中古車のメリットは何かと言われれば、新車にくらべて値段が安いことをあげる人は多いことでしょう。
しかし不思議なことに、中古車であるにもかかわらず、新車とほとんど値段が変わらないか、場合によっては新車よりも高い値段で売られている車があるのです。
いったいなぜそのようなことが起こるのでしょうか?
もちろん買う人がいるから、そういう値段設定になっているわけです。
ここでは、新車よりも高い中古を買う理由について考えてみたいと思います。
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新車よりも高い値段設定のダイハツムーヴの中古車
カーセンサーに紹介されている、あるダイハツムーヴの本体価格が146万円となっています。
グレードはカスタムX SAIIで色はパールマイカです。
走行距離はわずか948kmですから、ほとんど新車に近い状態のクルマといえます。
ちなみに、ダイハツムーヴのカスタムX SAIIを新車で購入する場合の車両価格は146万8800円です。
あれ?と思った方は正常なリアクションです。
中古車と新車の値段がほとんど変わりません。
しかも、中古車というのはあまり値引きは期待できませんが、新車であればある程度は値引きをしてもらって購入するのが一般的です。
そうなりますと、新車の実際の購入価格が下がる分、中古車の方が割高になってしまうということになります。
もう1台の事例を紹介してみましょう。
こちらも同じくムーヴで、グレードはカスタム RS ハイパー SAII 4WDとなります。
走行距離は6000kmと、先ほどの事例にくらべるとだいぶ走っています。
しかし、この中古のムーヴの本体価格は163万円です。
カスタム RS ハイパー SAII 4WDの新車の車両価格は174万9600円ですから、多少は新車の方が高いということになります。
とはいえ、実際には新車の場合は値引きが期待できますから、購入するときの値段にそれほど差はないと思われます。
6000km走った中古車と、新車の値段が実質変わらないということになりますね。
実際に購入する人がいるから、そういう値段設定になっているわけなのですが、いったいそれはなぜなのでしょうか?
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オプションの値段を含めると多少は中古車の方が安い?
最初のカスタムX SAIIの場合、確かに本体価格だけを見た場合には、新車も中古車もそれほど値段の違いがない感じがします。
しかし、中古車には割高になるそれなりの理由があったのです。
それは、取り付けられているさまざまなオプションです。
メーカー純正のナビやバックモニターなどがついているほか、パールマイカというボディの色もメーカーオプションだと思われます。
つまり、新車の車両価格にはこれらのオプションの代金は含まれておらず、中古車の場合にはこれらのオプションが装備された状態での値段ということになります。
バックモニター付きの純正ナビだけでも、15万円近い金額になるはずです。
新車を買うときに、あれもこれもとオプションをつけて行ったら、想像以上に高い金額に
なってしまったという人も少なくないでしょう。
それらのオプションを含めたトータルで考えた場合に、中古車の方が新車にくらべて多少は割安ということになるのだと思います。
新車が納車になるまで待てない人たちもいる?
もう一台のカスタム RS ハイパー SAII 4WDの方ですが、こちらはオーディオレスで、本来オーディオやナビが付く部分が空洞になっています。
先ほどの事例のカスタムX SAIIがバックモニター付きの純正ナビがついていたのにくらべると、だいぶ見劣りがします。
しかも、先ほどの事例の車の走行距離が948kmだったのに対して、こちらのカスタム RS ハイパー SAII 4WD は6000km走行しています。
そんな条件にもかかわらず、新車価格が174万9600円に対して163万円の価格で販売されているのです。
先ほどの事例のように、オプションが充実していてお得感があるというのであれば納得できるのですが、いったいこのカスタム RS ハイパー SAII 4WDを買うメリットはどこにあるのでしょうか?
実は、中古車には新車にはない大きなメリットがあります。
それは、登録さえすませればすぐに乗ることが出来るという点です。
新車というのは、基本的に受注生産のようなものです。
購入の契約を済ませたあと、ボディの色やオプションなどに応じてラインにのせるわけです。
そのため、契約したあとに納車までに1ヶ月以上かかってしまうことも少なくありません。
人気車種になりますと、3ヶ月~半年程度待たされることもあります。
どうしてもその車に今すぐ乗りたくて、納車まで何ヶ月も待っていられないという人であれば、6000km程度の走行距離には目をつぶって、多少割高であっても中古車を買うという選択をするのかも知れません。
新車とほとんど変わらないような値段で売られている中古車には、そういった背景とニーズがあるのでしょう。
今回はたまたまダイハツムーヴを例に挙げましたが、他の車種でも同様に新車とほとんど変わらない中古車が普通に売られているはずです。
物の値段というものは、売る側と買う側の妥協点で成立するものなので、お互いが納得して取引をすればどういう値付けをしてもなんの問題もないということになるわけですね。
文・山沢 達也
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