クルマのドレスアップのために、タイヤやホイールを交換する人もいるでしょう。
このとき注意しなければならないのが、そのサイズです。
サイズを間違えてしまうと、スピードメーターの数字がくるってしまうことがあるからです。
メーターの数字を見て制限速度で走っていたつもりが、実際にはスピードオーバーでネズミ捕りに捕獲されてしまうなどという悲劇が起こらないとも限りません。
タイヤやホイールの交換をするときには、そのサイズには細心の注意を払う必要があります。
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スピードメーターがクルマの速度を測定する仕組み
クルマのスピードメーターの仕組みは、意外に単純です。
センサーによってタイヤの回転数をカウントして、そのカウント数とタイヤの外周によって速度を割り出しているわけです。
たとえば、タイヤの外周が2mだとします。
このタイヤが1分間に500回転していたとすると、1時間では30,000回転することになります。
2mの外周のタイヤが30,000回転するということは、1時間あたり60,000m進むことになります。
1時間あたり60,000m進むということは、すなわちそのクルマのスピードは時速60kmということになります。
このように、クルマのスピードメーターというのは、タイヤの外周と回転数によって単純に求められていることになります。
タイヤの外周が変われば当然ながらメーターの数字と実測は変わってきます
クルマのスピードメーターが、あらかじめ想定されたタイヤのサイズをもとにして、回転数をかけ合わせて算出しているということがお分かりいただけたかと思います。
そうなると、タイヤの外周が変わってしまうことによって、メーターに表示される数字と実際の速度は変わってしまうことになります。
先ほどの例ですと、タイヤが1分間に500回転したときにスピードメーターは時速60kmを指し示すように設計されています。
しかし、これはタイヤの外周が2mであるということを前提にセッティングしているわけです。
もしこのクルマに外周が1.8mのタイヤを取り付けたとします。
この場合であっても、タイヤが1分当たり500回転すれば、メーターの数字は時速60kmを指し示します。
ところが、実際の速度は1.8m×30,000回転で計算をしますと時速54kmということになりますので、メーターの数字よりも6km/h遅いスピードで走っていることになります。
逆に、外周が2.2mのタイヤを取り付けたとしますと、今度は2.2m×30,000回転ということになりますから、クルマの実際の速度は時速66kmということになります。
つまり、メーターでは60km/hを指し示しているのに、実際の速度は66km/h出ているということになります。
同じように、タイヤの外周が2.4mだとすると、メーターの表示は60km/hであるにもかかわらず実際の速度は72km/hにもなってしまいます。
メーターの指示によって制限速度以内で走っているつもりだったのに、サイズの大きなタイヤを装着していたことによって、スピード違反で捕まってしまうという悲劇が起こらないとも限らないわけです。
タイヤの外径が変わってしまうと車検に通らなくなる可能性も
タイヤを変えることで、車検に通らなくなる可能性もあります。
なぜなら、車検の項目にスピードメーターの誤差に関する基準があるからです。
2007年1月1日以降に製造されたクルマは、メーターが40km/hを示しているときの実際の速度が-22.5%~+6%の範囲に収まっていないと車検に通らないことになっています。
2006年12月31日までに製造されたクルマの場合は、-15%~+10%の範囲となっていましたので、2007年1月1日以降はプラス側に厳しくなったことになります。
プラス側の誤差が大きいということは、メーターの表示よりも実際の速度が速いということになってしまいますので、スピード違反を犯してしまう可能性が高くなります。
そのため、プラス側を厳しめに変更したのだと思います。
ちなみに、メーターの表示が40km/hのときに+10%の誤差があると、実測は44km/hとなりますが、+6%だと42.4km/hということになります。
その程度の誤差であれば問題ないと、国土交通省は判断しているわけです。
クルマのメーターは最初からマイナス側に誤差があるように設計されています
2007年1月1日以降に製造されたクルマは、メーターの誤差が+6%を超えると車検に通らなくなりましたが、実際にはよほど外径の大きなタイヤと交換しない限り問題になることはないと思われます。
なぜなら、クルマのスピードメーターというのは、最初から誤差がマイナスとなるように設定されているのが普通だからです。
メーカーや車種によっても異なりますが、一般的にはメーターの表示に対して実際の速度が-8%~-9%ほどになるように設計されています。
つまり、一般道をメーター読みで制限速度ぎりぎりの60km/hで走っているつもりでも、実際の速度は55km/h程度ということになります。
メーターの表示を見て制限速度以内で走っているクルマが、スピード違反で検挙されるといったようなことがないように、あえてマイナス側に誤差を持たせているのだと思います。
このように、クルマのスピードメーターはもともとマイナス側に誤差が生じるように設計されていますので、よほど外径の大きなタイヤと交換しない限りは、車検に通らなくなるということはないと思われます。
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タイヤが新品のときと擦り減ったときでは実際の速度が異なる?
