いままで上位表示していたホームページの検索順位が下がると、多くの人はペナルティを受けたと思ってしまうようです。
確かに、検索順位が下がってしまうということは、Googleからの評価が下がってしまったというとですから、ペナルティを受けたと勘違いをしてしまうのはある意味では仕方がありません。
しかし、検索順位が下がってしまうケースの多くはペナルティではなく、Googleアルゴリズムのアップデートによる順位の変動となります。
検索順位が下がってしまうわけですから、Googleからの評価が下がってしまったことは事実ですが、それはあくまでも相対的なものです。
ペナルティというのは、Googleのガイドラインに違反するようなサイトに対して独自のマイナスポイントを与えて、検索順位を下げるというものです。
それに対して、アルゴリズムのアップデートが原因の順位変動は、他のサイトの評価があがったことによって、相対的に自分のサイトの順位が押し下げられてしまうということもあるわけです。
つまり、全体の評価と検索順位を見直すのがアルゴリズムのアップデートであり、ペナルティとはまったく意味合いの違うものなのです。
自分のサイトの検索順位が大きく下がってしまったとき、それがペナルティによるものなのかアルゴリズムのアップデートによる変動なのかを見分けるにはどうしたらいいのでしょうか?
ペナルティといっても、Googleはガイドライン違反をしたサイト対してさまざまなペナルティを科しますので、一概には判断することはできません。
ペナルティの種類別に、具体的に解説をしてみたいと思います。
手動ペナルティは自分のサイトだけが目視で狙い撃ちされる
Googleによるペナルティの1つに、手動ペナルティというものがあります。
手動ペナルティの場合は、目視で1つずつのサイトを人間が判断してペナルティをあたえますので、これを受けたときの判断は容易です。
自分のサイトだけ検索順位が大きく下がって、他のサイトの検索順位はまったく変わらないからです。
すべてのクエリで一律に同じような下がり方になります
しかも、手動ペナルティの場合は、どんなクエリでも一律に同じような落ち方をします。
自分のサイト名やタイトルで検索をしても、40位~50位くらいにまで検索順位を落とされてしまうのが特徴です。
また、サーチコンソールに登録してあるサイトであれば、Googleからあまりうれしくないラブレターが届きますのですぐに気がつきます。
手動ペナルティは、コンテンツの品質がかなり低かったり、露骨な自作自演のリンクをしたりしたときなどに受けることが多いです。
何が原因でペナルティを受けたかは、Googleから届くラブレターにその理由が書かれています。
自分がガイドライン違反をしているという自覚のある人であれば、あえてそれを読まなくても原因は察知することができるでしょう。
手動ペナルティは、人間の目でいちいち確認をするというかなり手間のかかることをしなければならないので、よほど悪質なガイドライン違反をしなければ発動されることはないといわれています。
中古ドメインだと「低品質コンテンツ」のペナルティを受ける?
この手動ペナルティに関しては、1つだけ不思議なことがあります。
それは、中古ドメインを使ったサイトが手動ペナルティを受けるときは、どんなにしっかりとコンテンツを作り込んだサイトであっても「低品質コンテンツ」で警告が来ることがあるという点です。
中古ドメインを使ったブラックハットSEOの場合、自作自演の被リンクをたくさんつけていることが多いので、警告内容としては「不自然なリンク」が妥当だと思うのですが、多くの場合は「低品質コンテンツ」と指摘されてしまうのです。
これは、中古ドメインを使っていて手動ペナルティを受けたことのある人が感じている、Google七不思議の1つです。
確かに、中古ドメインというのは、もともと別の誰かが使っていたドメインですので、被リンク元のサイトは現在運営しているサイトとはまったく関連性のないサイトのことが多いです。
被リンク元のサイト側から見た場合、コンテンツとの関連性がないという意味では「低品質コンテンツ」になるのかも知れません。
Googleのロボットによる自動ペナルティ
手動ペナルティのように、Googleの中の人が1つずつ目で見てサイトを確認するわけではなく、ロボットにガイドライン違反の判断をさせる、いわゆる自動ペナルティというものがあります。
このペナルティは、あえて人間の目で確認をしなくても、ロボットの判断によって明らかにガイドライン違反と判断されたときに発令されます。
