで検挙するためには、その証拠となるデータを提示しなければなりませんから、実際に取り締まりをしたパトカーや白バイの測定用のメーターは24km/hで止まっているはずです。

ベテランの交通機動隊員になると、明らかに25km/h以上のスピードオーバーだと思われる車を追尾するときでも、24km/hオーバーを表示したタイミングでぴったりとメーターを止める技術は持っているに違いありません。

捕まった本人にしてみれば、実際に自分が走っていたスピードと提示された24km/hオーバーという数字に違和感をおぼえたとしても、自分が思っていた数字よりも低い数字であれば誰も文句はいいません。

「自分のメーターだと余裕で30km/h以上オーバーしていた感じがするけど、お巡りさんが24km/hオーバーにおまけしてくれたみたいだから、素直にサインしとくか」といった気持ちになる人も少なくないでしょう。

これが25km/hオーバーだと、たった1km/hの差で違反点数も高くなるし、反則金もあがってしまいますから「冗談じゃない」とごねる人も出てくるはずです。

取り締まる警察官にしても、1km/hや2km/hの違いでさんざんごねられてサインしてもらうのに一苦労するようだと、時間の無駄だし次の仕事にも影響してしまいます。

それよりも、多少おまけをしたとしても素直にサインをしてもらって、次の取り締まりにあたった方が効率的だと考えるのが自然です。

白バイの警察官に、はっきりと次のようにいわれた人も実際にいます。

「ずいぶん飛ばしていましたね!ここは60km/h制限なんですが、90km/h近くでていましたよ。今回はオマケして特別に24km/hオーバーでキップを切っておきますので、今後は注意してくださいね」

本当はもっとスピードが出ていたはずだけど、今回は少しおまけしておくから素直にサインしてくださいという警察官の思いが、24km/hオーバーでの検挙数をふやすことになっているのが現実のようです。

その結果、統計データ的には、25km/h未満の取り締まり件数が一番多くなっているわけです。

逆に考えると、25km/hオーバージャストでの検挙というのは、よほど性格が悪いか几帳面な警察官に捕まらない限りは、まずありえないということになります。

バイクが3台続けて24km/hオーバーで捕まった?

ある人がバイクで40km/h制限の道路を75km/hほどのスピードで走っているときに、見事にネズミ捕りにひっかかり、24km/hオーバーを宣言されたそうです。

自分自身では、75km程度で走っていたことは自覚していましたので、メーター表示だと35km/hオーバーですから、24km/hオーバーなら仕方がないかと納得したそうです。

メーター表示で75km/hくらい出ていたということは、メーター誤差を8%として計算すると実測は69km/hということになります。

40km/h制限の道路を69km/hで走っていたということになれば、29km/hオーバーということになりますから、警察官が24km/hオーバーのキップを切ったということは、明らかにオマケをしてくれていることになります。

しかも、そのあとにさらに不思議なことが起こりました。

自分が捕まって少したったあとに、大型バイクに乗った男性が同じように捕まったそうなのですが、この男性もなんと24km/hオーバー。

さらに、それから数分後に女性のライダーが捕まったのですが、彼女もなんと24km/hオーバー。

バイクが続けて3台捕まるというのもめずらしいことですが、それよりも24km/hオーバーの速度違反が3台続くということの方が驚きです。

速度違反で連続して検挙された3台のバイクが、1km/hも違わずにまったく同じスピードで走っていたということは、確率的にもまずありえないことです。

ネズミ捕りをしていた場所が、40km/h制限だったということもあり、よほど悪質なスピード違反でなければ、25km/hオーバー以上で検挙するのはやめておこうと申し合わせしてあったのかも知れません。

こうした事例からもあきらかなように、スピード違反というのは24kmオーバーで捕まるケースが圧倒的に多いというのが事実のようです。

24km/hオーバーと同様に検挙数が多いのは29km/hオーバー

スピード違反の取締り件数で、24km/hオーバーと同様に数字が高くなるのは、おそらく免停一歩手前の29km/hオーバーではないかと想像ができます。

なぜなら、一般道で30km/hオーバーの速度違反で検挙されると、違反点数6点で一発免停になるからです。

また、反則金も29km/hオーバーだと1万8千円なのに対して、30km/hオーバーだと2万5千円と大きくアップしてしまいます。

たった1km/hの違いで、ドライバーが受けるダメージは天と地ほどの違いがあるわけです。

そのため、30km/hを少しオーバーした程度のスピード違反であれば、「気の毒だから29km/hオーバーということにしておいてやろう」と考える警察官がいたとしても何の不思議もありません。

「この間、白バイに捕まったけど赤キップを青キップにオマケしてくれたよ」などと話をしている人がときどきいますが、こうしたことは日常的に行われているに違いありません。

ドライバーが普段から敵視することの多い交通機動隊員ですが、なんだかちょっとだけ人情味を感じませんか?

29km/hオーバーでの検挙の方が組織としての財政がうるおう?

29km/hオーバーでの検挙が多い背景には、オマケをすることで違反者にサインをさせやすくするという理由があるわけですが、それとは別に警察サイドの大人の事情があるという噂もあります。

30km/hオーバー以上で検挙をすると、赤キップの扱いとなりますので、反則金ではなく罰金を徴収することになります。

罰金というのは、国庫に入ってしまうお金です。

それに対して、青キップによる反則金であれば最終的に自治体にお金が入ることになります。

反則金は、いったん国の一般会計に入ったあと、都道府県に3分の2の割合で交付され、残りの3分の1が市区町村に交付されることになります。

組織的に自治体の傘下にいる都道府県警にとっては、財政的なことを考えると赤キップを切るよりもむしろ青キップを切った方がいいわけです。

真偽のほどはともかく、29km/hオーバーでの摘発が多い背景には、そういった裏の事情もあるといわれているのです。

いずれにしても、一般道で30km/hオーバー前後の速度を出しているということは、メーター表示だと100km/hに近い速度を出していたということになります。

かなり危険で悪質なスピード違反であることは間違いないので、たとえ一発免停になったとしても文句をいえる立場ではないですね。

29km/hオーバーということで青キップにオマケをしてもらえたのなら、すなおに警察官に感謝すべきです。

文・山沢 達也

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