最近の日本車のサイズは本当に大きくなっています。
古くから営業しているお店などにいくと、駐車場の狭さを感じることも少なくありません。
しかし、それは駐車場が狭いというよりも、昔にくらべて車そのもののサイズが大きくなった結果、狭く感じるようになってしまったわけです。
実は、初代クラウンのサイズは、現在のカローラよりも小さかったのです。
王者クラウンのサイズが、代表的な大衆車である現代のカローラよりもコンパクトであったというのは意外に感じるかも知れませんが、かつての日本車は本当にコンパクトだったのです。
スポンサーリンク
初代クラウンと現在のカローラのサイズを比較
昔のクラウンよりも、いまのカローラの方が大きいといってもピンと来ない方も多いと思いますので、実際にスペックを比較してみましょう。
まず1955年に発売された初代クラウンですが、全長が4,285mm、全幅が1,680mm、全高が1,525mmです。
それに対して、現在売られているカローラアクシオのサイズは、全長が4,400mm、全幅が1,695mm、全高が1,460mmとなっています。
全高のみクラウンの方がありますが、全長と全幅はカローラアクシオの方が大きくなっています。
室内に関しては、圧倒的にカローラアクシオの方が広いと思います。
クラウンは駆動方式がFRのため、直4エンジンが縦に置かれている関係でボンネットが長くなっています。
それに対して、駆動方式がFFでエンジンが横置きになっているカローラアクシオのボンネットは短く、その分だけ室内のスペースを確保できることになります。
ただし、この逆転現象は初代クラウンのみで、1962年に発売された2代目のクラウンになると、全長が4,610mm、全幅が1,695mm、全高が1,460mmと一回り大きくなり、全幅と全高はカローラアクシオと全く同じで、全長のみ210mm長くなっています。
しかし、直列6気筒エンジンを縦に積んだことにより、初代にくらべてさらにボンネットが長くなっていますし、トランクも後ろに大きく張り出していることから、室内の広さに関してはカローラアクシオの圧勝だと思います。
カローラ同士でくらべてみた場合
初代クラウンと現在のカローラのサイズを比較してみた結果、カローラの方に軍配が上がることが分かりました。
今度は、同車種でどれほどのサイズの違いがあるのかについてみていきましょう。
初代カローラといまのカローラアクシオにはどれくらいのサイズの違いがあるのでしょうか?
1966年に発売を開始された初代カローラのサイズは、全長が3,855mm、全幅が1,485mm、全高が1,380mmとなっています。
もう一度先ほどのカローラアクシオの寸法を見てみると、全長が4,400mm、全幅が1,695mm、全高が1,460mmとなっています。
この数字を比較してみますと、圧倒的に現在のカローラのサイズが大きいことが理解できるかと思います。
特に、初代カローラの全幅のサイズには驚きです。
現在の軽自動車の全幅は、ほとんどの車種で1,475mmとなっていますが、これは規定によって1.48m以下と決められているからです。
つまり、初代カローラの1,485mmという全幅は、いまの軽自動車とほぼ同じということになります。
最近の軽自動車は、室内のサイズを重視した設計がされていますから、室内の広さに関してはおそらく現在の軽自動車の方が圧倒的に広いと思います。
いずれにしましても、代表的な大衆車であるカローラのサイズがこれほど小さかったわけですから、古くから営業しているお店の駐車場が狭く感じるのは仕方のないことなのです。
ちなみに、カローラの全幅に関しましては、1970年発売の2代目が1,505mm、1974年発売の3代目が1,570mm、1979年発売の4代目が1,610mm、1983年発売の5代目が1,635mmといったようにモデルチェンジのたびにじわじわと大きくなっていきました。
そして、現在のカローラアクシオと同じ1,695mmになったのは、2000年に発売された9代目からです。
この1,695mmというのは5ナンバー枠ギリギリのサイズなので、カローラの全幅がこれ以上広くなることはないと思われます。
スポンサーリンク
自動車税の改正があったことも大型化の原因?
自家用車は、5ナンバーである小型車と、3ナンバーである普通車に大別されます。
排気量が2000ccを超えたり、ボディのサイズが全長4.7m以上、あるいは全幅が1.7m以上の場合には、3ナンバーになります。
昭和59年に税制が改定されるまでは、5ナンバーと3ナンバーの自動車税には歴然たる差がありました。
2000ccクラスの5ナンバー車の税額が39,500円だったのに対して、3000ccクラスの3ナンバー車の場合には81,500円の自動車税がかかりました。
当時は現在と違って、たとえ排気量が2000cc未満であったとしても、ボディサイズが全長4.7以上か全幅1.7m以上のどちらかを超えていれば、81,500円の自動車税が適用されていました。
昭和59年に税制が改正になったあとの自動車税は、完全に排気量のみによって区分けされることになったのです。
税額は排気量によって1.5超〜2.0リッター以下39,500円、2.0超〜2.5リッター以下45,000円、2.5超〜3.0リッター以下51,000円、3.0超〜3.5リッター以下58,000円といったような形で、排気量が500cc変わるごとに税額が変わるようになっています。
排気量のみによって税額が決まるために、ボディのサイズ的にはどんなに大きな車であっても、排気量が小さければ税額は安くて済むわけです。
こういった税制の改正も、車の大型化に少なからず影響をしていると思います。
最近では、排気量が2000cc以下なのに3ナンバーサイズのボディのクルマが増えてきました。
たとえばプリウスの排気量は1800ccですが、車幅は1,760mmあります。
車幅が1.7mをオーバーしていますから、3ナンバーが適用されることになりますが、排気量は1800ccですから自動車税は39,500円と、税制を改正する前の5ナンバー車と同じ税額になります。
しかしその一方で、ボディのサイズによって自動車税の支払額に違いがなくなったにもかかわらず、先ほどのカローラのようにあえて5ナンバーサイズのボディにこだわるケースもあります。
やはり「ボディの大きな車=取り回しが大変で乗りにくい」というイメージがあるために、コンパクトであるというイメージを印象付けるためにも、あえて5ナンバーサイズにこだわっているのかも知れません。
また、都内の月極め駐車場などでは、5ナンバーに対して3ナンバーの車は1割ほど料金が高い設定になっているところもあるようです。
そして、古くから車に乗っている人は、どうしても「3ナンバーは税金が高い」という過去のイメージが抜けないために、ボディを3ナンバーサイズにすることで売り上げが落ちることを心配したメーカーが、あえて5ナンバーにこだわっているなどという噂もあります。
驚くほど小さかったむかしの軽自動車
さきほど、初代のカローラは今の軽自動車と同じくらいの車幅であったというお話をさせていただきました。
それでは、当時の軽自動車のサイズはどうだったのでしょうか?
1958年に富士重工業より発売された「スバル360」のボディサイズは、全長が2,994mm、全幅が1,300mm、全高が1,335mmでした。
ちなみに、現在の軽自動車であるスバルプレオのサイズを見てみましょう。
全長が3,395mm、全幅が1,475mm、全高が1,530mmとなっており、格段に大きくなっていることがお分かりかと思います。
何度か軽自動車の規格の改定があり、そのたびにボディのサイズも大きくなってきました。
また、排気量も、360ccから660ccへと大幅にアップしています。
このように、日本のクルマは、軽自動車も含めてあらゆる車種において、どんどん大型化してきたわけですね。
しかし、日本の道路事情を考えると、さすがにこれ以上の大型化が進むことはないと考えていいと思います。
文・山沢 達也
スポンサーリンク