自動車メーカーというと、トヨタやホンダ、日産、マツダ、スバルなどを頭に思い浮かべる人が多いことでしょう。
しかし、日本の自動車メーカーは、そういった大手の会社ばかりではありません。
日本の10番目の自動車メーカーとして認定された、光岡自動車という会社をご存知でしょうか?
大手の自動車メーカーではできないような、超個性的なクルマを開発し、一部のマニアに支持されている会社です。
ここでは、光岡自動車から過去に発売された超個性的なクルマの数々を紹介してみたいと思います。
光岡自動車を世に知らしめたゼロワン
光岡自動車は1968年の創業で、もともとはクルマの整備や板金塗装などを手がけていました。
1994年に自社にて組み立てされた「ゼロワン」という車を発表したのをきっかけに、日本国内の10番目の自動車メーカーとして認可されることになりました。
ゼロワンは、イギリスで1957年から1970年にかけて販売されていたスポーツカーであるロータスセブンのレプリカで、その完成度の高さから一躍注目をあびることになります。
このゼロワンのベースになった車は、マツダのオープンカーである「ユーノス・ロードスター」で、同車のエンジンや各種パーツなどを組み合わせて制作されていました。
このゼロワンの車両重量はわずかに720kgで、軽自動車であるダイハツのミライースとほぼ同じ重さです。
そんな軽いボディに、ユーノス・ロードスターの1800ccのエンジンが積まれているわけですから、その動力性能がいかに高いかということは容易に想像がつくでしょう。
販売価格も、ほぼ手作りで制作された車にしてはそれほど高価というほどでもなく、295万円に設定されていました。
このゼロワンは2000年7月に生産が終了していますが、その理由は運輸省(現在の国土交通省)の側面衝突試験に適応できなくなったためとされています。
2001年のモーターショーで注目をあびた「大蛇」
光岡自動車の超個性的なクルマ作りは、ゼロワンだけにはとどまりません。
2001年の東京モーターショーで注目をあびた「大蛇(オロチ)」も、その独特なデザインに驚かされました。
このオロチのベース車両となったのは、ホンダのNSXでした。
確かに面影はあるものの、このクルマのベースがNSXであることに気がつく人はまずいないでしょう。
2001年のモーターショーで注目をあびたオロチは、2005年10月に市販されることになりましたが、その価格は1,190万円~1,380万円と、とても一般庶民が買えるような値段ではありませんでした。
しかし、ベース車両となったホンダNSXの当時の新車価格が960万円ほどであったことを考えますと、むしろオロチの販売価格は安いといえるのかも知れません。
販売開始直後のオロチは、納期が4年近くかかることもあったようです。
ある程度生産台数は限定していたようですが、ハンドメイドで制作されるクルマですので、納期がかかってしまうのは致し方ないところです。
まるでミニロールスロイス?~ガリュー
光岡自動車が手掛けるクルマは、ゼロワンやオロチのようなスポーツカーばかりではありません。
1996年に登場した「ガリュー(我流)」は、まるでロールスロイスのようなスタイルが話題になりました。
フロントマスクだけを見たら、本当にロールスロイスと勘違いをしてしまいそうなスタイルです。
ベースとなった車両は、タクシーなどに使われることの多かった日産クルーです。
確かに、ピラーなどをみるとその面影があります。
当時の販売価格は、ベーシックなスタンダードで293万円でした。
ハンドメイドの車ということを考えると、決して高くはないといえるでしょう。
ちなみに、このガリューではいまも生産中ですので、人と違った個性的なクルマに乗りたいという人は購入を検討してみてはどうでしょうか。
ちなみに、現行のガリューは日産のティアナがベース車両となっているようです。
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シルビアがクラッシックカーに化けた「ラ・セード」
1996年に発売を開始された「ラ・セード」も、非常に個性的なクルマといえます。
フロント周りだけを見ると、どこからみてもクラッシックカーそのものです。
しかし、そんな外観とは裏腹にベース車両となっているのは、あのドリフト族に人気になっている日産のシルビアです。
この「ラ・セード」の外観からは、テールをドリフトさせながら走るシルビアのイメージはなかなか想像できません。
ドアやピラーの部分をみると、シルビアがベース車両であることが分かる程度です。
ちなみに、ボンネットの横から飛び出しているエキゾーストパイプはあくまでもデザイン的なもので、ただのダミーだそうです。
また、ドアの前方にあるスペアタイヤのカバーも同様にダミーで、なかにはタイヤではなくバッテリーなどが入っているようです。
この「ラ・セード」は、1996年に限定500台で販売されましたが、そのスタイルが大きな話題を呼び、500万円を超える値段にもかかわらず2001年には完売になっています。
クラシカルで個性的なオープンカーのヒミコ
2008年に販売を開始された「ヒミコ(卑弥呼)」は、光岡自動車のデビュー作となったゼロワンと同様に、マツダのロードスターをベース車両として制作されたオープンカーです。
ロードスターを、まるで1930年代のクラッシックカー風にアレンジしたデザインが秀逸です。
男性的なデザインであったオロチに対して、このヒミコは女性的な優美さを強調したデザインになっているようです。
このヒミコも、光岡自動車から現在も販売されている車種になりますが、制作は完全な手作業となるため、月に3台から4台程度しか生産できないようです。
ちなみに、現在の販売価格は5,022,000円となっています。
決して安い値段ではありませんが、とにかく目立つ車に乗りたいという人にとっては、魅力的なクルマといえるでしょう。
ただし、クラシカルなスタイルを採用しているために、ボンネットが異様に長くなっており、ボンネットの短い現代の車に慣れた人にとっては、かなり運転しづらいかも知れません。
光岡自動車初のハイブリッドカーリューギ
2014年には、光岡自動車からもついに「リューギ(流儀)」という名前のハイブリッドカーが発売されました。
ベース車両となったのは、トヨタのカローラアクシオです。
デザイン的には、と同様にロールスロイス風です。
ベース車両となるハイブリッド車はいまやたくさんありますが、あえてカローラアクシオを選んだのは、あくまでデザインを優先した結果だとのことです。
光岡自動車は、これまでマツダ、日産、ホンダといった日本を代表する自動車メーカーからベース車両の提供を受けてきたわけですが、トヨタからついにハイブリッド車の提供を受けることに成功したわけです。
光岡自動車の大手メーカーとの交渉術も見事ですが、最新の技術が盛り込まれているハイブリッド車の提供を了承したトヨタ自動車の太っ腹ぶりも見事といえるでしょう。
ちなみに、ハイブリッド仕様のリューギの販売価格は3,299,400円となっています。
エコで目立つクルマに乗りたいと考えている人は、選択肢の1つに入れてみるといいでしょう。
光岡自動車の公式サイト
https://www.mitsuoka-motor.com/
文・山沢 達也
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