たとえば、タイトルやタグ、本文などにやたらとキーワードを詰めすぎたりとか、すべてのメインサイトに対してサテライトサイトから同じようにリンクをつけたりしたときに、ロボットのパターン認識によってペナルティを受けることがあります。
この自動ペナルティも自分のサイトだけ順位が下がり、他のサイトの順位にはまったく変動がありませんのですぐに気がつくことができます。
自動ペナルティではクエリによって落ち方が変わります
ただし、手動ペナルティのように、すべてのクエリで同じような落とされ方をするわけではありません。
ガイドライン違反の重要度によって、わずかな下落で済む場合もあれば、圏外(100位以下)に飛ばされることもあります。
また、自動ペナルティの場合、同じドメインであっても、大きく順位を下げるページもあれば、まったく順位に変動がないページがあったりすることもあります。
つまり、同じロボットによる自動ペナルティであっても、ページ単位で発動されることもあれば、ドメイン単位で発動されることもあるということです。
自動ペナルティの場合には、手動ペナルティのようにサーチコンソールに通知が来ることはありませんが、自分のサイトだけが順位が落ちているということから判断ができるはずです。
こうした自動ペナルティを受けてしまったときには、直前にスパム的なガイドライン違反をしてしまった可能性があるので、思い当たる節がないかどうかを確認してみるといいでしょう。
ガイドライン違反のサイトに一斉にペナルティが科せられることも
かつてのペンギンアップデートやパンダアップデートのように、ガイドライン違反のサイトが一斉に検索順位を下げられるペナルティもあります。
こうした一斉に発動されるペナルティの場合、多くのサイトが影響を受けますので、検索結果が大きく動きます。
手動ペナルティやロボットによる自動ペナルティの場合は、自分のサイトだけ順位が下がりますので、すぐにペナルティを受けたと判断できますが、こうした一斉に発動されるペナルティはあらゆるサイトの順位が変動します。
つまり、最近頻繁に起こっているGoogleのコアアルゴリズムアップデートのような動きになるわけです。
ペンギンアップデートやパンダアップデートは、かつてのように一斉に発動されるということがなくなり、Googleの日常的なアルゴリズムの中に組み込まれてしまっています。
そのため、最近では、多くのサイトが一斉にペナルティを受けるといったようなことはほとんどなくなりました。
多くの人がSNSなどで「ペナルティを受けた」と大騒ぎをしているときは、ペナルティではなく、Googleアルゴリズムのアップデートによって変動があったと考えていいと思います。
よほどのことがないとペナルティを受けることはない?
ガイドライン違反をしたサイトは、自動であれ手動であれGoogleからペナルティを受ける可能性があることになりますが、かといってガイドライン違反のサイトが必ずしもペナルティを受けるとは限りません。
実際に、ツールで作成した日本語としてまったく意味不明のコンテンツが、上位表示されてしまうことは普通に起こります。
GoogleのAIが年々進歩ととげているとはいっても、やはり文章の中味まで正確に判断することは難しいのでしょう。
また、自作自演のリンクに関しても、しっかりと作り込まれたサテライトサイトからの被リンクであれば、ナチュラルリンクと見分けることは容易ではないはずです。
実際に、ペナルティを全く受けずに自作自演のリンクをたくさん貼ったサイトが上位表示していることは普通にあります。
「自作自演のリンクを貼るとペナルティを受けてサイトが飛ぶ」などとよく言われますが、そう簡単に飛ぶものではないというのが実感です。
実際に、弊社でもツールを使って質の低いスパムリンクを大量に貼るという実験を行ったことがありますが、サイトの順位はまったく変わりませんでした。
ペナルティで飛ぶこともなければ、順位が上がることもありませんでした。
もしそういった大量のスパムリンクでサイトが圏外に飛んでしまうのであれば、ライバルサイトが逆SEOを仕掛けてくることも可能になってしまいます。
そういった理不尽な攻撃を受けないように、質の低いスパムリンクに対しては、ペナルティをあたえるのではなく、リンクの存在を無視するようなロジックになっているのだと思います。
自作自演の被リンクに対するペナルティに関しては、ペンギンアップデートが猛威を振るった頃ほどは、神経質にならなくてもいいのかも知れません。
文:土井 稔