タイヤの外径というのは、そのままずっと一定ということではありません。
走行をすることにより、タイヤはどんどん減っていくからです。
つまり、新品のタイヤに交換したばかりのときは外径が大きく、交換直前の擦り減ったタイヤは外径が小さいということになります。
別の言い方をすれば、スピードメーターの表示は同じなのに、タイヤが新しいときの方が実際のスピードは速いということになります。
新品のタイヤの溝は8mmほどありますので、車検に通るギリギリの溝しかない1.6mmのタイヤとの差は6.4mmになります。
タイヤが6.4mm減るということは、直径が12.8mm小さくなるということです。
外周だと40mmほど少なくなります。
しかし、これくらいの誤差は、あまり問題となることはないようです。
新品時に外周が2mのタイヤが1分間に500回転したときのスピードメーターの数字が60km/hだとします。
このタイヤが擦り減って直径が12.8mm少なくなったときの外周は1.96mとなりますので、メーターで60km/hを指し示しているときの実測は、1.96m×30,000回転の計算により58.8km/hとなります。
つまり、タイヤが新品のときとギリギリまで擦り減ったときで、実際の速度の差はわずか1.2km/hほどしかないことになります。
ホイールをインチアップするときにはタイヤの外形が変わらないように注意
ドレスアップでホイールを変える際に、インチアップをする人が多いと思います。
たとえば、これまで16インチだったホイールを18インチに変えたりするわけです。
ただ、ホイールのサイズをアップするときに、タイヤの外径まで変えてしまうと、先ほど計算した通りスピードメーターと実際の速度が合わなくなってしまいます。
ホイールのサイズが大きくなっているのに、タイヤの外径を大きくしないようにするにはどうすればいいかというと、単純にタイヤの厚みを薄くすればいいわけです。
要するに、扁平率の低いタイヤに交換をするということです。
関連記事:最近のタイヤの扁平率はなぜどんどん低くなっているのか?
具体的にタイヤの扁平率をどれくらいにすればいいのか?
実際にタイヤをドレスアップするときに、どれくらいの扁平率にするとあまり外周が変わらないのかを見ていきたいと思います。
たとえば、いま履いているタイヤのサイズが、16インチ、太さが205cm、扁平率65だとします。
このときのタイヤの直径は673mmです。
ドレスアップによりタイヤの外径を変えずに18インチのホイールを装着したい場合で考えてみます。
タイヤの幅を215mmとワンサイズ大きくして、扁平率を50にしたときの直径が、672mmとなります。
これであれば、インチアップ前の直径と1mmしか変わりませんのでOKということになります。
扁平率を40にしたいとすると、タイヤの幅を265mmの極太にしなければなりません。
この場合は、直径が669mmとなりますので、当初のタイヤと4mmしか差がありませんので、問題なく車検に通ります。
しかし、265mmの極太タイヤにするというのは現実的ではありませんので、どうしても扁平率40のタイヤを装着したいのであれば、19インチのホイールが必要になります。
ホイールが19インチであれば、扁平率40でタイヤの幅が235mmのときに直径は671mmとなりますので、当初のタイヤと直径の差は2mmとなり、まったく問題ないことになります。
このように、ホイールを変えてドレスアップをするときには、タイヤの直径が変わらないように、しっかりと計算をする必要があります。
インチアップのときのタイヤサイズの計算をするには、以下のサイトが便利です。
参考:外径計算機&メーター誤差計算機&ホイールマッチング計算機
文・山沢 達也
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