2013年まで、SEO対策における重要な指標のひとつとして、ページランクというものがありました。
ブラウザのGoogleツールバーに、緑色のゲージでランクを表示して、サイトのドメインパワーが一目で分かるようになっていたのです。
もちろん、Googleはこのページランクを現在も検索順位の決定要因の1つとして利用しているようですが、私たちがそれを目にすることはできません。
当時、このページランクを使い倒して、検索順位を攻略しまくっている人たちがいました。
いわゆるSEOマニアと呼ばれる人たちで、超難関キーワードをインデックスと同時に検索結果の2ページ目に表示させるといったような離れ業をやってのけていたのです。
いまでは考えられない、当時のSEOマニアたちの技をいくつか紹介してみたいと思います。
ドメインパワーが一目でわかったページランクという指標
ページランクが表示されていたころは、そのホームページのドメインの強さを誰もが一目で確認することができました。
表示されているページが0~10にランク分けていましたが、ページランク10のドメインはほぼ存在しないといわれていました。
Yahooのような日本を代表するような巨大ポータルサイトであっても、ページランクは8でした。
個人で運営している小さなホームページのページランクは、トップページでも1~3あたりが普通で、ページランク4以上は非常に稀でした。
個人でページランク4のサイトを作ろうと思ったら、高ページランクのサテライトサイトから複数のリンクをもらう必要がありました。
つまり、超ブラックSEOをすることで、やっとページランク4を手にすることができたわけです。
SEOの知識がある人は、ページランクが高いほどドメインのパワーが強いことを認識していましたので、バックリンク用に高ページランクのドメインを買いあさる人が大勢いました。
ページランク5とか6のドメインが、数十万円の値段で飛ぶように売買されていたのです。
一部の海外レジストラが高ページランクのドメインを買い占めたりしたこともあり、当時はかなり品薄状態になっていました。
●ページランク4以上は非常に稀
●ページランクが高いほどドメインのパワーが強い
●数十万円の値段で飛ぶように売買されていた
ページランク5のサイトからの強烈な被リンクパワー
高ページランクドメインからもらう被リンクには、本当に強烈なパワーがありました。
特に、ページランク5以上のドメインからもらうバックリンクは、規格外のパワーといってもいいほどで、ページランク4とくらべるとそのパワーの違いには歴然たるものがありました。
イメージ的には、ページランク4のサテライトサイトからのリンク10本と、ページランク5のサテライトサイトからの1本のリンクが、ほぼ同じくらいのパワーでした。
そうした高ページランクのドメインで作成されたサテライトサイトを複数所有することで、いまでは信じられないような超難関キーワードでも簡単に上位表示できたのです。
弊社でも「引越し業者」という超ビッグキーワードで1位をとったこともありますし、同様に超難関キーワードである「カードローン」でも3位になったことがあります。
以下のページでは、新規ドメインに対してページランク5のサテライトサイトから10本の被リンクを送ることで、「スマホ」という超ビッグワードを3ヵ月ほどで3位まで上昇させた実験結果が掲載されています。
現在のようにコンテンツの質や運営者の信頼性といったものはあまり影響しない時代でしたので、単純にバックリンクのドメインパワーだけで簡単に上位表示できたのです。
●ページランク5以上のドメインからもらうバックリンクは、規格外のパワー
●信じられないような超難関キーワードでも簡単に上位表示できた
●「スマホ」という超ビッグワードを3ヵ月ほどで3位まで上昇させた実験結果もある
1文字のキーワードを上位表示させて自慢し合うSEOマニアたち
当時は被リンクのドメインパワーだけで簡単に上位表示することができましたので、大きなキーワードで上位表示をさせて、仲間内で自慢し合うSEOマニアという人たちが存在しました。
彼らは1文字のキーワードで上位表示をさせることに誇りを感じていました。
たとえば、「刀」と「水」といったようなキーワードです。
検索窓に入れる文字数が少なければ少ないほど、上位表示させるのが難しいというイメージがあったからです。
もちろん、これらのキーワードで上位表示させても、検索意図が広すぎて集客には結びつきません。
つまり、ビジネス的にはほとんど意味がないにもかかわらず、上位表示できれば仲間に自慢できるわけです。
こうした承認欲求のために、SEOマニアたちは高価な高ページランクの中古ドメインを買いあさって、難関キーワードの上位表示を競っていたのです。
興味のない人にしてみれば、なんともバカらしい話ですが、もともとマニアというのはそういった存在です。
それは、鉄道マニアであってもアニメおたくであっても変わりません。
あるSEOマニアが数十万円だして購入したページランク7のドメインが、インデックスさせて数日後にページランク0になってしまったことがありました。
仲間内では大爆笑となり、本人もそれほど落ち込む様子もなく失敗談を面白おかしく披露していました。
失敗も含めて、検索順位の挙動を楽しむことのできるのが、SEOマニアなのでしょう。
しかし、そんなSEOマニアたちの楽しい日々はそう長くは続きませんでした。
2014年以降、Googleツールバーのページランクの更新がストップしてしまったのです。
また、Googleが被リンクよりもコンテンツ重視にロジックを変更していったこともあり、被リンクのパワーだけで上位表示させることが困難になってしまいました。
その結果SEOマニアたちは、短期間でビッグキーワードを上位表示させて自慢し合うというかけがえのない楽しみを奪われてしまったのです。
あのSEOマニアたちは、今頃どうしているのでしょうか?
●大きなキーワードで上位表示をさせて、仲間内で自慢し合うSEOマニアがいた
●ビジネス的にはほとんど意味がないが、1文字のキーワードで上位表示をさせることに誇り
●2014年以降、Googleツールバーのページランクの更新がストップ
画像1枚だけのペラページを一瞬でページランク4にするスゴ技
SEOマニアたちは、Googleのロジックの隙間を巧みについて、信じられないような技をときどき披露していました。
私が一番驚いたのは、まっさらな新規ドメインをインデックスさせると同時にページランク4にしてしまった技です。
しかし、そのページランク4になったページは、ドラえもんの画像が1枚だけのペラページで、テキストはまったくありません。
複数の高ページランクドメインを巧みに操り、Googleがページランクの更新をするタイミングを狙うことによって、こうした離れ業ができたのです。
また、ページランクだけではなく検索順位においても、彼らは驚くべき技を披露してくれました。
それは、難関キーワードをインデックスと同時に2ページ目にランクインさせるという技です。
よほど甘いキーワードでなければ、インデックス直後は圏外(100位以下)になるのが普通です。
ところが、彼らは本格的なSEO対策を長期間続けてもなかなか上位表示することができないような難関キーワードを、インデックスと同時に2ページ目に強引にねじ込んでしまうのです。
そして、そこからじわじわと順位を上げていて、1ページ目の上位を狙っていくわけです。
当時は、被リンクのパワーによって上位表示させることはそれほど難しいことではありませんでしたが、それにしてもインデックスと同時に難関キーワードを2ページ目に入れるというのは考えられないようなスゴ技でした。
これに関しては、天才集団であるGoogleの完敗といってもいいでしょう。
たかがSEOマニアなどと侮れない探求心を彼らは持っていたのです。
●まっさらな新規ドメインをインデックスさせると同時にページランク4にしてしまった技
●難関キーワードをインデックスと同時に2ページ目にランクインさせる技