「猫バンバン」という言葉をご存知でしょうか?
これは、クルマのボンネットのなかに潜りこんでしまったネコに対して、文字通りボンネットを「バンバン」と叩いて人間の存在を知らせるという行為です。
冬になると、暖かいエンジンルームのなかに猫が潜り込んでしまうということがよく起こります。
そして、エンジンルーム内に猫がいることに気がつかずに、エンジンを始動させてしまい、ネコが犠牲になってしまうという痛々しい事故がときどき発生してしまうのです。
そこで、エンジンをかける前に、ネコをエンジンルームから追い出すために有効なのが「猫バンバン」ということになります。
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日産が特設サイトやSNS上で本格的に展開を始めた猫バンバンプロジェクト
エンジンルーム内に入り込んでしまった猫が被害に会あうことを防止するために、日産は2016年1月から特設サイトやSNSなどで本格的に「猫バンバンプロジェクト」展開しはじめました。
ドライバーのちょっとした思いやりによって、尊い猫の命が救えるということを、1人でも多くの人に知ってもらうために立ち上げたプロジェクトになります。
日産の猫バンバンプロジェクト特設サイト
この日産の猫バンバン特設サイトにいくと、50種類以上の「猫バンバンステッカー」をダウンロードすることができます。
こういったステッカーを無料で配布することによって、「猫バンバン」をなるべくたくさんの人に知ってもらおうという狙いがあるわけです。
猫バンバンした人の14%がクルマの周囲にネコを発見しています
日産の猫バンバンプロジェクトでは、約200人に対してアンケートを行っていますが、その中の14%が、実際に「猫バンバン」したときにクルマの周囲にネコがいたと回答しています。
14%というとかなりの確率です。
クルマの周囲には、常に猫がいるという認識を持った方がよさそうです。
実際にクルマの周囲にネコがいたと答えた14%の人のなかで、一番多かったネコの発見場所は車体の下です。
ネコは、クルマの下に潜り込んでいることが多いようです。
次に多かったのがタイヤの近くやタイヤの上で、なぜかネコはタイヤの周りが好きなようです。
そして、エンジンの熱によって暖かく感じる場所であるボンネットの上やエンジンルームがそのあとに続くことになります。
これらの場所のうち、エンジンルーム以外の場所であれば、ドアを閉めたりエンジンをかけたりすることで猫が逃げ出ししまうことも多く、致命的なことになる可能性はそれほど高くありません。
しかし、エンジンルームとなると、話は別です。
エンジンルーム内には、いくつものプーリーやベルトなどがあり、エンジンを始動させると同時にそれらが回転することになります。
それらのベルトやプーリーのどれかに挟まれてしまったら、ネコの命などひとたまりもありません。
ネコというのは、あたたかくて狭い空間を好む性質がありますから、エンジンルームの奥のそういった危険なところにも簡単に入り込んでしまいます。
猫バンバンでさらに奥までネコが入り込んでしまうケースもあります
ネコがエンジンルーム内から出て行くことを促す「猫バンバン」ですが、ネコによっては、ボンネットをバンバンと叩く音におびえて、さらに奥の方まで潜り込んでしまうケースもあるようです。
そのため、より確実にエンジンルーム内にネコがいないかどうかを確認するためには、実際にボンネットを開けて目視をするのが有効といいます。
しかし、そうはいっても、クルマのエンジンをかけるたびに、ボンネットを開けてみるというのは現実的ではありません。
そこで、ネコが一番ボンネット内に入り込みやすいタイミングに絞って、目視確認をするという方法にすると、だいぶ手間は減らせます。
ネコが一番ボンネットに入り込みやすいタイミングというのは、クルマのエンジンを切って、まだボンネット内部が暖かくなっている状態のときです。
寒い冬場に屋外にいるネコにとっては、暖かいエンジンルーム内というのはまさに天国ですから、入り込んでしまう可能性が高くなるわけです。
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猫はどうやってエンジンルームのなかに入り込むのでしょか?
あまりクルマに詳しくない人のなかには、ボンネットを閉めているのに、なぜ猫がエンジンルームのなかに入り込んでしまうのか不思議に思う人もいるかも知れません。
確かに、外観的にはボンネット周辺にネコが入り込むことができるような大きな穴などは見当たりません。
しかし、エンジンルームというのは、普段目につくところはしっかりと目隠しされていますが、実は底の部分は完全に開放状態になっているのです。
定期点検などのときに、リフトアップした自分のクルマの下側を覗いてみると分かりますが、エンジンルームの底にはいくらでも猫が入り込めそうなスペースがあることに気がつくと思います。
そのため、寒さに震える猫たちは、暖をもとめて暖かいエンジンルームのなかに車体の下側から侵入することになるのです。
ドアを強く閉めたりクラクションをならしたりしても同様の効果があります
自分の家においてあるクルマのエンジンをかけるときであれば、「猫バンバン」をすることに特に抵抗はないでしょう。
しかし、外出先など人目のあるところでボンネットをバンバン叩くというのは、どうしても抵抗があるという人もいるに違いありません。
そういったときには、クルマに乗り込んだあとドアを強く閉めなおすことでも「猫バンバン」と同様の効果があるといわれています。
「バン!」とドアを強く閉める音に驚いて、ネコが逃げ出すことも多いのです。
また、エンジンをかける前にクラクションを鳴らすことも、「猫バンバン」と同じ効果があるようです。
猫を驚かせるという意味では、ボンネットを叩いたり、ドアを強く閉めたりするのと同様の効果が期待できます。
しかし、この方法は時と場所によっては周囲の人に迷惑をかけてしまう可能性がありますので、深夜や早朝などは慎重に行う必要がありそうです。
猫バンバンが面倒な人のためのネコを寄せ付けない超音波発生器
猫の命を救うためとはいえ、クルマのエンジンをかけるたびに、毎回「猫バンバン」するのは面倒だという人も少なくないでしょう。
そういった人におススメなのが、クルマにネコを寄せ付けないための超音波発生器です。
この装置にはセンサーがついており、ネコが近づいてセンサーが感知すると、ネコの嫌いな音域の超音波を発生させる仕組みになっています。
実際に使ってみた人の話だと、思った以上に効果があるようで、この装置をクルマの近くに置いておくだけで、ネコがまったく近づかないようになるそうです。
猫よけの超音波発生器は、カーショップや通販などで簡単に購入できます。
値段的には5000円~1万円程度になりますが、尊い猫の命を守るためと考えれば、決して高い出費ではないと思います。
ただし、この超音波発生器も、最初は効果があっても、そのうちネコが慣れてしまうと効果が薄れてしまうこともあるようなので、購入にあたってはそういった点も頭にいれておくといいでしょう。
猫バンバンの代わりにネコよけ剤を散布する方法もあります
ネコの嫌いなハーブ系のニオイがする粉末状の「猫よけ剤」が売られています。
これを、普段クルマを駐車している周囲に散布しておくことで、クルマにネコを寄せ付けない効果が期待できます。
ただし、散布をしても時間とともに効果が薄れてきますので、定期的に散布をしないとまたネコが寄ってきてしまいます。
ネコよけ剤は決して高価なものではありませんが、これをずっと使い続けることになると、それなりのコストがかかることになります。
クルマのエンジンをかけるたびに、ボンネットをバンバン叩いたり、ボンネットを開けてみたりすることがどうしても面倒だと思う人は、こうしたネコよけ剤の使用を検討してみるのもいいかもしれません。
文・山沢 達也
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