日本国内において公道を走っているクルマのドライバーは、全員が運転免許証を持っており、交通ルールを熟知していることになっています。
運転免許の学科試験に合格するためには、90点以上の得点をしなければなりませんので、少なくとも合格した直後はかなり交通ルールに詳しい状態になっているはずです。
しかし、残念ながら人間の記憶力というものは、それほど優秀ではありません。
運転免許を取得したばかりの頃は覚えていたはずの交通ルールも、数年もすればすっかり忘れてしまっている人も少なくないでしょう。
運転免許証は数年おきに更新をする必要がありますが、その更新時においても学科のテストは行われません。
そのため、公道上を走っている車のドライバーのほとんどは、交通ルールを忘れた状態でクルマを運転しているということになります。
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駐車禁止と駐停車禁止の明確な違いが分かりますか?
「駐車と停車の違いはなんですか?」と聞かれて、その違いを正確に答えることのできるドライバーはそれほど多くはないでしょう。
「車を止めている時間で決まるんじゃないの?」などと答えドライバーも少なからずいると思います。
しかし、停車か駐車かというのは、単純に車を止めている時間の長短では決まらないのです。
・ドライバーがクルマを離れていると駐車とみなされます
停車とみなされるのは「クルマから乗り降りをしたり、5分以内の荷物の積み下ろしをするため」にクルマを止めた場合に限られます。
たとえ短時間であっても「運転者が車から離れていてすぐには運転できない状態」であれば、駐車ということになります。
もしそこが、駐車禁止の場所であれば、駐車違反ということになってしまい取締りの対象になるわけです。
よく、エンジンをかけたままの状態であったり、ハザードランプを点滅させた状態で止めていれば駐車違反のキップを切られることはないなどと言われたりします。
しかし、それはあきらかに間違いであり、ただの都市伝説ということになります。
・5分以上クルマを止めても駐車にならないケース
駐車禁止の道路上で、停車した状態で5分以上人と待ち合わせをしていたり、荷物の積み下ろしに5分以上の時間をかけてしまうと、たとえ車をすぐに移動できる状態であったとしても駐車とみなされます。
しかし、単純に5分以上クルマを止めていたら駐車になるのかというと、必ずしもそうではありません。
実は、人が乗り降りをするときには、たとえ5分を超えて車を止めていたとしても、駐車とみなされることはありません。
なぜなら、高齢者や障害者の方などが乗り降りをする際に、5分以上の時間がかかる可能性があるからです。
・そもそも車を止めることさえ許されない駐停車禁止
駐車禁止の場所であっても「クルマから乗り降りをしたり、5分以内の荷物の積み下ろしをするための停車」であれば、駐車違反に問われることはありません。
しかし、「駐停車禁止」の場所となると話は別です。
駐停車禁止の場所では、そもそも車を止めること自体が禁止されていますので、停車した時点で違反ということになります。
当然ながら、駐停車禁止の道路標識のある場所では、荷物の積み下ろしはおろか、人の乗り降りも出来ないことになります。
駐停車禁止になっている道路上に大型トラックを止めて、飲食店で食事をしている迷惑なドライバーをときどき見かけますが、交通ルールを知らないのかそれとも心臓に毛が生えているのかのどちらかでしょう。
ちなみに、駐停車禁止の標識がなくても、以下のような場所には駐車も停車もできませんので注意が必要です。
「軌道敷内」「坂道の頂上付近、急な上り下りのある場所」「トンネル」「交差点5m以内」「曲がり角5m以内」「横断歩道5m以内」「踏切10m以内」「安全地帯の左側10m以内」「バス、路面電車の停留所の表示板から10m以内」
黄色のセンターラインは追い越し禁止とは限らない?
多くのドライバーは、黄色のセンターラインがある場所は追い越し禁止だと思い込んでいると思います。
しかし、厳密にいいますと、黄色のセンターラインが引いてあったとしても、必ずしも追い越し禁止とは限らないのです。
・3種類のセンターラインの意味の違い
そもそも黄色のセンターラインの意味がどういうものなのかといいますと、「はみ出し禁止」ということになります。
センターラインには、「白い破線」「白い実線」「黄色い実線」の3種類があります。
破線と実線の意味の違いは、はみ出しができるかどうかということになります。
つまり、破線のセンターラインであればはみ出して通行することが可能ですが、実線のセンターラインははみ出しができないということになるのです。
それでは、同じ「はみ出し禁止」の実線でも白と黄色の2種類があるのはなぜでしょうか?
