クルマのレースというと、速さを競い合うというのが定番です。
決められたルールのなかで、0.1秒でも速くゴールしたものが勝者となるわけです。
ところが、速さだけではなく、そこに燃費のよさも加味したカーレースである「エコカーカップ」というレースが注目を浴びているようです。
つまり、決められたルール内で、より速くなおかつ燃料の消費が少ないクルマが勝者となるレースです。
これまで、エコランと呼ばれる燃費を競うレースはありましたが、あくまでも燃費のよさだけを競うもので、マシンの速さは関係ありませんでした。
また、エコランの場合、50ccのスーパーカブ用のエンジンを利用して、自作のマシンに載せるというスタイルになっています。
参考記事:1リットルの燃料で3,644km走る!?~燃費世界一に挑むエコラン
ところが、エコカーカップの場合は、普通に公道を走っている市販車を使って、燃費と速さを競い合うのです。
具体的にはどういったレースなのでしょうか?
Enjoy 60とChallenge 180の2種類のレースがあります
エコカーカップは、富士スピードウェイで毎年行われるレースで、初心者やサーキット未経験者でも参加できます。
速さだけではなく、燃費も重要視されるため、ドライビングテクニックだけではなく、知恵やチームワークなどの総合力が問われるレースとなっています。
このエコカーカップにはEnjoy 60とChallenge 180の2つの種類があります。
・Enjoy 60は初心者や未経験者向けのレース
Enjoy 60は、初心者や未経験者の人でも安全に参加できるように、ルール決めされた1時間の耐久レースとなっています。
このEnjoy 60では、安全に走ることが優先されているため、スピードを上げて走ることができないようにラップタイムに制限がかけられています。
ラップタイムが4分45秒を超えるとペナルティが与えられるため、このタイムをオーバーしない範囲で順位と燃費を競うわけです。
そのため、速く走る必要はなく、ドライビングテクニックよりもむしろエコランテクニックが要求されるレースになります。
ただ、4分45秒を超えない範囲で走るというのは、実際にやってみると相当に難しいことに気がつくと思います。
もし、この4分45秒を1秒でもオーバーすると、マイナス10ポイントのペナルティが科せられるので、大幅に順位を下げてしまうことになります。
制限タイムを超えないギリギリのスピードで走り続けないと、レースには勝てないことになります。
上位チームになると、4分46秒~4分47秒といった、まさに神業ともいえるタイムで周回をするようです。
制限タイムをオーバーしてペナルティを受けるのが怖いからといって、すこし余裕を持たせて4分50秒ほどでラップすると、上位チームとは1周あたり3秒~4秒ほど離されていくことになります。
レースは1時間続くわけですから、最終的にはかなりのタイム差がついてしまうということが想像できると思います。
ちなみに、このレース1時間あたりに消費される燃料は、わずか1.5リットル~2リットル程度です。
・Challenge 180はよりハイレベルな3時間耐久レース
Challenge 180も、初心者でも参加可能なレースではありますが、3時間の耐久レースとなりますし、ラップタイムや周回数、ピットタイムなどが厳しくルール決めされています。
Enjoy 60の場合は、4分45秒を超えて走るとペナルティを受けましたが、Challenge 180の場合には最短ラップタイムが3分15秒となるため、一気にレースがスピードアップします。
Enjoy 60だとレース中の平均時速が57kmほどですが、Challenge 180になると84kmほどになりますので、レースをしているという速さを実感できることになるでしょう。
ちなみに、F1マシンだとこのコースを1分20秒ほどで走り、平均時速も200kmを超えます。
Challenge 180には、3分15秒というラップタイムの制限だけではなく、50周という周回義務があり、ピットインの回数も5回以上というルールが設けられています。
周回数重視で速く走ると燃料を消費してしまいますし、かといって燃費重視でゆっくり走ると周回不足になってしまうため、なかなか厳しいルールといえそうです。
ピットにも最低5回以上入らなければいけませんので、チームワークがとても重要になります。
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エコカーカップに参加をするにはどうすればいいか?
速さと燃費を競うという非常に奥の深いレースであるエコカーカップですが、基本的は誰でも参加をすることができます。
参加条件としては以下の3つしかありません。
1)ドライバーとパッセンジャーは、有効な自動車運転免許証を保有すること。
2)2 名以上でチームを構成してください。なお上限人数に規定はございません。
3)同一ドライバーが複数のチームのドライバーを兼任することは出来ません。
パッセンジャーというのは、ドライバーの補佐役として助手席に同乗する人のことで、走行中の状況確認やタイムの計測などを行います。
これらの3つの条件をクリアしていれば、あとは参加費を支払うことで出場することができます。
ちなみに、サーキット走行をすることになるわけですが、A級ライセンスやB級ライセンスといったモータースポーツライセンスは不要となっています。
参加費は、Enjoy 60が19,500円で、Challenge 180は50,500円となっています。
両方に参加する場合は、60,500円と少しだけお得になっています。
参加の申込みは以下のオフィシャルサイトからできます。
http://www.fsw.tv/driving/ecocar.html
どのような人がエコカーカップに参加をしているのか?
エコカーカップには、実際にどのような人たちが参加をしているのでしょうか?
もともと誰でも参加できるアマチュアのためのレースなので、参加者もバラエティに富んでいるようです。
クルマを趣味としている人たちのグループや、学校が主体となった学生のチームなどが多く参加をしているようです。
面白いところでは、アマチュア野球のチームが参加をしたりすることもあるようです。
また、先に紹介した低燃費レースであるエコランに出場しているチームなども参加をしたりしているようです。
もちろん、家族や友人どうして参加をしている人も多いようですので、興味のある人はチャレンジをしてみるといいでしょう。
どのようなクルマで参加をすればいいのでしょうか?
エコカーカップは、エコランのように自作のマシンを制作する必要はなく、市販のクルマで参加をすることができます。
つまり、あなたが通勤やレジャーに使っているクルマをそのまま持ち込んで参加をすることができるわけです。
ただ、車種によって燃費に大きな差が生じてしまうため、それぞれのクルマは細かくクラス分けされています。
部門として「ガソリン」「ディーゼル」「ハイブリッド」に分けられ、さらにその部門ごとにクラスが分けられています。
ガソリンの場合は軽自動車が対象となる「G-1」から、3000cc以上の排気量のクルマが対象となる「G-4」まで、4つに分けられています。
ディーゼルは、デミオやアクセラクラスの「D-1」から、メルセデスベンツE350クラスの「D-3」まで3つに分けられています。
ハイブリッドは、アクアやノートe-POWERなどが対象の「HV-1」から、スカイラインHVやBMWアクティブHVなどが対象になる「HV-6」まで6つに分けられています。
また、ハイブリッド部門には、競技車や車検対応外のクルマが対象になる「SVH」というクラスも設けられています。
「SHV」以外のすべてのクラスは、ノーマルでの出場が原則で、改造などは車検に対応できる範囲までしか認められません。
軽量化するために、シートを取り外したりするような改造はNGです。
また、動力バッテリーや動力モーター、エンジン・ミッションといったクルマの性能に直接影響するような改造は一切禁止されています。
文・山沢 達也
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