車の買取り業者と売却の契約をしたあとに、引き渡しまでに時間が空いてしまうことがあります。
たとえば、新しい車が納車になるまでその車を使わせてもらう場合などです。
そういったケースで、業者から「必要書類だけでも先に預からせてもらえますか」などといわれることがあります。
しかし、車の引渡し前に必要書類だけ先に渡すのは基本的にNGです。
それはいったいなぜでしょうか?
書類を先に渡してしまうと法律違反になります
車を公道で走らせるときに、つねに所持をしていなければならない書類がいくつかあります。
もちろん運転免許証もそうですが、それ以外にも車検証や自賠責保険証にも所持義務があるのです。
車検証は、つねに車に備え付けておくことが道路運送車両法の第66条に書かれています。
もちろん、コピーなどで代用することはできないことになっています。
ネットなどで「コピーでも大丈夫」と主張する人もいるようですが、運転免許証もコピーの携帯ではダメなわけですから、理屈としては同じです。
もしこの備え付け義務に違反をすると、50万円以下の罰金となってしまいます。
そういった意味では、運転免許証の不携帯などよりよっぽど厳しいですね。
また、自賠責保険証に関しても、自動車損害賠償法の第8条に車に備え付けておく必要があることが書かれています。
こちらも、違反をすると30万円以下の罰金となります。
もし車検証も自賠責保険証もない状態で走っていて見つかった場合、最高で80万円の罰金を支払わなければならなくなります。
下手をすると、車を売却した分のお金が全部吹っ飛んでしまうことだってあるでしょう。
こういった大きなリスクがあり、なおかつ法律違反にもなるわけですから、買取り業者に車検証や自賠責保険証などの必要書類を先に渡すということはやめるべきです。
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名義変更をされてしまうとあなたの車ではなくなる
買取り業者に必要書類をすべて渡してしまうということは、名義変更が可能になってしまうということです。
もし名義変更をされてしまうと、車の売却代金を受け取っていないにもかかわらず、車は他人の名義になってしまうということです。
名義があなたにない状態で、もし買取り業者が倒産したりした場合はどうなるでしょう?
あなたは売却代金を1円も受け取れない可能性があるばかりか、車を持っていかれることになります。
名義があなたにないわけですから、法的に所有権を主張できないわけです。
買取り業者が倒産する確率なんてそれほど高くないと思われるかも知れませんが、悪質な業者の場合には、車をだまし取るために意図的に倒産をするようなところもあるようなので注意が必要です。
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そういったトラブルを防ぐためにも、売却時の必要書類は代金を受け取る日に渡すのが鉄則です。
ただし、現実的には大手の買取り店のほとんどは、車や必要書類を引き渡したあと2営業日程度で銀行振り込みにより代金を支払う手順になっているようです。
知名度の高い大手の買取り店であれば、代金が支払われるまでの2営業の間に倒産をする確率は非常に低いと思われますので、それほど神経質になる必要はないかと思います。
もちろん、大手の買取り店であっても、車の引き渡し日に現金で売却代金を支払ってくれるところもありますので、心配な方はそういった業者を利用するといいでしょう。
気が変わって他店に売却されるのを防ぐ目的
そもそも、車の買取り業者が必要書類を先に要求する理由はどこにあるのでしょうか?
もちろん意図的に倒産をして車をだまし取ることが目的の悪徳業者は問題外ですが、まともに営業をしている買取り業者であっても、必要書類を先に欲しがる場合があります。
業者の言い分としては、少しでも早く手続きを進めておきたいということなのでしょうが、本音は別のところにあるようです。
要するに、売り主の気が変わって他店に持ち込まれるのを防止したいわけです。
名義変更まではしなくても、車検証や自賠責保険証などの書類が手元にあれば、車を他店に売却することは絶対に不可能だからです。
すでに売買契約を済ませているのであれば、あなたにはそのお店に車を売却する義務が生じますので、必要書類があなたの手元にあったとしても、基本的には他店に売却は出来ないことになります。
しかし、買取り店としてはやはり不安なのでしょう。
必要書類の先渡しではなく、契約をキャンセルした場合の高額な違約金を設けている業者もあるようです。
しかし、車を手渡してしまった以降のキャンセルであれば、すでにオークションに会場に持ち込んでしまったりして業者に損害が生じる可能性がありますが、車を引き渡す前であればそういった損害が発生することはまずありません。
そのため、車を引き渡すまえであれば比較的契約のキャンセルがしやすいということもあり、それを防止するために書類の先渡しを求めるのだと思います。
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