長い間乗ってきて年式も古くなってきた車の場合、乗り換えをすべきかそれとも乗りつぶした方がいいのか、迷うこともあると思います。
一般的に乗りつぶした方がいいケースというのは、ほとんど査定が付かず中古車としての商品価値がなくなっているにもかかわらず、車そのものは何の問題もない場合です。
しかし、一般の方が何の知識もなしにどちらがお得なのかを見極めるのは非常に困難だと思われます。
ここでは具体的な例をあげて、古い車を乗り換えた方がいいのか乗りつぶした方がいいのかについて解説をしてみたいと思います。
車種別にランニングコストを考えてみる
車を新車で買ってから数年乗って乗り換えた場合と、10年間乗った場合の1年あたりのコストを車種別に計算してみましょう。
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トヨタプリウスは何年乗るとお得なのか
いま人気のハイブリッドカーの代表的な車である、トヨタプリウスについてみていきましょう。
人気車種に乗っている人の傾向がつかめると思います。
2年落ちで乗り換えたときの1年あたりの目減り額
まず、プリウスのSグレードを新車で買って、2年で買い替えた場合の例で見てみましょう。
走行距離は2万キロと標準的で、7社の買取り店に査定をした結果、最高が175万円の買取り額でした。
これに対して、プリウスSグレードの新車の価格は約220万円(税別)ですから、ここから175万円を引くと45万円となります。
2年落ちの車ですから、これを2で割った22万5千円が1年あたりの目減り額ということになります。
5年落ちのプリウスの場合
次に、5年落ちの例でみてみましょう。
プリウスSのLEDエディションで、新車価格は236万円(税別)になります。
5年落ちのプリウスSのLEDエディションを8社の買取り店から査定してもらった結果、一番高い提示額がちょうど100万円でした。
この車は、距離数が65,000kmと5年落ちの車としては少し距離が延びています。
この車の買取り価格100万円と、新車価格236万円の差額は136万となり、5年落ちの車ですからこれを5で割ると27万2千円となります。
つまり、5年落ちのプリウスSのLEDエディションの1年あたりの目減り額が27万2千円ということになります。
10年落ちでも20万円の残価がある!?
次に10年落ちのプリウスGツーリングセレクションの事例を見てみましょう。
走行距離が約10万キロと10年落ちの車としては標準的です。
この車を6社に査定してもらった結果、一番高いところの提示額が20万円でした。
10年落ちでも20万円の買取り価格を提示されるところに、プリウスの人気ぶりがうかがえます。
プリウスGツーリングセレクションの新車当時の価格が約270万円ですから、買取り価格との差額は250万円ということになります。
10年落ちの車ですから、これを10で割りますと1年あたり25万円の目減り額ということがわかります。
結果のまとめ
これらの結果をまとめてみましょう。
2年落ちで乗り換えたときの1年あたりの目減り額が22万5千円。
5年落ちで乗り換えたときの1年あたりの目減り額が27万2千円。
10年乗った場合の1年あたりの目減り額が25万円。
車の状態にもよると思いますが、これらの数字を見る限りにおいては、プリウスを新車で購入した場合の1年あたりの目減り額はおよそ25万円前後であることがわかります。
しかも、10年たってもしっかりと買い取り価格が提示されます。
このことから、プリウスの場合は途中で乗り換えても、10年乗ってもどちらでも差がないという結果になりました。
参照:プリウスの買取り相場と査定金額~5年落ちと10年落ちの事例
不人気車であるマツダMPVの場合はどうか?
人気車種であるトヨタプリウスの場合ですと、乗り換えても乗りつぶしてもコスト的な損得はあまりないということが分かりました。
それでは、あまり人気のないマツダMPVの場合はどうでしょうか?
一般にこのような不人気車は売るよりも乗りつぶした方がいいといわれますが、実際の買取り価格を見ながら判断をしてみましょう。
3年落ちでMPVを乗り換えた場合
3年落ちので、走行距離が約3万キロのMPV23S Lパッケージを2社に査定してもらった結果、高い方の会社の提示額は200万円でした。
MPV23S Lパッケージの新車価格は、310万円です。
新車価格と買取り価格の差額は110万円となり、1年あたりになおすと36万6千円となります。
つまり、1年あたり36万6千円ずつ目減りしていることになります。
もっともマツダの場合、新車の値引き額が比較的大きい傾向がありますので、この辺の数字はもう少し小さくなるはずです。
7年乗ったターボモデル23Tのケース
次に7年落ちのMPV23Tの例をみてみましょう。
23Tはターボモデルとなり、いまはこのグレードはなくなっていますが、当時の最高グレードでした。
走行距離は6万キロほどですので、7年落ちの車としては若干少なめな印象です。
この車を6社に査定してもらった結果、一番高い会社の買取り価格が110万円でした。
7年落ちの不人気車種の買取り価格としては破格ではないでしょうか?
