公道上で右左折をするときや、車線変更をするときには方向指示器、つまりウインカーをださなければならない決まりになっています。
このことは、運転免許証を所有している人であれば、知らない人はいないと思います。
しかし、なぜか最近はウインカーを出さずに右左折をしたり車線変更をしたりする人が多いようなのです。
右左折時や車線変更時にウインカーで合図をすることが道路交通法で定められているということは、そこには危険を回避するために必要だという明確な理由がるわけです。
そもそも、なぜウインカーを出さないと危険なのでしょうか?
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ウインカーを出さない地域ナンバーワンになった岡山県
JAFが2016年6月にあるアンケートを行いました。
そのアンケートで「ウインカーを出さずに右左折や車線変更をするクルマをよく見るか?」という質問に対して、「はい」と答えた人の割合を集計したところ、都道府県別で岡山県が1位になりました。
岡山県では「はい」と答えた人の割合が53.2%となっており、半分以上の人がそう感じているわけです。
ちなみに、2位が香川県で51%、3位が沖縄県で46.2%、4位が鳥取県で40.3%、5位が徳島県で39.6%となっています。
それに対して「はい」と答えた人の割合が低い方で見ると、1位が東京都で21.1%、2位が神奈川県で21.4%、3位が埼玉県で22.9%となっています。
つまり、首都圏では右左折時や車線変更時にウインカーを出さない人の割合は低く、地方にいくと高くなる傾向があるといえそうです。
ちなみに、交通マナーが悪いと噂されることの多い大阪府は、35.9%で多い方から7位となっています。
ウインカーを出さない県ナンバーワンという不名誉な結果になった岡山県では、道路に「☆合図」とペイントされている交差点を見かけることがあります。
行政の方でも、それだけウインカーを出さない人が多いということを認識しているのでしょう。
右左折をするときのウインカーは30m手前から
右折や左折をする場合には、30メートル手前からウインカーを出さなければならないということが、道路交通法施行令第21条に書かれています。
これを怠ると「合図不履行違反」ということになり、反則点数1点の減点と反則金6,000円(普通車の場合)のペナルティを受けることになります。
30m手前といっても、目測でその距離を正確に把握できる人はいませんから、だいたいの目安で判断するしかありません。
ウインカーを出したタイミングが左折をする25m手前からだったからと言う理由で、実際に反則切符を切られたという話はまず聞きません。
距離はともかく、とりあえずウインカーを出していれば、違反に問われることは稀なようです。
しかし、右左折の直前にウインカーを出されると、後続車のドライバーは意表をつかれてドキッとすることが多いようです。
たまたま車間距離を詰めていたりすると、追突の危険すらあります。
右左折のための合図はどのタイミングでするのがベストか?
右左折のためのウインカーはなるべく早めに出すに越したことはないのですが、あまり手前から出すというのも意味がありません。
目安としては、右左折のためにブレーキングをする直前にウインカーを出すというのが、後続車にやさしい合図の方法といえます。
ブレーキングをする前に、右左折の意思表示をすることによって、先行車がこれから減速をするということを後続車に事前に知らせるわけです。
そうすれば、後続車が突然のブレーキングに意表をつかれてドキッとするようなこともないわけです。
ウインカーを出すタイミングが遅い人というのは、自分がブレーキングをすることによって後続車がどういう反応をするかということが読めない「運転の下手な人」ということになります。
もちろん、ウインカーをまったく出さずに右左折をすることが言語道断であることは、言うまでもありません。
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右左折時のウインカーを出さないとなぜ非常に危険なのか
右折車線のある道路でこれから右折をしようとする場合、仮にウインカーを出さなかったとしても(もちろん絶対にやってはいけません)、他のクルマや歩行者はそのクルマがこれから右折をするであろうことは容易に想像がつきます。
しかし、左折の場合にはそうはいきません。
左折専用車線がある道路というのは非常に少ないので、多くの場合は直進車線からいきなり左折をすることになります。
そのため、ウインカーを出さずに左折をするということは、その周囲の車両や歩行者にとっては想定外の動きになるわけです。
たとえば、道路の端を走っているバイクなどが、まさか左折をするとは思わずに左側から追い抜こうとするかも知れません。
もちろん、左側から追い抜くという行為はやってはいけないのですが、実際にそういうことも起こり得るということを想定したうえで、ウインカーを出す必要があるわけです。
また、片側1車線で右折車線のない道路の場合には、右折の場合でも同様の危険が生じます。
前のクルマが急にブレーキングをして減速をしたために、後続車が右から追い越しをしようとしたら突然ウインカーも出さずに先行車が右折を開始したりするケースです。
右折をする先行車は、対向車にばかり気を取られていますし、まさか後ろのクルマが後方から対向車線を走ってくるなどとは思ってもいないわけです。
しっかり、ウインカーで合図を出して、後続車に右折をするという意思表示をブレーキングする前にしていれば、このようは危険な場面は生じないわけです。
右折や左折時のウインカーというのは、対向車や歩行者だけではなく、後続車に対しても自分の車がこれからどういう動きをするかを知らせるための重要なシグナルであるといえるわけです。
車線変更するときにはどのタイミングで意思表示をする?
右左折をするときに、まったくウインカーを出さないというクルマはそれほど多くはないと思いますが、車線変更をするときにウインカーを出さないクルマはよく見かけます。
車線変更のときの合図方法も、右左折のときと同じように道路交通法施行令第21条に記載されています。
進路変更をする3秒前にウインカーを出さないと、反則点数1点の減点と反則金6,000円(普通車の場合)のペナルティを受けることになるわけです。
右左折の場合の30mというのはなんとなくイメージがつかみにくいと思いますが、車線変更時の3秒前というのは、だいぶイメージしやすいと思います。
ウインカーを出してから、ゆっくりと数を3つ数えたあとに車線変更をすればいいわけです。
そうすることで、後続車やこれから車線変更をしようとしている車線を走っている他のクルマに対して、自分のクルマがこれからどういう動きをするのかを事前に知らせることができるわけです。
人によっては、ほとんどセンターラインをまたぐ直前に車線変更の合図をしたりしますが、それではあきらかに遅すぎます。
合図のタイミングが遅れることによって、後続車を驚かせてしまうことになりますし、場合によっては「無理やり割り込まれた」と不快な気持ちにさせてしまうことにもなりかねません。
そのことが原因で、怒った後続車に煽られたりパッシングをされたりして、トラブルにつながる可能性もあるわけです。
もちろん、そういった感情的なトラブルだけではなく、実際に接触事故などを起こす可能性も高くなります。
車線変更をするときには必ず後方確認をしなければなりませんが、後続車がバックミラーの死角に入って消えてしまうことがあります。
そういった場合でも、早めに車線変更の意思表示をすることで、変更先の車線を走っている後続車がそれに気がついて、スペースをあけてくれたりクラクションを鳴らしてくれたりすることで、事故を回避できる可能性が高くなるわけです。
車線変更というのは、少なくとも片側2車線以上の幹線道路を走るときに行うものですから、そのような道路で直進するクルマはお互いにスピードが出ていることが少なくありません。
そういったお互いにスピードが出ている状況で接触が起これば、大事故につながりかねないことになります。
車線変更時は、必ず3秒前にウインカーで合図をすることを忘れないようにしましょう。
文・山沢 達也
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