クルマを少しでも高く売りたいのであれば、ディーラーの下取り価格だけで判断してはいけないとよく言われます。
買取り専門店などの査定額と比較することで、高く売れる可能性が高くなるからです。
しかし、比較をするお店は、必ずしも買取り専門店である必要はありません。
クルマを買取りしてくれるお店であれば、複数の店舗を競合させることで買取り価格は確実にアップするものです。
実際に、ディーラーの下取り価格だけで比較した場合でも、複数のお店をまわることで大きな差が生じることがあります。
ここでは、実際に何店舗かのディーラーを競合させた結果、下取り価格に24万円もの差が生じた事例を紹介してみたいと思います。
5年落ちで走行距離少なめのプリウスの下取り価格を比較
今回の事例で紹介するクルマは、5年落ちのプリウスで、グレードはSのLEDセレクションです。
走行距離も2万3000kmと5年落ちとしてはかなり少なめで、きれいな状態のプリウスですから、買取り専門店を競合させれば100万円以上で売れる可能性があります。
今回の事例では、ディーラー同士で競争をさせたあと、最終的には買取り専門店に売却をしていますが、ディーラー同士の競争だけでも十分に下取り額に差がつくということがお分かりになるかと思います。
最近では、プリウスの中古車の在庫がだぶついているために、下取り価格が下落傾向にあるといわれていますが、実際にはどうなったのでしょうか?
トヨタC-HRの購入を前提に訪問したディーラー下取り額
最初のお店は、トヨタのC-HRの購入を前提に訪問したトヨタディーラーA店です。
ここでの提示額は、C-HRの値引きが付属品を含めて13万円、プリウスの下取り額が66万円というものでした。
C-HRの値引きも付属品を含めて13万円というのはかなり渋めですし、プリウスの下取り額66万円というのは、5年落ちで走行距離が少なめということを考えるとありえないほどの低さです。
さすがにこれでは即決というわけにも行きませんので、次のお店をまわることになります。
別のトヨタディーラーを次々に回った結果
C-HRの値引き13万円もプリウスの下取り66万円もお話しにならないということで、別のトヨタ系ディーラーを続けて3店舗まわることになりました。
その結果は、トヨタディーラーB店が値引き8万円で下取り60万円、トヨタディーラーC店が値引き13万円で下取り70万円、トヨタディーラーD店が値引き15.4万円で下取り70万円、ということになりました。
全体的にはC-HRの値引きが8万円~15.4万円、プリウスの値引きが60万円~70万円といった感じです。
C-HRの値引きも付属品込みであれば18万円程度は狙いたいところですし、プリウスの下取り額も買取り専門店の相場とくらべるとかなり低い印象です。
ホンダヴェゼルの購入を前提に再びディーラーをまわる
C-HRの購入を前提にトヨタ系のディーラー4店舗をまわった結果、満足の得られる提示がなかったので、こんどはホンダヴェゼルの購入を前提に、ホンダ系のディーラーをまわることにしました。
最初にまわったホンダディーラーA店では、本体価格からの値引きが10万円で、付属品からの値引きが10万円分のクーポン券、プリウスの下取り価格が70万円という結果になりました。
2店舗目のホンダディーラーB店は、なんと本体値引きなしで付属品からの値引きとしてクーポン券10万円分のみ、下取り額も60万円とかなり激辛な結果になりました。
ヴェゼルは、ライバルが少なかった時代には強気のセールスをしているお店も多かったのですが、CX-3やC-HRといったライバルが登場した現在において、本体値引きゼロはあり得ない話です。
もちろん、プリウスの下取り価格60万円というのもお話しにならないレベルです。
想像以上に中古プリウスの値崩れが激しいのかも知れませんが、5年落ちで走行距離が2万3000kmのプリウスの査定が60万円は厳しすぎです。
3店舗目となるホンダディーラーC店では、本体値引きが5万円で付属品値引きとしてクーポン券10万円、プリウスの下取りが65万円という結果になりました。
結局、トヨタ系ディーラー4店舗、ホンダ系ディーラー3店舗をまわった結果、程度のいいプリウスの下取り額が70万円を超えることはなかったわけです。
しかし、帰宅したあとにホンダディーラーA店から電話があり、プリウスの下取り価格を70万円から78万円にアップしますとのことでした。
まだまだ満足できる金額ではありませんが、なんとか80万円に近づいた感じです。
