最近のクルマには、本当に至れり尽くせりともいえる、さまざまな装備が装着されています。
確かに便利な装備もあれば、「本当にこれ必要なの?」と思えるような装備もあります。
人によっては、せっかくついていてもクルマを購入してから10年間、一度も使ったことがない装備もあるに違いありません。
使わない装備であればむしろない方がクルマのコストは下がりますし、軽量化できるので動力性能や燃費にとっては好都合です。
ここでは、「この装備って本当に必要なの?」と思えるような装備について考えてみたいと思います。
ATなのにシフトチェンジしたい人のためのパドルシフト
AT車というのは、文字通りオートマチックなクルマですから、シフトチェンジをすることなく走ることができるのが特徴です。
しかし、クルマ好きの人にとっては、あまりにもクルマがオートマチックに走ってしまうと運転がつまらないと感じてしまったりするようです。
そこで、わざわざパドルシフトなるものを取り付けて、AT車であるにもかかわらずマニュアルでも変速できるようにしているわけです。
ハンドルの脇にあるレバーを操作することで、自在に変速できるのが特徴です。
しかし、実際にはこのパドルシフトなるもの、ついていてもほとんど使った記憶がないという人も多いのではないでしょうか?
一部の走り屋などが峠道を走る際には便利な装備なのかもしれませんが、多くのドライバーは必要ないと感じているはずです。
そもそも自在にシフトチェンジできないと運転がつまらないというのであれば、何もパドルシフト付きのAT車など購入せずに、最初からマニュアル車を購入すればいいわけです。
多くの人が使わない装備のためにコストをかけるというのは、無駄であるといえます。
確かに、長い下り坂などでは、エンジンブレーキを効かせるためにパドルシフトを使ってシフトダウンをするのは有効かも知れません。
しかし、峠の多い地域に住んでいる人以外には、そういったところを日常的に走るということはまずありません。
また、最近のATは性能がよくなっているので、Dレンジのままでも自動でシフトダウンしてエンジンブレーキがある程度は効くようになっています。
運転席のポジションを記憶させるメモリー付きパワーシート
クルマを運転するときのシートポジションは、ドライバーによって異なります。
そのため、初めて乗る車の場合には、シートポジションを修正する必要があります。
自分だけしか乗らないクルマであれば、一度シートポジションをセットすれば、あとはシートの設定をするということはありません。
ところが、複数の人が利用するクルマの場合、他の人が使うたびに自分のシートポジションを再設定しなければならなくなるので、けっこう面倒です。
そこで、自分専用のシートポジションを記憶させておくことができるのが、「メモリー付きパワーシート」ということになります。
他の人が乗ったあとでも、ボタンを押すことであらかじめ設定してある自分専用のポジションに自動で移動してくれます。
確かに、複数の人でクルマを使いまわしをするときには便利であるに違いありません。
しかし、クルマが生活必需品ともいえる地方にいくと、クルマは1人に1台というのがあたり前です。
1台のクルマを複数の人が使いまわしをするということがなければ、メモリー付きパワーシートなどというものは無用の長物ということになるわけです。
それどころか、自分しか乗らないクルマであれば、メモリーなしのパワーシートだって必要ありません。
最初に乗ったときのみポジション設定が必要になるわけですから、その1回の設定のためにわざわざモーターを使ってシートを動かしても意味がありません。
自分の足や背中を使ってシートを動かせば十分です。
シートの周りにモーターを何台も取り付けるパワーシートは、いたずらにクルマの重量を重くするだけです。
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「よけいなお世話?」カーナビに搭載されている運転診断機能
最近のカーナビは本当によくしゃべります。
エンジンをかけるたびに、今日は何の日かを教えてくれたり、家に帰ると「運転お疲れさまでした」と労をねぎらってくれたりします。
その程度のおしゃべりであれば別に気にもならないのですが、最近のカーナビには運転診断機能なるものがついていることが多くなっているようです。
ちょっとアクセルを強めに踏むと「急加速です。もっと丁寧に運転しましょう」とか、制限速度を少しでもオーバーすると「ゆっくり走りましょう」などと話しかけてきます。
しかし、このナビのアドバイス通りに運転していたら、初心者マークをつけたビギナードライバーと同じ運転になってしまいます。
うまく交通の流れに乗れなくて渋滞をまねく可能性すらあります。
ベテランドライバーなら、思わず「うるせー!大きなお世話だ!」といいたくなるような、おせっかいな機能ということが言えそうです。
シートヒーターをつけるとポカポカして眠くなる?
