車を運転中に燃料の警告灯が点灯すると、ガス欠が心配になってあせってしまう人も少なくないでしょう。
特に、ガソリンスタンドの数が少ない地域を走っているときや、高速道路を走っている途中に燃料警告灯が点灯したりすると、給油をすることができるところを見つけるまではハラハラドキドキの運転となってしまうことでしょう。
しかし、実際に自分の車で燃料警告灯が点灯してから、どれくらいの距離を走るとガス欠になってしまうのかということが分かっていれば、それほどあせることもなくなるはずです。
あなたのクルマは、燃料警告灯が点灯してから、実際にどれくらいの距離を走ることができるのでしょうか?
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高速道路でのJAF救援依頼の中でガス欠は2位
実際にガス欠を経験した人というのはそれほど多くはないと思いますが、JAFのロードサービスの救援依頼を見てみますと、意外なことに割合的にはかなり高いものとなっています。
平成27年度のデータになりますが、一般道を走っていてガス欠によりJAFの救援依頼を要請した人は53,124件となっており、堂々の7位です。
これが高速道路となるとさらに順位が上昇し、10,687件で2位となっています。
ほとんどの国産車には燃料警告灯がついているのに、なぜガス欠を起こしてしまう人がいるのでしょうか?
一番の理由として考えられるのは、自分の乗っている車の燃料警告灯が点灯してから、実際にどれくらいの距離を走ることができるのかを、ほとんどの人が分かっていないということです。
「警告灯がついたら10kmほどでガス欠になってしまうらしい」とか「いや50km以上は間違いなく走るはずだ」といったあまり根拠のない噂話はよく耳にしますが、正確な数字を知っている人というのは本当に少ないのだと思います。
そもそも、燃料警告灯が点灯してから走行することのできる距離というのは、メーカーや車種ごとに異なりますし、車に乗っている環境や運転の仕方によっても違ってきますので、単純にどれくらいの距離を走ることができるということは言えないわけです。
しかし、実際に車種ごとの走行可能距離を調べてみると、ある程度の基準となる数字が見えてきます。
あなたのクルマはどれくらい走るとガス欠になる?
燃料警告灯が点灯した時点でのガソリンの残量は、燃費の良し悪しによって変わってくる傾向があるようです。
つまり、燃費のいいクルマは残量が少なめ、燃費の悪い車は残量が多めとなっているわけです。
それでは、実際に車種ごとに、燃料警告灯が点灯してからどれくらいの距離を走るとガス欠になるのかを見ていきたいと思います。
・コンパクトカーは50km~80km程度は走行可能
比較的燃費のいいコンパクトカーなどは、警告灯がついた時点での残量が5リットル程度のことが多いようです。
アクア、ヴィッツが5リットル、フィットが5.3リットルとなっています。
同じコンパクトカーでもデミオの場合は、残量が多めで9リットルとなっています。
大まかに、コンパクトカーの場合には警告灯が点灯しても5リットル程度の燃料がタンク内に残っていると考えておけばいいと思います。
こういったコンパクトカーの実燃費が10km/Lを切るということは、渋滞にでもはまらない限りはありえませんので、燃料警告灯が点灯してから最悪でも50km以上は走ると考えてよさそうです。
信号の少ない郊外の道路などをのんびりと走るのであれば、70km~80km程度は走れてしまう可能性もあります。
・軽自動車の場合は残量が4リットルの車種もあります
コンパクトカーと同様に、比較的燃費のいい軽自動車の場合はどうでしょうか?
軽自動車の場合にも、コンパクトカーと同様に5リットル前後の設定になっている車種が多いようです。
ホンダの軽自動車は少なめの傾向があり、N-BOXとN-ONEが4リットル、N-WGNが4.5リットルとなっています。
ダイハツのミラやタントは比較的多めで、6リットルとなっています。
軽自動車の場合には、4リットルとコンパクトカーにくらべて残量が少ない車種もありますが、実燃費を考えた場合、普通に走っている限りでは50km以上は走行可能だと考えていいと思います。
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・日産のセレナは警告灯が点灯後も100km走行できる?
軽自動車やコンパクトカーといった、比較的燃費のいい車種についてみてきましたが、今度は比較的燃費の悪い傾向にあるミニバンについてみていきたいと思います。
2000ccクラスのミニバンですと、ヴォクシーが7.2リットル、ステップワゴンが8リットル、セレナが13リットルとなっています。
2000ccクラスのミニバンとなると、信号の多い市街地ばかりを走っていると、状況によっては実燃費が10kmを切る可能性もあるため、やはり燃料警告灯が点灯してから走行することができる距離は、50km程度が安全圏だと考えていいと思います。
そういった意味では、コンパクトカーや軽自動車とほぼ同じと考えていいと思います。
ただし、セレナに関しては残量が13リットルとなっていますので、警告灯が点灯してから100km近くの距離を走ることも可能かも知れません。
もちろん、実燃費というのは道路状況によって大きく変わってきますので、警告灯が点灯したら早めに給油をするというのは基本中の基本です。
次に3ナンバーのミニバンであるアルファードの2400ccを見てみますと、残量が11リットルとなっています。
軽自動車やコンパクトカーとくらべると2倍以上の残量となっていますが、このクラスのミニバンですと実燃費が10kmを切ってしまうのが一般的です。
信号が多く渋滞気味の道路ばかりを走っているような環境だと、実燃費が7km程度になってしまうこともよくあります。
警告灯が点灯したあとでも11リットルもの燃料が残っているとはいえ、実燃費を考慮すると、やはり50km程度が安全圏であると考えておいた方がいいと思います。
高速道路のサービスエリアの間隔と給油のタイミング
ここまで、実際の車種名をいくつかあげて、燃料警告灯が点灯してからどれくらいの距離を走れるかについてみてきました。
その結果、すべての車種においてランプが点灯してから50km程度までは、ほぼ間違いなく走れそうだということが分かりました。
思ったよりも走れると感じた人も多いと思いますが、メーカーもこの50km以上を走行できるという点をひとつの目安として設計をしているのだと思います。
なぜなら、高速道路のサービスエリアというのは、基本的に50km間隔で設置されているからです。
万が一高速道路を走行中に燃料警告灯が点灯したとしても、次のサービスエリアのあるところまでたどり着ける程度の燃料が残っていれば、ガス欠を防げるからです。
しかし、だからといって高速道路を走る前に燃料計を気にしなくていいということではありません。
燃料警告灯が点灯しても50km程度は走れるとはいっても、それはあくまでも車がスムーズに流れている場合のときです。
年末年始やお盆の帰省ラッシュ、ゴールデンウィークなどのときに高速道路の渋滞にはまってしまった場合には、燃費が極端に悪化するために、警告灯がついた状態で次のサービスエリアまで走れるという保証はありません。
やはり、高速道路を走る前には、しっかりと燃料計の確認を忘れないようにすることが大切です。
ちなみに、高速道路上でガス欠を起こすと道路交通法違反となり、2点減点のうえ反則金9000円を支払わなければならなくなりますので、注意が必要です。
また、高速道路上で給油が可能なサービスエリアが50kmごとに設置されているというのは、あくまでも原則的にそうなっているというだけで、例外もたくさんあります。
北海道などでは80kmごとが基本ですし、区間によっては170km以上にわたり給油をすることのできる場所がない高速道路もあります。
うっかりそういう区間を走っているときに燃料警告灯が点灯してしまった場合には、とりあえず高速道路を降りて一般道沿いのガソリンスタンドを探すことが先決となるでしょう。
文・山沢 達也
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