渋滞の日本記録は名神高速で発生した154kmです~渋滞解消まで24時間

高速道路の渋滞年末年始やゴールデンウィーク、お盆などに高速道路に乗ると、渋滞にはまることを覚悟しておかなくてはなりません。

そういった時期に高速が混むことは承知のうえで高速に乗っていますから、10kmや20km程度の渋滞であればなんとか耐えられるかも知れません。

出発時間も、渋滞を見込んで早めに出かけるようにする人がほとんどだと思います。
一番困るのは、予期せぬ渋滞にはまったときです。

目的地に到着する時間が確実に遅くなりますし、心構えができていないために、たとえ10kmの渋滞でもかなりストレスがたまるに違いありません。

高速道路における渋滞の日本記録は、1995年12月27日に名神高速で起こった154kmです。

時期的に年末ではありますが、平日(水曜日)ですので帰省ラッシュによる渋滞ということではありません。

いったい何が原因だったのでしょうか?

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ゲリラ豪雪による高速道路が通行止めになったのが原因

1995年12月27日に名神高速で起きた渋滞は、滋賀県の秦荘(現在は湖東三山)PAから愛知県の赤塚PAまでの154kmにわたる大渋滞となりました。

後にも先にも例のない、渋滞の日本記録となってしまったわけです。

渋滞の原因は帰省ラッシュによるものでも交通事故よるものもなく、突然のゲリラ豪雪によって高速道路が通行止めとなってしまったことによるものです。

このときのゲリラ豪雪では、高速道路だけではなく下道もほとんどクルマが動かない状態になってしまいました。

お腹を空かせたドライバーがコンビニに一斉にかけこんだため、店内の食品がほとんど売り切れ状態になってしまったようです。

結局、この記録的な大渋滞が解消されたのは、24時間後だったそうです。

24時間というと、食事もさることながら、一番困ったのはトイレだと思います。

男性であれば道端で立ちションできますが、女性の方は本当に困ったに違いありません。

ゴールデンウィークや帰省ラッシュのときのように渋滞が予想できる場合には、簡易トイレなどを持参することも可能ですが、ゲリラ豪雪による突然の大渋滞となれば、何の準備も心構えも出来ていなかったに違いありません。

第2位以降の大渋滞も名神高速道路が絡んでいます

渋滞の日本記録は1995年に名神高速で起きたものですが、実は第2位、第3位の渋滞も名神高速が絡んでいます。

歴代第2位の渋滞は、1990年8月12日に中国自動車道の山崎インター(兵庫県)から名神高速道の瀬田西インター(滋賀県)にかけて発生したもので、135kmの大渋滞となりました。

渋滞が起こったのは夏なので、豪雪が原因でないことはあきらかです。

8月12日という日付からも分かりますように、お盆の帰省ラッシュが引き起こした自然渋滞と考えられます。

歴代第3位の大渋滞は、1995年8月11日に名神高速道の竜王インター(滋賀県)から中国自動車道の福崎インター(兵庫県)にかけて129kmにわたって発生しました。

こちらも、8月11日という日付から想像できる通り、お盆の帰省ラッシュが原因になっていると思われます。

このように名神高速というのは、大渋滞が発生しやすい高速道路であるということがいえそうですが、なんらかの理由があるのでしょうか?

名神高速道路は、日本で最初に作られた高速道路です。

当時は、現在にくらべて土木技術が未熟だったために、近年作られた高速道路とくらべると坂が非常に多いという特徴があります。

その結果、いたるところに「ザク部」が生じることになって、交通量が増えることで渋滞を引き起こしてしまうのかも知れません。

「ザク部」が渋滞を引き起こす理由は以下の記事をご覧になってください。

高速道路で自然渋滞が起こる意外な原因とは?~渋滞を引き起こす「ザク部」の存在
    

海外ではもっとすごい渋滞も起こっています

海外道路の渋滞日本という国は、世界的に見ると人口密度が高いために、どうしても渋滞が発生しやすいのですが、海外でも驚くような大渋滞が実際に発生しています。

2010年8月に、北京とチベットを結ぶ高速道路で発生した大渋滞は、距離的には100kmほどでしたが、驚きなのは渋滞が解消するまでの時間で、なんと12日間もかかってしまったようです。

