刑務所で車検が受けられる!?~実はかなりお得なんです

スパナを持った人と白い車一般の人にとっては、刑務所なんて一生縁のないところに違いありません。

しかし、その縁のないはずの刑務所で格安で車検が受けられるとしたら、ちょっと聞き捨てならない話だと思います。

「刑務所」という言葉と「車検」という言葉は、およそ縁のない言葉に感じるかも知れませんが、それは一般の人が知らないだけであって、知っている人は昔から知っていたわけです。

日頃から車検を含めた車のメンテナンス費用に頭を悩ましている人は、一度刑務所で車検を受けることを検討してみるといいかも知れません。

想像以上に質が高い受刑者たちの作業

よく、刑務所で作られた家具などが売りに出されるのを、テレビのニュースなどでご覧になったことのある人も多いことでしょう。

千葉刑務所で作られた桐のタンスはとても評価が高く、40万円程度の値段で売られたりします。

刑務所内で受刑者たちは、家具の制作だけではなく、さまざまな仕事に従事しています。

そして、わずかながらもその作業に対する報酬も受け取ることができます。

受刑者の仕事だから品質が低いと考えるのは大きな間違いで、しっかりとした指導者のもとに行われる作業の質は想像以上に高いようです。

刑務所では、社会復帰を目指す彼らのために、プロとしての本格的な技術を身に着けさせるという目的があるわけです。

刑務所は、ある意味では国営企業ということも言えるわけで、利益優先でいい加減な仕事をしがちな民間企業にくらべて、むしろしっかりとしている可能性も高いわけです。

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受刑者による車検時に行われる整備

受刑者たちが質の高い仕事をするといっても、家具の制作などの木工作業とはことなり、最先端の技術によって製造されている車を取り扱う車検となると、ちょっとニュアンスが違ってきます。

受刑者が検査をした車で、安全に公道を走らせることができるのだろうか、という疑問のわく人もいることでしょう。

しかし、そういった心配はまったく無用であるといえそうです。

実際に車の整備を指導している刑務所の職員は、検査員資格を持っていますし、最終確認も職員が責任を持って行っているようです。

刑務所の職員は国家公務員ですから、民間の悪徳業者がよくやるような手抜きはやらないと考えていいでしょう。

ペーパー車検などと呼ばれ、実際に車の検査をしないで書類のみで車検を通してしまって暴利を得ているような業者もいるようですが、刑務所車検に限ってはそういったことは絶対にあり得ないわけです。

また、府中刑務所では日産自動車の技術者が、受刑者に技術指導をしていることで話題になったことがあります。

一般の民間車検場にメーカーの技術者が直接指導にくるなどということはまずありませんから、そのことだけでも刑務所での車検がハイレベルで行われていることが理解できると思います。

実際にどれくらい車検費用が安くなるのか?

スパナとコインの上にのった紺色のミニカー車検の費用は、車種や整備をどれだけやるかによって大きく変わってきます。

タイヤ交換などの必要がなく、整備の費用がそれほどかからなければ、普通車で8万円~15万円程度というのが車検費用のおおまかな目安ではないでしょうか。

これらの車検費用のなかには重量税や自賠責保険料などの法定費用も含まれていますので、実際の車検費用というのは、トータルの支払額から法定費用を差し引いたものになります。

法定費用は、車両重量が1tを超えて1.5t以下の乗用車であれば、51,250円になります。

これがエコカーの場合だと、41,650円になります。

どこで車検を受けてもこの法定費用は同じですから、トータルの支払額である8万円~15万円から法定費用を引いた金額が実際の車検費用ということになります。

これがいわゆる車検基本料と呼ばれる業者の売上になる部分で、25,000円~100,000円程度が相場になります。

ディーラーや民間車検場、車検専門のフランチャイズ店などの車検基本料は、ほぼこの範囲の金額におさまるといっていいでしょう。

それに対して、刑務所車検の場合には、この車検基本料が1万数千円で済んでしまうようです。

法定費用を含めた総額の支払いでも、一般のクルマで6万5000円程度、エコカーの場合なら5万5000円程度で済んでしまうわけです。

つまり、ディーラーや民間車検場にくらべて15,000円~80,000円程度安くなるということがいえるわけです。

2014年11月25日発売の「週刊SPA!」では、実際に刑務所で車検を受けた人の「一般の整備工場にくらべて4万円ほど安く済んだ」という体験談が載せられています。

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ディーラーや民間車検場とは違う刑務所車検の特徴

ディーラーや民間車検場にくらべて、刑務所での車検は明らかに料金的に安いということがお分かりいただけたかと思います。

私たち消費者にとって、安く車検が受けられるということには大きな魅力を感じるものですが、デメリットなどはないのでしょうか?

残念ながら、刑務所車検では、ディーラーや民間車検場にくらべて明らかにサービス的に劣る部分があります。

・車検が終わるまでに時間がかかってしまう

整備士と車のイラスト刑務所に車検を依頼した場合、完全に整備が終わるまでに4日~5日程度の日数がかかってしまいます。

しかも、ディーラーや民間車検場のように代車を用意してくれるということがありません。

1日車検が主流になりつつある現在では、4日~5日というのは、ちょっと時間がかかり過ぎと感じてしまう人も多いはずですし、車検が終わるまでのあいだ代車がないというのも不便であるといえます。

技術指導をしながらの整備なので、どうしても時間がかかってしまうのでしょうが、考えようによっては、それだけ時間をかけてじっくりと整備をしてもらえるという見方も出来るわけです。

・車内にあるものはすべて出しておく必要があります

刑務所で車検を受ける際には、車に積んである物をすべて外に出しておかなければなりません。

ディーラーや民間車検場で車検を受ける場合でも、盗難防止のために車内に貴重品を残しておかないように言われることが多いと思いますが、刑務所で車検を受ける場合には、貴重品だけではなくすべての物を車内に残しておいてはいけないのです。

万が一、ライターやカッターナイフといったものが受刑者の手にわたってしまうとまずいからです。

・土日祝日は受付をしていません

刑務所の場合には、土日祝日には窓口が閉まっていますので、車を持ち込むことができません。

一般のサラリーマンなどが車検をお願いしようと思った場合に、土日祝日の受付がないというのはなんとも不便に感じるに違いありません。

民間の業者であればたくさんの来客が見込める土日祝日に窓口を閉めているというのは、いかにもお役所的な感じが、基本的に営利目的ではないので、仕方のないところなのでしょう。

・すべての刑務所で車検を行っているわけではない

料金的には非常に魅力を感じる刑務所車検ですが、残念ながら全国すべての刑務所において受付を行っているわけではありません。

現在、車検の業務を取り扱っている刑務所は以下の6カ所のみです。

●府中刑務所(東京)
●神戸刑務所(兵庫)
●函館少年刑務所(北海道)
●盛岡少年刑務所(岩手
●市原刑務所(千葉)
●川越少年刑務所(埼玉)

非常に魅力的な料金で車検を受けることのできる刑務所ですが、そのサービスを受けることができるのは、上記の6カ所の刑務所の近くに住んでいる人だけに限定されてしまいます。

逆に、これらの刑務所の近くに住んでいる人にとっては、法定費用を含めた総額で、5万5,000円~6万5,000円程度の費用で車検を受けることができるチャンスがあるわけですから、ぜひ検討をしてみるといいでしょう。

文・山沢 達也

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