2017年6月に、無謀なあおり運転による夫婦の死亡事故かきっかけとなり、あおり運転は大きな社会問題となっています。
警視庁は2018年1月16日付で、あおり運転に対して厳罰化をすることになりました。
確かに、悪質なあおり運転は絶対に許されることではありません。
しかし、普通に他のクルマにまったく迷惑をかけずに走っていて、一方的にあおり運転をされるというケースはまれです。
あおり運転をされるということは、何かそのきっかけを作ってしまった可能性があるわけです。
たとえば、高速道路の追い越し車線を延々と走り続けたり、車線変更のときに目測を誤って後続のクルマにブレーキを踏ませてしまったりといった行為です。
ここでは、あおり運転を誘発する行為には、どういったものがあるのかについて考えてみたいと思います。
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高速道路の追い越し車線を走り続ける交通ルールを知らないドライバー
高速道路の一番右側の車線は、基本的に追い越し車線ということになっています。
つまり、追い越しをするとき以外にはその車線を走ってはいけないことになっているのです。
追い越し車線を2km以上にわたって継続的に走り続けると、車両通行帯違反という立派な違反になります。
普通車が車両通行帯違反で摘発された場合、違反点数1点、反則金6000円という罰則が科されます。
ところが、普段あまり高速道路を走り慣れていないドライバーのなかには、このルールを知らない人がけっこういるようです。
そのため、一般道と同じように何の罪悪感もなく右側の車線をマイペースで走ってしまうわけです。
こういった走り方をしてしまうと、車両通行帯違反になるだけではなく、あおり運転を誘発してしまうことにつながります。
追い越しをしようとして右側の車線にでたクルマの前方に、左側を走るクルマと並走してマイペースで走るクルマがいたらどうなるでしょうか?
追い越しをしたくて右側の車線に出たクルマのドライバーは、当然のことながらイライラすることになります。
その結果、車間距離を詰めたりパッシング(ライトを点滅)をしたりして、前のクルマに車線を譲るように圧力をかけることになります。
一方、交通ルールを知らずに、追い越し車線をマイペースで走るクルマにしてみれば「自分は何も悪いことをしていないのに、悪質なドラーバーにあおり運転をされた」と感じることになります。
自分に原因があってあおり運転を誘発してしまっているということに、まったく気がついていないわけです。
高速道路の右側車線は、追い越しをするクルマのために空けておくということを、忘れないようにしたいものです。
車線変更で後続のクルマにブレーキを踏ませてしまう行為もあおり運転を誘発
車線変更の苦手な人がいます。
車線変更の苦手な人というのは、後方から来るクルマの距離やスピードなどの目測を誤ってしまい、車線変更のタイミングで後続車にブレーキを踏ませてしまうことがあります。
本人にはまったく悪気はなかったとしても、ブレーキを踏まされた後続車にしてみれば、「割り込まれた」と感じるに違いありません。
こうした目測の誤りによって後続車にブレーキを踏ませてしまう行為は、車線変更のときだけに限りません。
たとえば、わき道から本線に出るときに、本線を走っているクルマの速度や距離などの目測を誤ってしまって、ひょっこりと本線に出てしまったりします。
そんなときでも、しっかりと加速をして流れに乗ればいいのですが、そういう人に限って「ちゃんとアクセル踏んでる?」といいたくなるようなノロノロの加速をしたりするわけです。
その結果、後続車は追突しないようにあわててブレーキを踏むことになり、人によっては「カチン」と来て、車間距離を詰めたりパッシングをしたりするわけです。
運転の下手なドライバーは、そもそも自分が目測を誤ったということに気がついていませんので、なぜ後続のクルマはあおり運転をしてくるのかが理解できないことになります。
しかし、本線を走っているクルマにあわててブレーキを踏ませて流れを止めるというのは危険行為となりますし、これも立派な道路交通法違反ということになります。
クルマの流れに乗れないでマイペースで走るクルマもあおり運転をされやすい
高速道路の場合は、最低速度というものが決められており、基本的に50km/h以下の速度で走ってはいけないことになっています。
しかし、一般道の場合には、一部の自動車専用道路を除いてそういったルールがありませんので、何キロで走ってもいいことになります。
そのため、60km/h制限の道路を、40km/h程度の速度でのんびりと走っているクルマをときどき見かけます。
本人は安全運転をしているつもりなのでしょうが、後続のクルマはイライラすることになります。
地方に行くと、軽トラの後ろに何台ものクルマがつながった状態でノロノロと走っている光景をよく目にします。
もちろん、道路交通法に違反をしているわけではありませんので、そういった走りをする人を一概に非難することはできません。
しかし、道路というのは大勢の人が共同で使用しているわけですから、ある程度はクルマの流れに乗って走らないと、イライラした後続ドライバーのあおり運転を誘発することになりかねません。
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自分では意識しないまま車間距離を詰めて走ってしまう人も要注意です
別にあおり運転をしているわけではないのですが、無意識に車間距離を詰めて走ってしまう人がいます。
こういう人の場合、単なる運転のクセであって、前のクルマをあおるという意識はまったくないのですが、前のクルマにしてみれば心中穏やかではありません。
「後ろのクルマが車間距離を詰めてあおり運転をしている」と感じてしまうわけです。
その結果、前のクルマがわざと急ブレーキを踏んだり、嫌がらせのようにゆっくりと走ったりといった行動をしたりすることもあります。
そこで自分の車間距離が近すぎて前を走るクルマを刺激してしまったと気がつけば、それ以上のトラブルは回避することも可能です。
しかし、普段から自分の車間距離が近すぎるという意識のない人は、前のクルマの不可解な行動が理解できずに、そのまま走り続けてさらに大きなトラブルに発展することもあります。
ちなみに、車間距離を詰めて走るのは、車間距離保持義務違反という立派な違反になります。
一般道の場合で、普通車だと違反点数1点、反則金6000円の罰則になります。
高速道路だと、違反点数2点、反則金9000円が科されます。
コミュニケーション不足があおり運転を誘発することもあります
クルマを運転していると、道を譲ったり譲られたりということは頻繁にあります。
また、本線が渋滞しているときに、わき道から出てきたクルマを入れてあげたりすることもよくあります。
そういったときに、譲られた方は軽く会釈をするなり、手をあげてお礼のジェスチャーをするのが常識です。
しかし、世の中には、人に道を譲られてもまったくお礼のジェスチャーができない人がいます。
道を譲ってもらって当然と思っているのか、ただ単にお礼をするのが恥ずかしいだけなのかは分かりませんが、こういった行為も道を譲ってくれたドライバーを刺激してしまう行為であるということがいえます。
ただ、こういったときにお礼のジェスチャーをするのがマナーだという認識のない人にとっては、自分が後ろのクルマを刺激してしまったという意識はまったくないのかも知れません。
後ろのクルマが怒って車間距離を詰めてきたりパッシングをしてきたりするのをみて、「自分は何もしていないのに、後ろのクルマが勝手にあおり運転をしてきた」と感じるのでしょう。
このように、あおり運転をされるということは、どこかに原因があってそれを誘発してしまっていることが多いものです。
もちろん、あおり運転をする側が悪いことは言うまでもありませんが、自分自身が他のドライバーを刺激するような「空気を読めない運転」をしていないかどうか、いま一度冷静に考えてみたいものですね。
文・山沢 達也
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