当時の新車価格は320万円ですので、買取り価格との差額は210万円になります。
210万円を7で割ると、1年あたりの目減り額が30万円ということになります。
さすがに10年だとほぼ残価がなくなる
次は10年落ちで見ていきましょう。
10年落ちですから、現行とは違うフルモデルチェンジ前のMPVとなり、グレードはBです。
走行距離は10万キロと年式相応となっています。
このMPVを5社に買取り査定してもらった結果、一番高いところの提示額が3万円でした。
当時の新車価格が210万円でしたので、買取り価格との差額は207万円ということになります。
この207万円を1年あたりの目減り額に直すと、20万7千円となります。
MPVの比較結果のまとめ
結果をまとめてみましょう。
3年落ちの場合で、1年あたりの目減り額が36万6千円、7年落ちの場合で30万円、10年落ちで20万7千円となりました。
10年落ちの車種の新車価格が低かったこともあり、同一条件での比較はできませんでしたが、傾向としては、なるべく長く乗った方が1年あたりのコストが低くなりお得な車であることが分かります。
また、これらの数字を見る限りにおいては、不人気車種とされているマツダMPVにおいても10年落ちまでは十分に乗り換えのメリットはあるということが分かりました。
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意外に車の価値はそれほど下がらない
人気車種であるトヨタのプリウスと、不人気車種であるマツダMPVの2車種で、それぞれ10年まで乗った場合のコストを比較してみました。
その結果から見えてきた傾向を解説してみましょう。
乗りつぶすなら10年以上からがメリット
プリウスにおいては10年乗っても20万円の買取り額を提示してくる買取り業者がいて、十分に商品価値があることが分かりました。
一方、不人気車種であるマツダのMPVですが、こちらは長く乗るほど1年あたりのコストが下がってくる傾向があり、10年乗るとほとんど買取り価格も0円に近くなり商品価値もほとんどなくなってしまうということがわかりました。
10年乗ってもまだまだ車が問題なく動くのであれば、乗りつぶしてしまった方がお得ということが言えるでしょう。
古い車に商品価値がある理由
かつては、車の価値があるのは5年程度で、それ以降は乗り換えるよりも乗りつぶした方がいいといわれた時代もありました。
しかし、今回の数字を見る限りにおいては、10年乗ってもまだ商品価値がある車種もあり、10年以内であればどのタイミングで車を乗り換えてもコスト的に差がないということもわかりました。
以前の車は、塗装技術が未熟だったために、5年以上乗るとボディーにサビなどが出る車もあり、商品価値は一気に下がる傾向にありました。
しかし、最近の塗装技術の進歩により、10年乗ってもそれほどボディーにダメージを受けている車を見かけることはなくなりました。
また、エンジンに関しても、普通に乗っていれば10年程度で壊れることはまずありません。
古い車でも商品価値が残っている背景には、かつてにくらべて車が長持ちするようになったという点が大きいと思います。
関連記事:車の耐用年数と乗りつぶしや廃車にする時期をどう判断するか?
買取店の有効活用で残価がアップ
それと、最近は車を売る際に選択肢が多くなっているという点も、古い車の商品価値を高める傾向にあります。
買取り店が競って車の買取りをするようになったことで、以前であれば価値がないと判断された車でも、ある程度の金額で買取りをしてもらえることが多くなったのです。
実際に、5社に査定をしてもらったところ、4社が0円だったのに1社だけ20万円の提示をしてくれたという事例も実際にあります。
かつてであれば、廃車にするか乗りつぶすしかなかった車が、複数の買取店に査定をしてもらうことで20万円の商品価値を生んだわけです。
車を乗りつぶすか買い替えるかで悩んだ時には、まずは複数の買取り店に査定をしてもらって車の残価を知ってから判断するようにするといいでしょう。
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