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その後の電話の交渉で値引きや下取り額がアップ
お店との値段交渉も、1回目の訪問でいきなりベストプライスを引き出すというのは難しいものです。
しかし、その後になんどか交渉を進めるうちに、値引き額や下取り額がアップすることも少なくありません。
最初に訪問したトヨタディーラーA店に電話で再度交渉した結果、値引き額はそのままで、下取り額のみ4万円アップの70万円とのことでした。
2番目に訪問したトヨタディーラーB店は、電話交渉の結果、値引き額が8万円から14万円にアップし、プリウスの下取り額も66万円から75万円にアップしました。
最初の提示にくらべて、値引きと下取りを合わせると21万円も条件を緩めてきたわけですが、もともと渋めの提示だったのでそれほどのインパクトはありません。
3番目のトヨタディーラーC店では、最初の提示額と変わらないとのことでした。
4番目のトヨタディーラーD店では、C-HRの値引きが15.4万円から20.8万円にアップし、下取り額は70万円から72万円となりました。
買換えの場合は、新車の値引き額との兼ね合いがあるので単純には判断できませんが、状態のいいプリウスの下取り価格がなかなか80万円を超えないのは気になるところです。
ホンダ系ディーラーとの電話交渉の結果下取り額が84万円に
ホンダ系のディーラー3店舗にも、トヨタ系と同様に電話で再交渉をしたところ、以下のような結果となりました。
ホンダ系ディーラーA店は、本体値引きが10万円だったのが12万円にアップし、クーポン値引き10万円は変わらず、プリウスの下取り額が最初の70万円から最終的に84万円にアップしました。
下取り金額としては、このホンダディーラーA店の84万円が最高額になります。
ホンダ系ディーラーB店は、本体値引きゼロ円だったのが5万円にアップになり、下取り額も60万円から75万円にアップしました。
ホンダ系ディーラーC店は、他店との競合はこれ以上無理ということで白旗をあげてしまいました。
最終的には買取り専門店に売却することになりました
その後、トヨタディーラーD店と最後の詰めの交渉をした結果、最終的に付属品を含めた値引きのトータル金額が28.4万円にまでなり、プリウスの下取り額も80万円にまでなりました。
このトヨタディーラーD店は、最初の訪問のときの値引きが15.4万円で、下取り額が70万円でしたから、最終的に値引きと下取り額のトータルで23万円も上乗せになったわけです。
ちなみに、最初の訪問のときに一番渋かったのがトヨタディーラーB店で、値引き8万円で下取り60万円でした。
もし、他の店舗と比較したり電話で交渉したりということをしないで、このトヨタディーラーB店でいわれるままに購入してしまっていたら、40.8万円も損をしてしまったことになります。
逆に、いろいろな店舗をまわって交渉をしたからこそ、その報酬として40.8万円を得たというふうに考えることもできます。
結局この方は、このトヨタディーラーD店ではC-HRを購入するのみで、下取りには出しませんでした。
買取り専門店をいくつか回ったところ査定額が95万円になったので、そちらに売却したようです。
もともと40.8万円もお得だったところに、さらに15万円も上乗せになったわけです。
他店と比較をしないで契約をしてしまうのはもったいない
クルマを購入する際に、他の店舗と比較することなく、値引きも下取りもディーラーの言い値で契約してしまうという人も少なくないでしょう。
しかし、今回の事例を見る限りにおいては、それがいかにもったいない話であるかということがお分かりになったかと思います。
クルマの売買というのは、交渉がうまいか下手かというだけで、今回の事例のように55.8万円もの差がでてしまうわけです。
たしかに何店舗もまわって交渉をするのは大変ですが、仕事をして55.8万円を稼ぐよりはずっと楽なはずです。
また、単純に下取り車の金額だけをみても、一番低い金額を提示したディーラーは60万円でしたから、ディーラー同士の交渉で引き出した84万円という金額とくらべると24万円もの差になるわけです。
ディーラー同士の交渉だけでも、下取り価格にこれだけの差が生じるのです。
最終的には、買取り専門店に持ち込んだことで、最安のディーラーとの査定額の差が35万円にまで開く結果になってしまいました。
このように、クルマを少しでも高く売るためには、面倒くさがらずにたくさんの店舗と交渉することがとても重要だということがお分かりになったかと思います。