車検はどこで受けようと、法的にはまったく問題ありません。
ディーラーであれ民間車検場であれ、法律で決められた56の検査項目さえパスできればいいことになります。
それどころか、ユーザー車検といって、自分で検査場にクルマを持ち込んで車検してもらうことも可能なのです。
一般にディーラーに車検をお願いすると料金が高いといわれることが多いようですが、それは本当なのでしょうか?
もし本当であるならば、あえて高いディーラーに車検に出すことのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
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実際にトヨタアクアをディーラーに車検に出した場合の料金
それでは、実際にトヨタのアクアをディーラー車検に出した場合の、料金をみていきましょう。
新車登録してから最初の車検で、交換するパーツなどはまったくないということを前提とします。
ディーラーといっても、実は店によって微妙に金額が変わってきたりしますので、実際にディーラーA店とB店で出されたアクアの車検の見積もりをみてみましょう。
・ディーラーにA店による車検の明細
まずディーラーA店で出してもらったアクアの車検見積もりを見てみましょう。
定期点検:22,600円、継続検査:7,560円、代行手数料:9,720円、合計39,880円となっています。
ここに書かれた定期点検というのは、いわゆる法定点検整備のことです。
クルマというのは、1年ごとに定期点検を受けることを義務付けられています。
12カ月点検などと言われますが、毎年26項目についての点検をする必要があるのです。
それに対して車検のときの法定点検は、24カ月点検などといわれ、チェックする項目も56項目に増えることになります。
24カ月点検は、たまたま車検のタイミングでやることになるので、車検の明細のなかに「定期点検」という項目で書いているのでしょう。
そして、そのあとに書かれた「継続検査」というのが、いわゆる車検のことになります。
車検の際には、最後に完成検査を受けますが、その費用ということになります。
そして「代行手数料」というのは、新しい車検証を交付してもらうための申請をあなたに代わって行うための費用ということになります。
この39,880円という金額をみて、ものすごく安いと感じた人も多いかも知れませんが、実はここには法定費用が含まれていません。
法定費用というのは、要するに自賠責保険料と重量税と印紙代になります。
アクアはエコカー対象になりますので重量税は15,000円、自賠責保険料は27,840円、印紙代1,100円となります。
これらの法的費用はどこで車検を受けても同じになります。
※印紙代のみ指定工場1,100円、認定工場1,800円の違いがあります。
先ほどのA店の点検費用にこれらの法定費用を合算すると、83,820円ということになります。
これが、ディーラーA店で車検をうけたときの支払い総額になります。
・ディーラーB店による車検見積もり
それでは、ディーラーB店でのアクアの車検費用を見てみましょう。
定期点検:23,760円、継続検査:8,640円、代行手数料:10,800円、合計43,200円となっています。
先ほどのA店の場合には、これらの3つの項目を合わせた金額が39,880円でしたから、こちらのB店の方が3,320円高いことになります。
法定費用に関しましては、同じ車種であればどこの店でも同じでので、先ほどのA店と同様に重量税は15,000円、自賠責保険料は27,840円、印紙代1,100円となります。
これらの費用をすべて合算しますと、ディーラーB店で車検を受けた場合のトータル支払額は87,140円ということになります。
これらの2つのディーラーの料金を比較してみた結果、新車登録から3年後にアクアの車検を受けた場合、支払い総額が8万5000円前後になるということが分かります。
もし修理や部品交換が必要な個所があれば、さらにこれに加算されることになります。
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格安車検で有名なコバックでの料金は?
ディーラーでアクアの車検を受けると、8万5000円前後になることが分かりましたが、今度は格安車検で有名なコバックでの料金を見ていきたいと思います。
コバックの場合、整備の内容によって「スーパークイック」「スーパーテクノ」「スーパーセーフティ」といった3つの車検メニューがありますが、ここではあくまでも車検を通すだけの費用を見たいので、あえて一番安い「スーパークイック」で見ていきます。
ディーラーの場合には定期点検、継続検査、代行手数料と3つの項目に分かれていましたが、コバックの場合は非常にシンプルで「車検料」という項目が1つあるだけです。
この車検料という項目に、すべての費用が含まるようです。
そして、「スーパークイック」の車検料は、小型車であるアクアの場合なんと9,500円のみとなっています。
この9,500円だけで法定点検56項目や完成検査、登録申請などを行ってくれるわけです。
法定費用に関してはディーラーで車検を受けた場合とまったく同じですから、重量税15,000円、自賠責保険料27,840円、印紙代1,100円となります。
これらを合算すると、53,440円となります。
これだけ安いと、少し不安になるかも知れませんが、問題なく車検を通すことができるようです。
なぜこれほど車検費用に差が出るのか
法定点検の費用を除いた純粋な車検代金でみてみますと、ディーラーA店が39,880円で、B店が43,200円。
それに対してコバックはたったの9,500円です。
同じアクアの車検を受けるのに、これだけの金額差が生じてしまうのです。
これらを単純に比較してしまうと、「ディーラーの車検というのはボッタクリじゃないの」と思う人も少なくないと思います。
実際にディーラーの車検はボッタクリなのかどうかを検証してみたいと思います。
・車検を通すだけならば30分もあれば十分です
実はユーザー車検制度というものがあるくらいですから、ただ車検を通すだけならば、極端に言えば素人でも出来てしまうわけです。
もし素人が行うことが困難であるならば、そもそもユーザー車検などと言う制度は存在しないことになります。
ユーザー車検の場合には、検査場の決められたコースを進んで行きながら、ランプをつけたりクラクションを鳴らしたりウインカーをつけたりということをするわけです。
サイドスリップ検査などというちょっと本格的な検査もありますが、これは装置の前の白線をギリギリに進んでいくだけでOKです。
このように、決められたとおりに検査コースをすすんでいくだけですから、慣れているひとであれば、30分もかからずに終了してしまいます。
実際に、コバックの「スーパークイック」も30分程度の時間で車検が完了してしまいます。
30分で終了するということを考えた場合、9,500円という料金は、むしろ妥当に思えてしまいますね。
・ディーラーが車検のときにやる整備
コバックの一番安いコースである「スーパークイック」の場合は、検査のラインを30分程度通過させるだけだということが分かりました。
それに対して、ディーラーの車検はどうなのでしょうか?
さすがにディーラーの場合には、検査ラインを通すだけということはありません。
タイヤをすべて外して、足回りまで確実に点検をします。
また、ディーラーで点検を受けることのメリットとしては、その車に詳しいスタッフが整備にあたるという点です。
特に、最近のクルマはハイブリッドカーに代表されるように、ハイテク化が進んでいます。
そういったコンピュータ制御の部分に関するプログラミングや記録データの分析までを、専門の電子診断機を使ってチェックできるのはディーラーならではといえそうです。
さらにおまけとして、ディーラーでは車検が終了したあとに最後にクルマをきれいに洗車してくれます。
また、必要であれば代車なども無料で手配をしてくれるでしょう。
これらのことを総合的に考えてみた場合、はたしてディーラーの車検費用はボッタクリと呼べるほど高額なのかどうかの判断は難しいと思います。
最終的には、その人の価値観によって決めることであり、予算なども考慮しながら自分の納得するところで車検を受けるようにすればいいでしょう。
文・山沢 達也
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