アウトレット中古車は本当にお得なのか?~現状販売のクルマとはどこが違うのか?

アウトレット中古車という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

一般の中古車の場合は、整備や室内クリーニングなどを施した状態で店頭にならぶことになります。

ところがアウトレット中古車の場合は、入荷した状態のままで店頭にならべて、整備や室内クリーニングなどは希望する人にのみオプションという形で実施します。

自分に必要ないと思われるサービスはカットして、できるだけ入荷したときに近い状態で購入すれば、一般の中古車にくらべてかなり安く購入することができるわけです。

ここでは、アウトレット中古車を購入することは本当にお得なのかどうかについて考えてみたいと思います。

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現状販売とアウトレット中古車はどこが違うのか?

「現状販売」あるいは「現状渡し」という表示のある中古車を見たことがある人もいることでしょう。

現状販売というのは、文字通り現状のままで販売する中古車で、仕入れをしたときに、キズやヘコミなどがあったとしても修理をせずにそのまま販売されることになります。

もちろん、整備や室内クリーニングといったようなことも行われることがありません。

イメージとしては、ネットオークションなどの個人売買に近いといっていいでしょう。

これに対して、アウトレット中古車というのは、整備や室内クリーニング、あるいは傷の修理といった項目のなかから、自分が希望するものを選ぶことができます。

何もせずに現状のままで購入してもいいですし、キズやヘコミだけをオプションという形で修理してもらって購入することも可能です。

また、現状販売の中古車だと一切の保証がありませんが、アウトレット中古車の場合は、オプションで保証をつけてもらったりすることも可能です。

アウトレット中古車は不要なものを除けば安く購入が可能

たとえば、通常の相場だと60万円で販売される中古車があるとします。

その中には、室内クリーニング代1万円、点検整備代5万円、キズやヘコミの補修代6万円、保証料3万円で、トータル15万円が含まれていたとします。

アウトレット中古車として、これらの費用をすべてカットして購入したとすれば、45万円で購入できることになります。

さすがにキズやヘコミは恥ずかしいので、オプションで修理したいと考えた場合は、45万円に6万円をプラスして、51万円ということになります。

それでも、通常の販売価格である60万円からくらべると、9万円も安く購入できることになります。

「クルマはとにかく動けばいいのでなるべく安く買いたい」という人にとっては、自分が必要ではないと思えるサービスをカットできるアウトレット中古車は魅力的に感じるかも知れません。

素人がアウトレット中古車を購入するのは危険なのか?

ネット上には、素人はアウトレット中古車には手を出さない方が無難であるというようなことが書かれていたりします。

理由としては、クルマの素人が整備もされておらず保証もないクルマを購入するのはリスクが高すぎるということのようです。

しかし、そういった情報を鵜呑みにしてはいけません。

そういった情報を発信しているサイトの多くは、自社で整備や保証付きの中古車を販売している業者が運営していたりするからです。

確かに整備をしないままの中古車を現状渡しで購入するというのはリスクが高そうなイメージがあります。

しかし、それまで車検のときやディーラーなどの定期点検を普通に受けていたクルマであれば、特に現状渡しでも問題はないはずです。

それまでしっかり整備点検をされてきたクルマかどうかは、整備手帳を確認させてもらえばすぐに分かります。

整備なしのままで中古車を買うとエンジンが焼け付いてしまう?

「アウトレット中古車をそのまま買ったら、前のオーナーがろくにオイル交換をしていなくて、購入後にエンジンが焼き付きを起こしてしまった」

などというネット上の情報があるようですが、もしこれが本当だとしても、非常にまれなケースだと思われます。

なぜなら、いまの国産車のエンジンは非常に品質が高くなっていますので、少しくらいオイルの交換をさぼった程度で、エンジンが焼き付きを起こすなどということは考えにくいからです。

エンジンが焼き付くということは、オイルストレーナーにスラッジが詰まってしまって、オイルが循環しなくなってしまう状態です。

どんなにずぼらな人でも、車検のときくらいはオイル交換をしているはずです。

よほど過走行な人でなければ、車検ごとにオイル交換をしていれば、オイルストレーナーを詰まらせてしまう可能性は低いといえます。

もちろん、車検のとき以外にオイル交換をしなくてもいいというお話ではありません。

エンジンのためには、マメにオイル交換をした方がいいことは言うまでもありません。

しかし、少しくらいオイル交換をさぼった程度では、そう簡単にエンジンは壊れないということです。

参考記事:もしオイル交換をしなかったら本当にクルマは壊れるのか?
        

クルマを下取りにだす人の多くは、半年~1年程度でオイル交換をしているはずです。

ほとんどオイル交換をしていないような極端な事例を取り上げて、アウトレット中古車を購入するのは危険であると決めつけるのはどうかと思います。

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アウトレット中古車のオプションはほとんど必要ない?

アウトレット中古車でオプションとして用意されているものは、それまで普通の中古車に諸経費として乗り出し価格の中に組み入れていたものです。

整備、キズやヘコミの修理、室内クリーニング、ポリマーコート、アフター保証といったものを、オプションとして選択できるようにしているわけです。

そもそも、中古車を購入する際にこれらの項目が本当に必要なのかどうかは、はなはだ疑問です。

キズやヘコミに関しては、気にならなければそのまま乗ってもいいですし、知り合いの板金屋さんにお願いして安くやってもらってもいいわけです。

また、室内クリーニングに関しても、気になるほど汚れていなければ、そのままでもいいわけです。

少しくらいの汚れなら、自分できれいにすることも可能です。

ましてやポリマーコートなどは、新車で購入するのならばともかく、中古車を購入する層の多くの人は必要であるとは感じないでしょう。

保証に関しても、たとえ新車で購入したクルマであっても、メーカー保証は3年~5年で切れてしまいます。

つまり、それ以降の年式のクルマというのは、基本的には保証なしの状態で走っているわけです。

中古車として別の人の手に渡ったときだけ、再び保証をつけるというのは、あまり意味はないといえます。

中古車の保証というのは、せいぜい3ヵ月程度です。

それまで普通に走っていたクルマが、中古車として売られて別の人の手に渡ったとたん3ヵ月程度で壊れてしまうというのは、よほど運の悪いケースといえそうです。

確かに、現状販売の場合だと、悪質な業者が不具合のあるクルマを隠して売ってしまう可能性があります。

しかし、アウトレット中古車の場合は、オプションとして保証をつけることを選べる状態で店頭にならべているわけですから、最初から不具合のあるクルマを売るということはないはずです。

どうしても不安であれば、保証だけをオプションでつければいいわけです。

また、5年落ち未満の中古車であれば、エンジンやミッションなどの重要な部分に関するメーカー保証が残っていますので、別途で保証をつける必要はありません。

アウトレット中古車はしっかりした業者から購入すべき

こうしてアウトレット中古車のオプションを見てみますと、絶対に必要だと思えるようなものはほとんどありません。

逆にこれらの項目を最初からすべてつけて、諸経費として車両価格に上乗せしている業者がもうけ過ぎであると言えなくもありません。

アウトレット中古車を素人が買うのは危険であると主張しているのは、これまでそうした諸経費でしっかりと儲けていた業者たちであることが少なくないのです。

ただし、アウトレット中古車をオプションなしで現状のまま購入するということは、すべて自己責任ということになりますので、しっかりとした業者から購入するといったことや、整備記録を確認するといったことは大切になります。

また、アウトレット中古車のなかには、正規の中古車として販売できないような状態の悪いクルマを格安で売っているケースもありますので、そういったクルマには手を出さないようにすべきです。

文:山沢達也

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