いま自分が乗っている車を担保にしてお金を借りることの出来る「自動車担保ローン」というものが存在します。俗に「車金融」などと呼ぶこともあります。
車を手放すことなく、乗ったままそれを担保に入れることでお金を借りることができるわけですから、なんとも魅力的なサービスのような気がします。
しかし、実際には悪質な業者が多く、法外な手数料を取られたり車をだまし取られてしまったりといったトラブルも多いようです。
ここでは、自動車担保ローンの実態について解説してみたいと思います。
車の査定額の最大70%まで借り入れが可能なところも
担保や保証人のいらない借入れといえば、カードローンなどを思い浮かべる人もいることでしょう。
しかし、そういったところから借り入れをして返済が滞ってしまったりすると、いわゆるブラックリストに登録されてしまい、担保なしではどこもお金を貸してくれなくなってしまいます。
そのような人たちにとって、まさに魅力的に感じるのが「自動車担保ローン」なのだと思います。
ふだん通勤などに使っている車を担保にして、その車に乗り続けたままお金を借りることができるという点が大きな特徴です。
しかも、30分程度の審査時間でその日に現金を手にすることができます。
融資金額は、良心的なところだと車の査定額の70%程度が相場のようです。
つまり、査定額が100万円の車であれば、70万円程度までは融資が可能だということです。
悪質な業者だと査定額の半値以下しか融資しないということも普通にあるようです。
ただし、どんなに査定額が高い車であっても、融資額は150万円程度が限度のようです。
また、自動車担保ローンは車検証の名義を変更する必要があるため、カーローンが残っていて名義人がディーラーや信販会社になっている場合は利用できません。
スポンサーリンク
利息は法定金利内だが手数料やリース料が別途発生する
お金を貸す場合の法定金利は、10万円未満の上限が20%、10万円以上100万円未満が18%、100万円以上が15%となっています。
自動車担保ローンの多くの会社も、基本的にはこのルールを守っているはずです。
ここの部分を逸脱してしまうと、いわゆる「ヤミ金」の範疇に入ってしまうからです。
しかし、表向きの金利はあくまでも法定金利内におさまるようにしていても、別途手数料をとっているところがほとんどのようです。
自動車担保ローンでは、車を担保とするために車検証の名義を貸金業者に変える必要があります。
そのための手数料を徴収するというのが表向きの理由ですが、それにしてはかなり高額な手数料を取るところが多いようです。
良心的なところだと1万5000円程度で済むこともあるようですが、5万円~7万円程度を徴収するところもあるようです。
実際にディーラーや買取店などでも名義変更の代行手数料として1万5000円程度を徴収することがありますので、その程度の金額であれば特に違和感はありません。
しかし、5万円~7万円というのは、名義変更の手数料としてはあり得ないほどの高額といえるでしょう。
金利そのものをあげてしまうと法律に触れてしまうため、手数料の名目で利益を上乗せしているわけです。
たとえば、7万円の手数料を支払って30万円の融資を受けて、18%の金利を適用した場合、1年後には元利合計35万4000円+7万円=42万4000円となり、実質年利は42%ということになってしまうわけです。
さらに、悪質な業者になると高額な手数料を取るだけではなく、リース料を請求するところもあるようです。
つまり、業者の名義になっている車を使っているわけだから、リース料を支払うのは当然という考え方です。
このように、うっかり悪質な業者を選んでしまうと、大変なことになってしまうのが自動車担保ローンの怖いところです。
スポンサーリンク
自動車担保ローンを利用することのさまざまなリスク
無担保・保証人なしでお金を借りることの出来ない人にとっては魅力的な自動車担保ローンですが、実はリスクもそれなりに大きいといえます。
車に乗ったままお金を借りることができるのは便利でいいのですが、もしその車が事故などで全損となった場合、担保を失うことになります。
その場合には、担保がなくなってしまったわけですから貸したお金の一括返済を求められることになります。
どんなに気をつけて運転をしていても、公道を走っている限り100%交通事故を回避するというのは不可能ですので、つねにそういったリスクがあるといことは頭に入れておくといいでしょう。
また、自動車担保ローンの業者の多くは、名義変更をした車検証や自賠責保険証を会社に保管をすることが多いようです。
実は、これは明らかに違法になるのです。
車を公道で走らせるときには、つねにこれらの書類は車に備え付けておく必要があるからです。
違反をすると、最高で80万円もの罰金を支払うはめになる可能性があります。
もちろん、それらの罰金を貸金業者が負担してくれることは絶対にないでしょう。
参考記事:車の売却時に書類の先渡しを要求する業者は要注意です
一般的なカーローンを組む場合でも、名義はディーラーや信販会社になるのが普通ですが、車検証や自賠責保険証を預けるということは絶対にありません。
また、自動車担保ローンのなかには、車に乗り続けることのできるタイプの他に、車を業者に預けてお金を借りるタイプのものもあります。
乗り続けることができるタイプにくらべて融資限度額が高くなるというメリットがありますが、本人の知らない間に勝手に車を売却されてしまったり、持ち逃げされてしまったりという詐欺まがいの被害に合うことも少なくないようです。
ここまでのリスクを負ってお金を借りるならば、むしろ普通に売却をしてしまった方がいいと思います。
このように、車に乗り続けながらお金を借りることのできるという「自動車担保ローン」ですが、非常にリスクの高い金融商品であるということをつねに頭に入れておくといいでしょう。
文・山沢 達也
スポンサーリンク