クルマのシートにヒーターが装備されているものがあります。
特に革張りのシートだと、座るときにひんやりと冷たさを感じますので、ヒーターがあると快適かもしれません。
冬場にクルマに乗り込むと、エンジンが暖まって暖房が効いてくるまでの間は、しばらく寒い思いをします。
ところが、ヒーターであれば直接シートを温めることができますので、暖房よりも早く暖かくなるというメリットがあります。
そのため、寒冷地などではシートヒーターは重宝する装備といえるかも知れません。
ただし、ヒーターというのは思った以上にバッテリーに負担がかかりますので、ある程度エンジンが暖まってきて車内が暖かくなればOFFにするのが正解だと思います。
また、ずっとシートヒーターをつけたまま走っていると、背中がポカポカしてきて眠気が襲ってくるという人も少なくないようです。
シートヒーターは、決して無駄な装備だとは思いませんが、寒冷地以外の人であれば特に必要性を感じないという人も多いのではないかと思います。
市街地しか走らない人にフォグランプは必要か?
フォグランプが標準で装備されているクルマも少なくありません。
フォグランプというのは、文字通り霧が発生したときに使用するランプということになるのですが、山間部などの霧の発生が多い地域以外では、それほど必要性は感じないのではないでしょうか?
しかし、装備されているフォグランプを点灯させないともったいないと考えるのか、まったく霧などの発生していない都会のど真ん中でフォグランプを点灯して走っているクルマも少なくありません。
そもそもフォグランプというのは、視界が悪い霧のなかで自分のクルマの存在を対向車などに知らせるためのもので、路上を照らす目的のランプではありません。
ですから、視界のクリアな都会のど真ん中でフォグランプをつけて走行しても、まったく意味はないことになります。
レジャーで山間部に行くことが多いRV車など以外には、あえてフォグランプはなくてもいいような気がします。
自動でライトが点灯するオートライト機能は本当に必要か?
あたりが暗くなると勝手にライトが点灯するオートライト機能が装備されているクルマも多くなっています。
しかし、クルマにわざわざライトを点灯してもらわなくても、自分でハンドルの横のスイッチをちょっとひねれば点灯します。
あたりが暗くなってきたら、スイッチを回せばいいだけです。
それなのに、なぜオートライトなどというものが装備されているのでしょうか?
確かに、市街地になどを走っていると、夜間であっても周囲が明るいためにライトを点灯し忘れることはあります。
また、トンネル内を走行するときにはライトを点灯して走行するのが一般的ですが、これもうっかりしてしまう人もいるようです。
つまり、うっかりしやすいタイプの人には、オートライトは便利な機能なのかも知れません。
しかし、そういったタイプの人以外であれば、特に必要性を感じないという人も多いのではないでしょうか。
オートにしておくと、短いスパンのトンネルが続くときなどは、ライトが点灯したり消灯したりを繰り返して煩わしく感じることもあります。
また、最近のクルマはライトのスイッチを切り忘れてもバッテリーが上がることがなくなりましが、かつては何度もライトの切り忘れでバッテリーを上げてしまって苦い思いをした経験のある人は多いと思います。
そういった経験のある人にとっては、クルマをおりるときに確実に手動でライトのスイッチを切らないと、なんとなく不安になってしまうに違いありません。
結局、オートライトも、あってもなくてもどちらでもいい装備ということが言えそうです。
文・山沢 達也
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