動力性能的にはあのポルシェ911GT3をしのぐといわれ、世界的にも注目をされている車です。
車両価格もグレードによって異なりますが、1000万円~1900万円と庶民には手も足も出ないような金額設定になっています。
このように性能的にも価格的にも、庶民の感覚からはずれてしまっている日産GT-Rですが、実は車検の費用も規格外といえるもので、なんと100万円ほどかかることもあるといわれています。
スズキアルトのベーシックモデルであるFの車両価格が847,800円ですから、GT-Rの車検費用は軽自動車を1台買うよりも高いということになってしまいます。
いったい、なぜGT-Rの車検費用はそれほど高いのでしょうか?
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高級車であるレクサスLSの車検費用
一般のファミリーカーであれば、車検費用は10万円~15万円程度で収まると思います。
走行距離や各パーツの劣化具合によって異なりますが、だいたいはこの程度におさまるはずです。
ちなみに日本を代表する高級車であるレクサスLS460の場合は、どれくらいの車検費用がかかるのでしょうか?
新車購入時から最初の車検で、走行距離が3万km程度だと想定しますと、およそ20万円程度になると思われます。
もし、3万km以上の走行距離を走っていた場合には、タイヤ交換などが必要になって来るかと思いますので、さらに25万円ほどが追加になってしまいます。
その場合はトータルの車検費用が、45万円ほどになります。
日本を代表する高級車であるレクサスLS460であっても、仮にディーラーで純正タイヤ交換をしたと仮定しても車検費用が50万円を超えることはありません。
それなのに、なぜGT-Rの車検費用はそれほど高くなってしまうのでしょうか?
消耗パーツの値段が圧倒的に高い
GT-Rの車検費用を高額にしている原因として、消耗品の値段が一般の車とくらべて圧倒的に高いという点があげられます。
あらゆる部品に関して、一般の車の感覚では想像もできないような出費を覚悟しなければならないのがGT-Rという車なのです。
・タイヤ4本交換で50万円かかります
車の消耗品としてまっ先に思い浮かぶのがタイヤです。
一般の車の場合、一流メーカー品のタイヤを4本すべて交換したとしても、せいぜい10万円~15万円程度で済むはずです。
しかし、GT-Rの場合は、タイヤを4本交換するだけで50万円の出費になります。
GT-Rのタイヤは、ランフラットタイヤと呼ばれる特殊なもので、空気圧がゼロになっても一定の距離を走ることができるタイプのものです。
スペアタイヤが不要なために便利ではあるのですが、一般のタイヤにくらべて値段が高くなってしまいます。
参考記事:パンクした状態で80kmもの距離を走れるランフラットタイヤとは?
またランフラットタイヤは、一般のタイヤと違って交換する際にも特殊な工具が必要になるために、交換費用も高くなります。
それに加えてアライメント調整などをすると、4本交換で50万円にもなってしまうわけです。
さらに恐ろしいことに、GT-Rのタイヤは寿命が非常に短いのです。
GT-Rのタイヤはグリップ力を向上させるためにやわらかめのコンパウンドが採用されており、一般の車のタイヤにくらべて摩耗するのが早いのです。
一般の車の場合、タイヤ交換の目安は3万km程度だといわれています。
それに対して、GT-R用のタイヤは、1万5000kmから2万kmで交換が必要だとされています。
つまり、1万5000kmから2万kmごとに50万円の出費を覚悟しなければならないわけです。
もうそれだけで、庶民にはとても所有することが不可能な車だということが理解できると思います。
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・ブレーキパッドの交換費用が20万円
ブレーキパットも、走行していれば必ず摩耗してしまいますので、定期的に交換が必要な消耗品といえます。
走行距離4万km~6万kmが交換の目安といわれていますが、車の乗り方によっても交換時期は大きく変わってきます。
ちなみに一般の車の場合、このブレーキパッドの交換費用は4輪すべてを交換しても、工賃込みで3万円~4万円程度で済むことが多いようです。
それなのに、このGT-Rときたらブレーキパッドの交換費用でさえも20万円程度かかってしまうのです。
車というのは、動力性能が高くなればなるほど、その車を止めるためのブレーキも強力なものを装備しなければなりません。
ポルシェ911GT3をもしのぐ動力性を持つGT-Rだからこそ、ブレーキパッドもそれだけ高価なものが必要になるということです。
しかも、タイヤと同様に制動力の高いブレーキパッドほど減りが早いのです。
乗り方にもよりますが、2万km~3万km程度での交換が必要になる可能性があります。
・オイル交換だけでも3万円もするGT-R
オイル交換の費用といえば、せいぜい5000円以下ではないでしょうか。
エレメントまで交換したとしても、1万円以内で済むと考えるのが一般的です。
しかし、このGT-Rときたらオイル交換の費用までも高いのです。
オイルそのものが「Mobil 1」(0W-40)に純正指定されていることもあり、エレメントまで交換すると3万円程度の出費になります。
ちなにみ、ポルシェの場合にはオイル交換費用が5万円ほどかかるそうなので、それからくらべるとGT-Rの方が安いとはいえますが、庶民の感覚からすればオイル交換のたびに3万円の出費は厳しいといえるでしょう。
本当に車検時に100万円の出費を覚悟する必要がありそう
このように、日産のGT-Rはさまざまな消耗品の交換費用が、一般の車とくらべてあり得ないくらいに高価であるということが分かりました。
車検のタイミングというのは、消耗品を交換するタイミングに重なることが多いものです。
4本交換で50万円と負担の大きいタイヤも、1万5000km~2万kmで交換する必要がありますから、車検ごとに交換が必要になりそうです。
ブレーキパッドも、仮に車検のときにはまだ残量があったとしても、次の車検まで持たないと判断されたら交換する必要があります。
GT-Rのブレーキパッドは2万km~3万kmで交換する必要がありますから、普通に乗っていたら1回の交換で車検を2回クリアすることは難しいと思います。
そうなると、結局ブレーキパッドも車検のたびごとに交換することになります。
さらに、ブレーキパッドを2回交換するごとに、ブレーキローターも交換しなければなりません。
GT-Rのブレーキパッドとローターを同時に交換するとなると、それだけで出費は50万円を余裕で超えてしまいます。
もちろんGT-Rといえども、自動車税や自賠責保険料などの車検時にかかる諸費用は一般の車とまったく変わりはありません。
しかし、車検時に行う整備にともなう、消耗品の交換費用が非常に高いために、場合によっては100万円などという、スズキアルトの新車を買うよりも高い車検費用になってしまうことになるわけです。
タイヤ交換と同時に、ブレーキパッドとローターを一式交換したら、それだけで余裕で100万円を超えてしまいます。
ただし、最近ではGT-R用の社外品のタイヤなども出回るようになってきており、純正の半額近い値段でタイヤ交換をすることも可能になっているようですので、そういった社外品を利用することで多少はメンテナンス費用を安くすることは出来そうです。
しかし、GT-Rの場合にはメンテナンスを日産指定の工場で受けることが保証を受けられる条件になっていますので、社外品を使うことでメーカー保証が受けられなくなる可能性はあります。
どうしても社外品の安価なパーツを利用したい人は、そういったリスクがあることを承知したうえで、自己責任で行うようにしなければなりません。
いずれにしても日産のGT-Rという車は、高い車両価格もさることながら、購入後もメーカーに高いメンテナンス費用をずっと払い続ける覚悟がなければ、とても維持できる車ではないことは間違いのないところです。
日産GT-Rの公式サイト
https://www2.nissan.co.jp/GT-R/
文・山沢 達也
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