これは、単純に道路の幅の違いによって決められています。
片側6m以上の道幅がある場合には「白い実線」が引かれ、片側6m未満の場合には「黄色い実線」が引かれることになっています。
どちらもはみ出し禁止であることに変わりはありません。
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・黄色の実線も白色の実線もはみ出さなければ追い越し可
センラーラインが黄色の実線であっても白色の実線であっても、あくまで「はみ出し禁止」ですから、はみ出さなければ追い越しをしてもいいことになります。
しかし、前方を走っている車に対して後方から車で追い越しをする場合、6m未満の道幅ではほぼ不可能と思われますので、黄色い実線の場合には、実質的には追い越し禁止と同じと考えていいと思います。
ただし、前方を走っているクルマに対して、後方から自動二輪(オートバイ)が追い越したり、逆に前方を走るバイクを普通車ではみ出さずに追い越しを行うことは可能となる場合もあるでしょう。
また、白い実線のセンターラインが引かれている片側6m以上の道路であれば、普通車どうしであっても、はみ出さずに追い越しが可能な場合があるかも知れません。
とはいえ、前方を走っているクルマにしてみれば、後方のクルマがセンターラインをはみ出さずに追い越しをかけて来るというのは予想外の出来事となりますし、常にセンターラインよりを走るクルマも少なくありません。
前方を走っている車が、左側に寄ってあきらかに道をゆずってくれているとき以外には、センターラインをはみ出さずに追い越すというのは非常に危険であるといえます。
・自転車を追い越すときでもはみ出してはいけない
ちなみに、黄色や白色の実線によるセンターラインが引かれているところは、あくまでも「はみ出し禁止」ということになりますので、たとえ自転車などの軽車両を追い越すときでもセンターラインをオーバーすることは出来ませんので注意が必要です。
また、「はみ出し禁止」の道路標識の下に「追い越し禁止」と書かれた補助標識があるのをときどき見かけることがあると思います。
この場合には、たとえはみ出さなくても追い越しそのものが禁止になります。
しかし、前方を走っている車両が自転車などの軽車両の場合に限り、追い越しが可能となっています。
路肩と路側帯は具体的にどこが違うのでしょうか?
「路肩」とか「路側帯」といった言葉を耳にすることがあると思います。
どちらも道路の端の方を指すということはなんとなく分かりますが、具体的にどこが違うのかを説明できる人は少ないと思います。
・路肩というのは単純に道路の端という意味
「路肩」というのは、単純に道路の端にあたる部分を指す言葉で、道路の幅や交通量によって道路の一番端から50cm~1.25mの位置に白線で区切られた場所になります。
クルマは原則として路肩を走行することができません。
ときどき渋滞をした高速道路で路肩を走行していているクルマを見かけますが、いつ検挙されてもおかしくないことになります。
ちなみに、高速道路の路肩走行で検挙された場合には、違反点数2点で反則金が普通車の場合で9千円となります。
・路側帯というのは歩行者が通行するための場所
道路の端という意味の路肩に対して、路側帯というのは、歩道のない道路において歩行者が通行するためのスペースとして設けられるものです。
そのため、路側帯を車で通行することはもちろんできませんし、駐車をすることも出来ません。
路側帯がある場所で駐車をするときには(もちろん駐車禁止区域ではないことが前提です)、道路の端から75cm以上のスペースを空けて停車する必要があります。
75cm以上のスペースを確保できるのであれば、白線に入って停車することも可能です。
もし路側帯の幅が75cm以下の場合には、白線ギリギリに止めることが可能です。
路側帯のなかに入って道路の端ギリギリに駐車しているクルマをときどき見かけますが、これはあきらかな道路交通法違反ということになります。
ちなみに、道路の端に引かれた白線が「路肩」なのか「路側帯」なのかの見分け方ですが、単純に歩道があるかないかで判断していいと思います。
歩道がある場合には「路肩」で、その場合は歩道ギリギリに寄せて駐車をすることが可能です。
歩道がない場合の白線は「路側帯」で、道路の端から75cm以上(あるいは白線ギリギリ)の位置に駐車をしなければならないことになります。
文・山沢 達也
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