大型トラックが一斉に北京に向かったことが大渋滞の原因といわれていますが、なぜ渋滞の解消に12日間もかかってしまったのかは謎です。

クルマの中で身動きできなくなってしまった人のために、水を市価の10倍で販売したり、カップラーメンを市価の4倍で販売したりする商人もあらわれたようです。

いかにも商魂たくましい中国人らしいエピソードですね。

距離的に驚きの大渋滞が起こったのは、ブラジルのサンパウロで、2009年に市内全域にわたって300kmの大渋滞が発生しました。

サンパウロは、世界で最も渋滞がひどい都市といわれており、慢性的に渋滞が起こっています。

24時間ひたすら迂回ルートの情報を流し続ける専用のラジオ局まであるそうです。

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プロのドライバーが下道におりた方が早いと判断するタイミング

わざわざ高速代金を支払っているにもかかわらず、渋滞に巻き込まれて目的地に到着するのが大幅に遅れてしまうというのは、なんとも複雑な心境になる人も少なくないでしょう。

特急電車の場合には、目的地に到着する時間が2時間以上遅れると特急代金を払い戻してもらえますが、高速道路の場合にはどれだけ到着時間が遅くなっても払い戻しはありません。

渋滞の状況によっては、高速をおりて下道を走った方が早く目的につくこともありますから、高速代を払ってなおかつ下道よりも目的地に着く時間が遅くなったりすると、まさに踏んだり蹴ったりということになります。

高速バスやトラックが渋滞にはまると、高速をおりて下道を走ることがありますが、プロのドライバーはどういった基準で下道の方が早いと判断するのでしょうか?

彼らは、無線などで同業者同士のネットワークを作っていたりますので、そういったリアルな情報をもとに判断することも多いようですが、道路の込み具合で判断をすることもあるようです。

どういった判断かといいますと、「キロ5分以上なら下道におりる」というものです。

つまり、1km進むのに5分以上かかるような状態になってしまうと、大渋滞にはまる恐れがあるので、下道におりてしまうということです。

まさに、日常的に渋滞を経験しているプロのドライバーならではの判断なのでしょう。

時速40kmで流れていても渋滞です~そもそも渋滞の定義とは?

車の渋滞する高速道路渋滞というと、ノロノロ運転かクルマがまったく動かなくなってしまった状態をイメージする人が多いと思います。

しかし、警視庁が出している渋滞の定義では、一般道で時速20km以下、高速道路で時速40km以下のスピードになった状態をさします。

時速40kmというとかなかなのスピードですから、渋滞というイメージには程遠い感じがしますが、定義ではそうなっているわけです。

ですから100kmにわたる大渋滞であっても、時速40kmのスピードで走り続けることができれば、2時間半余りで渋滞区間を抜けることができるわけです。

よく、交通情報の掲示板に渋滞10kmとか20kmなどという表示が出たりします。

そういった表示を見ると絶望的な気持ちになる人もいると思いますが、気がついてみると思った以上に早く渋滞区間を抜けてしまったりすることがあるものです。

しかし、それは交通情報が間違っていたわけでも何でもなく、ある程度のスピードでクルマが流れている状態の渋滞だったということになります。

もし、時速40kmでクルマが流れていれば、10kmの渋滞であっても15分で抜けることができるわけです。

逆に、時速5kmのノロノロ運転だった場合には、10kmの渋滞区間を抜けるのに2時間もかかってしまいます。

ですから、交通情報の掲示板に表示された渋滞情報をみて、目的地に着く時間を単純に判断することは困難であるということがいえます。

プロのトラックドライバーのように、1km進むのに5分以上かかるような状態(時速12km以下)になったら、下道におりてしまうというような判断が賢いのかも知れません。

文・山沢 達也

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