クルマの維持費が高すぎる!~クルマを40年間乗り続けると家が1件買える!?~税金・ガソリン代・車検費用

クルマを所有して、それを維持管理するのは、私たちが想像する以上のお金かかります。

ある人が試算をしたところ、コンパクトカーを40年間乗り続けた場合、車両費や税金、ガソリン代、車検費用、駐車場代などで、2,560万円もの出費になるそうです。

地方であれば、家が1件買えるほどの金額になります。

それほどお金のかかるクルマですが、決して贅沢品ということではありません。

地方ではクルマがないと生活できませんから、まさに生活必需品といえます。

生活必需品であるクルマを維持するために、なぜこれほどまでにお金がかかるのでしょうか?

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世界的にもダントツに高い日本のクルマに対する税金

クルマを維持するための費用が高額になる原因の1つとして、税金が高すぎるという点があげられます。

クルマを所有していると、さまざまな名目で税金をむしり取られることになります。

一般社団法人日本自動車工業会の調査によりますと、自動車取得時にかかる税金と、その後13年間にわたってクルマを保有し続けた場合の税額が、日本の場合はアメリカの31倍にもなるそうです。

アメリカ以外の国と比較してみても、ドイツの2.8倍、イギリスの2.4倍になります。

日本という国が、いかにクルマに対して厳しい税金をかけているかということがお分かりになるかと思います。

贅沢品が対象の物品税が名を変えて自動車取得税に

かつての日本には、物品税というものがありました。

物品税というのは、贅沢品に対して課税をするというもので、宝石や毛皮、クルマ、電化製品、洋酒などが対象になっていました。

この物品税は1989年4月に、消費税が導入されると同時に廃止されています。

しかし、なぜかクルマだけは、この物品税が自動車取得税と名前を変えて、課税され続けているのです。

自動車取得税は、50万円以上のクルマが課税の対象になります。

50万円以上のクルマは贅沢品という解釈になるのでしょうか?

冒頭にも書きましたように、地方の場合にはクルマは生活必需品です。

都市部のように、電車やバスを乗り継いでどこにでも行ける地域であればクルマは必ずしも必要ではありませんし、贅沢品という見方もできないわけではありません。

しかし、交通手段のない地方では、クルマがなければ通勤もできないし、買い物にも行けないわけです。

そんな生活必需品であるクルマに対して、50万円以上の値段のものは贅沢品という解釈をするのはどうでしょうか。

しかも、宝石や毛皮といった本当の贅沢品には消費税しか課税されないのです。

なぜかクルマだけは、消費税と自動車取得税の両方が購入時に課税されることになっているのです。

3ナンバーのクルマに対する物品税は異常なほど高かった

現在の自動車取得税は、自家用普通自動車が3%、軽自動車が2%、営業用自動車が2%となっていますので、それほど負担が重いという印象はありません。

かつての物品税は驚くほど高額で、3ナンバーの乗用車は23%、5ナンバーの小型自動車が18.5%、軽自動車が15.5%となっていました。

たとえば、5ナンバーで200万円のクルマを購入するときには、37万円もの物品税が課せられたのです。

400万円の3ナンバーの高級車を購入するときには、税額は92万円にもなります。

いまでは3ナンバーのクルマはめずらしくありませんが、当時は高額な税金を払える一部のお金持ちしか乗ることのできないクルマだったわけです。

この物品税が1989年の消費税導入と同時に廃止されることになったのですが、クルマに関しては自動車取得税という名目で残され、6%を課税されることになったのです。

当時の消費税は3%でしたから、自動車取得税の6%と合わせても9%が課税されることになりました。

物品税のときの18.5%とくらべると、課税額は半分以下になったわけです。

日本がクルマ社会になり、クルマは決して贅沢品とはいえないという世間の認識を反映して、実質的な税額を下げることにしたわけです。

その後、消費税が上がると同時に自動車取得税の税率は下がっていき、現在は普通自動車で3%となっています。

消費税が8%ですから、3%の自動車取得税と合わせると11%となり、トータルでの税額は消費税が導入された1989年当時の9%よりも高くなっています。

2019年に消費税が10%にアップになると同時に自動車取得税は廃止になるようですが、その代わりに燃費課税(環境性能割)という名目の税金が課税されます。

この燃費課税(環境性能割)は、電気自動車やプラグインハイブリッドなどの燃費性能のいいクルマは非課税ですが、燃費の悪いクルマは最高で3%の課税になります。

自動車取得税が廃止になるといっても、消費税のアップ分と燃費課税の分を合わせると、一部の車種以外はまったく減税にはなっていないことになります。

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ガソリンを入れるたびに二重に取られる税金

クルマを買うときに自動車取得税や消費税がかかり、購入時と車検のときに重量税がかかり、さらに毎年のように自動車税を払わされ、まさにクルマを所有することで税金漬けになってしまいます。

しかし、クルマを所有することで支払わなければならない税金はそれだけではありません。

ガソリンを入れるときにも、さまざまな名目の税金がかかります。

ガソリン1リットルあたり、石油税2.8円、ガソリン税(本則税率)28.7円、ガソリン税(暫定税率)25.1円のトータル56.6円が課税されます。

これらの税額は、ガソリンそのものの相場に関係なく一律でこの金額が課税されます。

たとえば、ガソリン1リットルの値段が150円だとします。

この150円のなかに、ガソリン税や石油税の56.6円が含まれており、ガソリン本体の価格は150円-56.6円=93.4円ということになります。

さらに、ガソリンを入れることで消費税もかかります。

本来であれば、ガソリン本体の値段である93.4円に対して8%の消費税が課税されるべきです。

ところが、なぜかガソリンの場合は、ガソリン税や石油税を含んだトータルの金額である150円に対して8%の消費税がかかるのです。

つまり、56.6円の税金に対しても、消費税をかけてしまっているわけです。

このことから、ガソリンは税金に税金をかける二重課税ではないのかと、多くの人から批判をあびているわけです。

「ガソリン税と石油税は石油元売会社が納める税金なので生産コストに含まれる」というのが、ガソリンが二重課税になってしまっている理由らしいのですが、そういった説明で納得できる人がどれだけいるでしょうか?

悪知恵の働く頭のいい官僚たちの屁理屈によって、ドライバーは理不尽な税金を払わされているのです。

税金以外にもまだまだかかるクルマの維持費用

コンパクトカーを40年間乗り続けると、家を1件買えるほどの費用がかかってしまうわけですが、それらの費用のすべてが税金というわけではありません。

税金以外にも、自賠責保険、任意保険、点検整備費用、車検取得費用、駐車場代、ガソリン代などがかかります。

JA共済が発表した資料によりますと、コンパクトカーを1年間維持するのにかかる費用は44万5千円だそうです。

これが40年間だと1,780万円にもなります。

これに、クルマの車両代金をプラスするわけですから、トータルで家を1件買えるだけの金額になってしまうわけです。

ちなみに、同じJA共済のデータで軽自動車の年間維持費をみてみますと、38万円となっています。

維持費が安いイメージのある軽自動車ですが、コンパクトカーとくらべて年間で6万5千円ほどの違いしかないことになります。

逆に維持費が高いイメージのある2.5Lクラスのミニバンですが、こちらの年間維持費は50万円ほどとなっています。

コンパクトカーとくらべて年間で5万5千円ほどしか違いがありませんので、思ったほどは高くないという印象です。

いずれにしましても、この日本という国においてクルマを所有し続けるということは、想像以上にお金がかかるということを覚悟しておかなくてはなりません。

文:山沢達也

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