中古車の査定額は、車種や年式、走行距離などによって大きく異なるということは常識となっています。
しかし、単純にそういった項目だけで査定額が決まるわけではありません。
いわゆる「車の状態」というものも、査定額に少なからず影響を及ぼします。
一般に、屋外で保管された車よりも屋根付きの車庫で保管された車の方が、高額査定になりやすいといわれています。
はたしてそれは真実なのでしょうか?
ここでは、屋外駐車と車庫ありの場合で、査定額にどれほどの影響が出るのかについて考えてみたいと思います。
車庫ありだと本当にクルマは傷まないのか?
クルマというのは、道路を走るためのものです。
屋外駐車であろうが車庫ありであろうが、走ることによって車は少なからず痛むことには変わりないわけです。
車庫ありだからといって、新車のショールームで見かけるようなきれいな状態をずっと保てるわけではありません。
雨の日に乗ることもあれば、出先でかんかん照りの駐車場にずっと止めておくということもあります。
たとえば、車を通勤に使っているサラリーマンの場合、仕事をしている間は基本的に屋外駐車になると思います。
つまり、車庫ありであっても、実際にその恩恵を受けるのは夜間のみということになります。
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車が受ける直射日光や雨などのさまざまな影響
日中に屋外に置いておくことによって、直射日光によるさまざまな影響がボディに現れてきます。
屋根の部分が長年にわたり直射日光を受けた影響で、色あせしてしまうということもよく起こります。
また、よくヘッドライトのレンズが曇っている車を見かけることがあると思いますが、これなどもまさに直射日光による紫外線の影響だと思われます。
そして直射日光の影響を受けるのは、ボディやライトのレンズだけではありません。
実は内装の素材なども、直射日光が当たる部分は色あせしてしまいますし、夏場などは車内が高温になりますので、熱によってダッシュボードが変形して浮いてしまったりすることもあります。
さらに、タイヤやワイパーのゴムなども、直射日光の影響でひび割れなどを起こしてどんどん劣化していきます。
もちろん、晴れの日ばかりではなく、雨の日にもクルマはさまざまな要因で痛むことになります。
勤務中に雨が降れば車はその間ずっと雨ざらしになりますし、酸性雨などの影響も受けるかも知れません。
特に白い車などはボディに水垢がついてしまうと、どす黒くなって非常に目立ちますし、簡単な洗車では水垢を落とすことができません。
また、意外にクルマのボディを痛めるのが鳥の糞です。
たとえ夜間に屋根付きのガレージに車を保管したとしても、基本的に鳥は夜間に飛ぶことはありませんので、被害を受けるのは昼間ということになります。
つまり、屋外に車を駐車して仕事をしている時間帯が、一番鳥の糞の被害にあいやすいということになるのです。
車通勤をしているサラリーマンの方が、そういった直射日光や雨や鳥の糞などによる影響から車を守ろうとするならば、屋根付き駐車場のある会社に就職するしかありません。
しかし、それはあまりにも現実的ではないでしょう。
ですから、屋外駐車場と車庫ありという二つの駐車方法を単純に比較して、どれくらいの査定額の差になるかということは簡単に算出することは出来ないということになります。
通勤に使うような車の場合、車庫があった方が夜間に雨風や夜露の影響を受けることがないので、多少は査定にプラスになる可能性がありますが、明確なアドバンテージはないといえます。
実際の査定額は目の前のクルマの状態で決まる
もし、車庫ありの車が査定において圧倒的に有利になるとすれば、通勤には一切つかわず、雨の日やカンカン照りの日には車をガレージから出さないなどの、ちょっと異常ともいえるような管理をした場合に限られます。
趣味で買ったフェラーリやポルシェであれば、そういった管理の仕方もあるでしょうが、一般的な国産車において、そこまでこだわった保管をする人はほとんどいないと思います。
そういったことを総合的に考えてみますと、車庫ありの車が査定で圧倒的に有利になるケースは稀であると考えていいでしょう。
通勤で使っている車の場合、たとえ夜間に屋外に駐車をしていたとしても、日頃からコーティングなどのメンテナンスをしっかりと行っていれば、メンテナンスをあまりしていない車庫ありのクルマよりも高額査定になる可能性は十分にあるといえます。
そういう意味では「車庫ありのクルマは査定額が高くなる」というのは、都市伝説に近いのかも知れません。
査定でプラスになるのは、あくまでも査定をする人が目視で見た場合の状態が良い場合ということになります。
どこで保管していたかということではなくて、実際に目の前にある車の状態がどうなのかということが査定においては重要なのです。
プロの査定士は、たんに屋根付きの車庫に保管していたという先入観だけで、適当に車をチェックして高額な買取り価格を提示することは絶対にないということを知っておきましょう。
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