足代わりに格安の中古車を探していると、ときどき驚くような安い値段のプライスカードをつけた展示車を見かけることがあると思います。
そういった車の乗り出し価格がどれくらいになるのか見積もりを作成してもらったら、想像以上に高くなってしまってビックリした経験をお持ちの方も少なくないでしょう。
中古車の展示場でプライスカードに書かれている価格というのは、いわゆる車両本体の価格であって、実際にはその金額に諸経費をプラスして、いわゆる「乗り出し価格」となるわけです。
中古車というのは、目先の表示価格に惑わされずに、実際にトータルでどれくらいの支払額になるのかをしっかりと把握してから購入をする必要があるのです。
ここでは、ビックリするくらい車両本体価格が安いクルマを取り上げて、実際の支払い総額がどれくらいになるのかについてみていきたいと思います。
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8年落ちのホンダフィットがたった8,000円!?
2009年式で2017年現在8年落ちとなるホンダフィットの1.3 G ハイウェイエディションが、車検があと1年も残っている状態にもかかわらず8,000円で売りに出されていたら、誰もが目を疑うでしょう。
しかもワンオーナーカーですから、決して流通ルートが不明な怪しいクルマではなく、修復歴もありません。
走行距離も9万2千kmですから、8年落ちとしては多少走っているイメージはありますが、過走行というレベルではありません。
いったいこのフィットがなぜ8千円ポッキリで売られているのでしょうか?
・諸経費が22万7千円というオチになっています
カンの良い方はすでにお気づきだと思いますが、実はこのフィットは、諸経費がかなり割高なのです。
車両本体価格が8,000円なのに対して、諸経費が22万7千円となっており、総支払額は23万5千円となります。
これはよく中古屋さんがやる手口で、車両本体価格を思いっきり安くすることで、お客の目にとまるようにしているわけです。
要するに8,000円というのは、「客寄せ」の価格だったわけです。
もちろん、車両本体価格を8,000円などというあり得ない金額に設定していますから、諸経費も実費だけを徴収したのでは販売店は赤字になってしまいます。
そこで、車両本体分を、諸経費の中に紛れこませるわけです。
中古車を購入するときの諸経費なんて、定価があるわけではありませんので、ある意味では業者の好きなように調整できてしまいます。
実際にこの車の場合、22万7千円という諸経費だけを見た場合、どう考えても高いとしか言いようがありません。
参考記事:中古車の店頭価格と乗り出し価格には大きな差があります
・この車の諸経費は高くてもせいぜい10万円が相場
諸経費が高めに設定されている中古車の多くは、車検切れになっていることが多く、納車のときに車検を取得する必要があるために、どうしても高くなってしまうわけです。
しかし、この車の場合は車検が1年以上も残っているのです。
つまり、納車にあたって車検を取得する必要はないわけですし、当然ながら重量税を支払う必要はありません。
また、自賠責保険料に関しても、仮に請求されたとしても車検が切れるときまでの月割り分です。
もし車検が1年残っていたとしても、負担すべき自賠責保険料はわずか15,520円のみです。
その他に諸経費として計上される項目としては、「自動車税」「整備費用」「登録代行手数料」「車庫証明取得代行費用」「納車費用」といったところがあります。
自動車税は、中古車を買うタイミングによって月割りで計算することになると思いますので一概には言えませんが、仮にまる1年分支払ったとしてもフィットの1300ccモデルの場合は、34,500円です。
整備費用は、業者が一番水増しをしやすい項目であり、実際にどこまで整備を行うのかにもよりますが、高額なパーツの交換などがなければせいぜい1万円~2万円で済むはずです。
登録代行手数料も、業者によって異なりますが、1万円~3万円程度が相場になります。
車庫証明取得代行手数料も業者によって多少の違いはありますが、こちらもせいぜい1万円~2万円程度が相場といえます。
納車費用は、自分でクルマを取りに行けば1円もかからないはずなので、ここはカットできることになります。
これらの項目にかかる費用を、やや高めで見積もって計算したとしても、せいぜい10万円程度で済んでしまうことになります。
そう考えると、この車の諸経費である22万7千円という金額には、少なくとも12万円以上の車両本体価格が紛れ込んでいるということになります。
これなら、あえてプライスカードに8,000円などというあり得ない金額を記載せずに、普通に車両本体価格15万5千円、諸経費8万円などとした方が良心的に感じると思うのですが、いかがでしょうか?
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トヨタbBの本体価格がたった980円?
ここまで露骨だと、もう笑うしかないのですが、トヨタbBの本体価格がなんと980円です。
年式的に古く、17年落ちとなりますので、本来であれば廃車にされてしまってもおかしくないクルマということになります。
走行距離は10万kmそこそこなので、まだまだ問題なく走らせることのできる車なのでしょう。
つまり「あえて買おうとは思わないけれども、タダならもらってあげてもいいかな」といったレベルの中古車といえます。
そのため、ほぼタダに近い980円という値段設定になっているのだと思いますが、実はこの車の諸経費を含めた乗り出し価格は18万5千円となっています。
諸経費だけだと、18万4,020円ということになります。
このトヨタbBも車検が残っている状態なので、諸経費の中に車検の取得費用や重量税などは含まれていないはずです。
そう考えると、先ほどのフィットと同様に、あきらかに諸経費は高いということになります。
ただし、このbBの場合には17年落ちという年式の古さがありますので、車両本体価格がほとんどタダみたいな演出をしないと売れないのでしょう。
つまり、諸経費のみで乗ることができますよ、というスタンスなのだと思います。
しかし、結局はその諸経費が相場にくらべてあきらかに高いわけで、おそらく車両本体分として10万円程度は上乗せされているはずです。
17年落ちのトヨタbBの車両本体価格が10万円ということになると、購入をためらってしまう人も多いでしょう。
そういったことを見据えての、980円という価格設定なのだと思います。
ワゴンRがたった1円で売られています
こちらは、スズキのワゴンRという軽自動車が、わずか1円で売られている事例になります。
年式は2004年となりますので、ちょうど13年落ちとなります。
走行距離は11万4千kmとなっていますので、年式相応といったとことです。
ここまで読んで来られた方は、プライスカードの価格がたとえ980円でも1円でも、結局は諸経費の中に車両本体分が計上されているわけだから、意味がないということをすでに理解されていると思います。
しかし、これまで紹介した2つの事例は、いずれも普通車でした。
それに対して、軽自動車であれば普通車にくらべて諸経費が安くなるはずなので、今回のワゴンRはちょっと期待できそうな気なします。
では、実際にはどうだったのでしょうか?
散々期待させておいたにもかかわらず、大変申し訳ないのですが、残念ながらこのワゴンRの諸経費はぜんぜん安くありませんでした。
支払い総額が18万8000円となっていますので、諸経費が18万7,999円ということになります。
このワゴンRも車検が残っていますので、法定費用は自賠責保険料の月割り分以外は一切かからないはずです。
しかも、軽自動車にかかる自動車税は、さきほどのフィットやbBにくらべて3分の1以下のとなる10,800円です。
中古車を購入する時期によって負担額が変わりますが、まるまる1年分とられたとしても、たかが知れています。
このワゴンRの諸経費を実費ベースで考えた場合、せいぜい6万円~7万円程度であると考えられます。
そうなりますと、この13年落ちワゴンRの実質的な車両本体価格は11万円~12万円となりそうです。
そう考えると、思ったほどの割安感はないことになります。
さすがにプライスカードに書かれた1円という金額を真に受ける人はいないと思いますが、中古車の表示価格にはこのようなカラクリがあるということは、覚えておいた方がいいでしょう。
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