自動車税を納めていないとなぜ車を売却できないのか?

計算機と手のひらに乗せた青いミニカー車の所有者は、毎年自動車税を納める義務があります。

自動車税は決して安くありませんので、車を複数所有している家庭などは、毎年春になると憂鬱になるに違いありません。

自動車税を滞納しても、すぐにクルマに乗れなくなるわけではありません。

そのため、自動車税を払わずにしばらく車に乗り続けるツワモノもいます。

しかし、国税は甘くありません。

最終的には、追徴税を含めた分を納税しなければならなりますし、最悪の場合は車を差し押さえされてしまいます。

そんな悲惨なことにならないためにも、自動車税はなるべく早めに支払った方がいいでしょう。

また、車を売る予定の方が、自動車税の支払いを済ませておかないと大変困ることになります。

なぜなら、多くの買取り店では自動車税を支払っていない車の買取りを拒否することが多いからです。

それはいったいなぜでしょうか?

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車の名義変更そのものには納税証明書は必要ありません

車を売却して受け渡しをするときには、陸運局にて名義変更の手続きをすることになりますが、実はこの際には自動車税の納税証明書は必要ありません。

買取り店などに売却をしたあと、名義変更をするためには次の書類が必要になります。

● 譲渡証明書
● 売り手と買い手両方の印鑑証明書
● 売り手と買い手両方の委任状
● 車検証
● 新しい所有者の車庫証明書

ご覧のとおり、名義変更にあたって自動車税の納税証明書の提出は義務付けられていません。

つまり、自動車税を滞納している状態でも、合法的に車を売却して名義変更をすることは可能なのです。

自動車納税証明書例個人売買などであれば、このまま売買を成立させてしまうことも可能でしょう。

しかし、ディーラーや買取り店に売却するとなると話は別です。

ディーラーや買取り店では、車を売却するときに上記の書類の他に、必ず自動車税の納税証明書の提出を求められます。

なぜなら、うっかりそういった車を買い取ってしまった場合、買取り店や新たなオーナーに不都合なことが起こりかねないからです。

たとえば、名義変更の際には納税証明書は必要ありませんが、車検のときには必要です。

車検を受けることの出来ない可能性のある車を、無条件で買取りする店はないはずです。

納税証明がなくても買取りをしてくれる業者

納税証明書のない車を買取りしてくれる業者が全くいないわけではありません。

確かに自動車税の納税証明書がないと車検が通らないのですが、1年以上車検が残っているクルマであれば、翌年には新しい名義人がその年の自動車税を納めることで車検を受けることができます。

しかし、なかには車検が1年以上残っているクルマであっても、自動車税を納めていないという後ろめたさを逆手にとって、買取り価格を大幅に下げてくる悪徳業者もいるようです。

自動車税を納める以上に金額を下げてくる業者もあり、それならば納税をしたあとに普通に売却をした方がいいわけです。

表と裏の男性顔また、業者によっては「自動車税を納税されていないようなので、その分を買取り価格からマイナスさせていただきますね」などと提案してくる場合もあります。

なんとなく納得してしまいそうな条件ですが、騙されてはいけません。

たとえば、車を売却する時期が10月だったとします。

その場合、車を売る側が負担すべき自動車税は、年度が変わった4月から9月までの分です。

10月以降来年の3月までの分は、新たな名義人が支払うべきものです。

しかし、自動車税というのは1年分を前払いするために、勘違いをしやすいのです。

たとえば3000ccクラスの車の場合、年間の自動車税は51,000円になります。

本来であれば10月以降の25,500円分は、新たな名義人が支払うべきものです。

それにもかかわらず、自動車税1年分に相当する51,000円を査定額からマイナスされるというのは理不尽な話といえるでしょう。

さらに悪質な業者になると、車を売った人に1年分の税金を負担させておきながら、次のオーナーから月割りで税金を請求したりします。

つまり、二重取りの形でその分を儲けにしてしまうわけです。

そういったことにならないためにも、車を売る前にはしっかりと税金は納めておくようにしましょう。

そして、売却した時点から残りの分の税金は、月割りで清算して査定額に上乗せしてもらうようにしましょう。

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税金を納めているのに納税証明書を紛失してしまったら

仮に自動車税を納めていた場合であっても、納税証明書を紛失するなどして手元にない場合には、業者と車売却の手続きを進めることは出来ません。

しかし、確実に納税をしているのであれば、それほど心配する必要はありません。

自動車税の納税証明書は再発行してもらうことが可能ですから、都道府県税事務所に申請をして再発行してもらえば問題なく車の売却を進めることができます。

業者によっては、それらの再発行の手続きを代行してくれるところもあるようです。

その場合、実際に納税をしているかどうかは税事務所に電話で確認することも出来ますので、手元に納税証明書がなくても業者と売却の手続きを進めることができることになります。

文・山沢 達也

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